第5話 磨く

初老期の半ばに差し掛かった僕は、夕食の後の食器を翌日までほって置いてしまうことが少なくはなくなってきた。

 

 分かってはいるのだけど、食べて直ぐに洗い出せば、三分もかからないことだ。

 

 歳を取ったのだろうか、その日その日の仕事の疲労感が重く感じるようになった感じ。

 

 独り暮らしをして、米を研ぐのが面倒なので無洗米にして、炊飯器を持つこともやめた。

 だから、白飯を喰いたくなると、片手鍋で二合くらいの米を炊く。

 だから、毎日、白飯は食べないし、二合も炊くと一食では消費できず、残りは翌日の弁当にと、おにぎりにする。こんな時も洗い物は日を跨いでしまう。

 

 しかしながら、そこに気づきがあった。

 

 日を跨いだ洗い物たちは、シンクに置いているタライで水につけている。

 

 そいつらを洗い始めると、あっという間に終わってしまう。独り分は日を跨げど少量なのだ。

 それを洗い物を置きに並べる。

 僕の食器は汁碗と箸以外は無地で白の皿である。

 

 すると、ピカピカに輝き出しているのだ。まるで、磨き上げたように。

 

 家事は奥深い。サボってしまうことにも喜びがついてくることがあるのだ。

 

 家事を少しはサボったっていいのかなって思う今日この頃であった。

 

 終 次回、第六話 味つけ

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