第2話 愛は欲しがるものじゃない。勝手にもらえるものだ。(でも例外もあるようだ)

曇谷くもりだにさん、文芸部に入りたくない?」


なにやってんだろうねあの隠キャ。

無理に決まってんじゃん。

「ちょっと蓮〜、から曇谷さんウザい女ばっか見て話聞いてるぅ?」

「聞いてるって、それにオレはお前に釘ずけだし」

「もう口ばっかなんだから!」

そう言いながら彩は顔を赤くする。

『世の中ってチョッろ』

これが17年間生きてきた感想だ。

顔も頭も運動神経もいい。

女子からはもちろん、男、先生、近所の人、誰からも好かれた。

まぁ一部の人からは嫌われているが、オレは別に愛に飢えてるわけじゃない、何も問題はない。

最近までオレには物欲がないんだと思っていた。

雲谷玲くもりだにれい』に会うまでは。

激しく欲しいというわけじゃない。

もう少しオレの近くにいればなぁ、

もう少しオレの方を見ててくれればなぁ、

もう少しオレに触れてくれればなぁ、

といつも考えている。

といつも見ている。

蓮と玲って似てね?

くだらない。どうしようもない。

でも、もっとどうしようもなくくだらない出来事が今、目の前で起きている。

おい、隠キャ。先輩だと思うがそんなことは関係ねぇ。

お前が軽率にも話しかけているその女の子はな、密かに男の間で行われているランキング付けにおいて、美人部門&声掛けずらい部門で一位なんだぞ。

ちなみに成績もトップ10に入るぞ。

このオレですら絡めないんだぞ。

お前みたいなやつが、、、


「部費はいくらですか?」

「今のところ0だ。本は持ち込もうと思う」

「活動日数は週にどれくらいですか?」

「特に決めずに自由に出入りするんでいいんじゃないかと思う」

「それ本当に文芸部なんですか?」

「うぐっ」


ちょ、おいおいなに普通に会話してんだよ!?


「分かりました。入りたいです」


ちょ、ちょ、ちょっと、、、

「待ったぁー!!」

気がつくとオレは、

「オレも文芸部に入る!!!」






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