3写真と独身証明書
ということで、写真を撮ったので、その写真のデータを結婚相談所に送ったわけだが、それだけで登録完了というわけではない。いろいろ必要書類をそろえなければならない。今の自分の年収などがわかる源泉徴収票。独身かどうかを証明する「独身証明書」。資格がある人は資格の証明書などが必要だった。
ここで初めて聞く言葉が出てきた人もいるだろう。「独身証明書」とは文字通り、独身であることを証明する書類だ。市役所でとることができる役所の正式書類となっている。そんなものが存在することを知らなかった私はつい、そんな証明書を使う機会がどんなものなのかネットで調べてしまった。
どうやら、婚活とかで独身を証明するためだけに存在する書類のようだ。それだけのためにできた書類だと思うと、なんだかこの証明書の存在が悲しく思えてしまう。その書類をとるために市役所に行ったわけだが、わざわざ独身であることを受付けの人に伝えなければならず、かなり恥ずかしい思いをした。用途が用途だけに、婚活することがもろばれというわけだ。さらにそのためにお金を数百円払うのも癪に障る。
写真と証明書を結婚相談所にデータで送って、あとしなければならないのは、プロフィールの入力作業だ。
今の時代、スマホに専用アプリをインストールして会員番号とパスワードを入力すると、簡単に結婚相手の候補を閲覧することができる。写真の印象ももちろん大切だが、それ以外のプロフィール部分についてもかなり重要になってくる。プロフィールには、様々な個人情報が含まれている。
生年月日(誕生月まで)、身長、体重、住んでいる市町村、学歴(大学名)、血液型、年収、職業、勤務地などの基本情報。それに加えて趣味や資格、資産、酒やたばこについてなど項目は多岐にわたる。これらの項目は機械的に埋めていくことが可能だ。事実をそのまま入力すればいいからだ。このほかに自分の家族の情報(それぞれの生年月日、職業、同居か別居か)も公開することになる。
婚活とはすなわち、結婚相手を探すということである。そのため、これだけの情報を公開するのは当然のことかもしれない。今更恥ずかしがっていてもしかたない。
今あげた項目は、基本的に機械的に入力していくだけで済む。趣味などは少し考える必要があるが、それ以外はただ事実を打ち込んでいくだけなので案外簡単にできる。
問題は自己PR文である。当然、一から考えるのは至難であるため、定型文は存在する。私も相手(この場合は男性)もよく使っているが、それを使うことで簡単にPR文を作成することができる。
一例としては「私はまじめな性格である」「私は周りから信頼されている」「私は責任感が強いとよく言われる」「私は聞き上手」などがあげられる。圧倒的に多いのが、最初に上げた「私はまじめである」という文言だ。たいていのプロフィール文の頭に置かれているような気がする。
まあ、分からないでもない。きっと私も含めて、まじめに生きてきたがゆえに彼女(彼氏)ができなかったり、婚期を逃すまいと婚活を始めようしていたりしているのだ。悪いことではない、と思うが、あまりにも個性が足りない。人のことは言えないが。
趣味の欄も案外、凡庸なものが多い。無難なところで「休日はアニメや漫画を読んで過ごす」「旅行が好きで各地を回っている」「キャンプにはまった」などがある。これもまた、特筆すべき趣味が書かれていることはあまりない気がする。
総じて、没個性すぎる。写真にしても、皆スーツ一択で髪も黒髪(多少の茶髪)で趣味も凡庸となれば、どこで選べというのだろうか。
とまあ、そんなこんなで私は写真とプロフィールなどの基本情報を入力が終わり、婚活としてのスタート位置にようやくつくことができた。
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