第9話 思いっきり楽しむために、思いっきり準備しよう!
そして、私はいま、ミミさんからの命令で
私は、
「どうして私がみんなの前に立つんですか……?」
「そんなの、可愛いからに決まってるじゃん」
「ええ……」
「ミミさん。やっぱり考え直してもらえませんか? 私、ちゃんとした理由がないと……」
「ないと……?」
「ないと……あの……その……恥ずかしいです……」
「かあぁああっ! 可愛いなぁっ!!!」
「
あははと笑うカミーアさんとクルミさん。そして、クルミさんは「仕方ないですね」と言って、スクールバッグからあんぱんを取り出した。
「これを差し上げるので、そのままそこに立っていてくださいね」
「食べ物で
私が
「クルちゃんからプレゼントされるなんて、ちょっと
「クルミさん。いますぐカミーアさんにあんぱんをあげてください! いますぐカミーアさんをこの場に立たせてください!」
「マナさん落ち着いてくださいね」
「そうだよマナちゃん。マナちゃんは可愛いんだから」
「はあ……わかりましたから、ここに立たないといけない、本当の理由を教えてください」
「言ったら怒るんじゃないかと思うんだよね」
「嫌な予感が……」
「聞きたい?」
「……はい」
「マナちゃん、部長になったから」
「……えっと。はい……?」
受け止めきれない私。参ったなと
「もう一回ちゃんと言うよ? 広報部・百合の花の部長はマナちゃんになったから。だから、あたしたちの前に立って
「部長って……え……ええええぇぇぇえええええっ!?!?!?!?!?!?!?」
私は、ショックのあまり、その場に
「でもでも! やっつけで決めたわけじゃないんだよ? だって、あたしは
「クルミさんだけ理由がおかしいですが……。それにしても、私に相談してくださいよ! カミーアさんとクルミさんには言っていたなんて……」
「言われてないです」「初めて聞きましたね」
ミミさんは、どういうわけだかエッヘンと
「当たり前だよ、あたしがいま決めたんだからっ!」
「部長を
「ズバッと決めちゃう! それがあたし、でしょっ?」
「まあ、確かに……。それに、ミミさんの言っていたことも間違いじゃないように思いました。なので、みなさんが
「りょーしょうするっ!」「右に同じ」「右に同じですね」
「そ、
こんなにも簡単に部長になって良いのかな……? でも、せっかく賛同くれたんだし、やるしかないよね。
そうと決まれば、まずは……うん、具体的に活動をどうスタートさせるかだねっ!
「それでは……広報部・百合の花が正式な部活になるために話し合いをしましょう」
ぎこちなさ全開の進行だけれど、私は必死に頭を
「これは私の個人的な意見ですが、初めに大きな目標を一つ立てて、次はそれを達成するために必要な目標を三個から五個程度考えたら、向かうべき方向や課題が整理できると思います。どうでしょう……?」
「さっすがマナちゃんっ!
「
相変わらずハングリーなクルミさんは置いておくとして……。じゃあ、大きな目標を立てるところからっ!
カッカッカッ。
私は、
くるっ。
みんなの方を向いて。
「ということで、一番大きなゴールを決めるところからですね! いまの私たちのゴールは、さっきも話しましたが『広報部・百合の花を正式な部活に!』ですね」
うんうん。
三人が
「次は、いわゆる中くらいの目標決めです。何か意見はありますか?」
すっ。
カミーアさんが
「地域と学校の紹介をしてその二つの
すかさず、「順序って?」と
「学校のことは一度
三人ともに、カミーアさんの考えに
「私たちが
「……カミちゃんって、可愛いし、頭の回転も早いし、本当、穴がないですね」
「いやいや、そんなそんな……」
耳が真っ赤になるカミーアさん。本人は
カミーアさんの言ってくれたことをまとめると……えっと……。私が頭のなかで整理していると、ミミさんが
「
ばんざいして喜ぶミミさん。カミーアさんは
「想像するだけでわくわくが止まりません」
そこに。首を
「でも、中目標は三つから五つは立てるんですよね? その通りにするなら、少なくとも残り一つは必要になってきますね」
「確かに……。マナちゃんは、何か思いつく?」
「えっ、私ですか? う、うーん……」
正直、早くも
「二つ目の目標が上手くいったら、私は最後に、
考えがまとまっていないせいで、ふわっとした言い回しになってしまった……。正しい表現がわからなくてもどかしい。これじゃ伝わらないよ。
私が
「あたし……やっぱり、部長はマナちゃんしかいないと思うっ! これだけ先を見通せてるんだもん、これだけしっかりしてるんだもん。適任だよ」
「同感です。私もそこまでは頭が回りませんでした」
「カミちゃんが、頭が回らないくらいですからね。私なんかもう、頭が上がりませんね」
「みんな……」
照れながらも、これで中目標も定まった。残すは……。
カッカッカッ。
中目標を書き足して、ついでに『目標を
「目標が決まりましたね! 今度は、具体的にいまできることを
「はいはーいっ!」
「ミミさん、どうぞ!」
「カミーアちゃんが言ってた、ホォーヅリィの南部地域に行って楽しみまくろうよっ! んでもって、その様子をSNSと学校のホームページにアップしまくろうよっ!」
「しまくりましょうっ! 素敵です!」
すっ。
やり取りを聞いていたカミーアさんが手を挙げてくれる。
「はい、カミーアさん!」
「
「へえ、丘ですか! 私も行ってみたいです! でも、どこにあるんだろう?」
「丘……桜……もしかして!」
心当たりがあったのか、クルミさんがスマホで
「カミちゃんが行った丘って、クイラの丘じゃないでしょうかね? ほら、桜が満開ですねっ!」
「うひょー綺麗だなっ!」「うわあ、素敵です!」「そう……ここ、ここですっ!」
「良かった! 実は私も、まだ小さかったころに、両親に連れて行ってもらったんですよね。確かに美しかったです」
クイラの丘! 私は初耳だったけれど、写真からも伝わってくる
とにもかくにも、目的地はクイラの丘になった!
私は、黒板に『
「ということで! 最初の目的地はクイラの丘に決定しました! まだ百合の花のSNSアカウントがないことと、学校ホームページの使用許可が下りていないこと。現状の課題はそれだけですかね」
「SNSの作成許可も、ホームページの使用許可も下りてます。最低限、そこは認めてもらわないと、出せる
「おーっ! ナイスだカミーアちゃんっ!」
「いえ、当然のことです」
カミーアさんの
「
「はーいっ!」
百合色の
明日は、買い物にでも行こうかな……。
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