第3話 魔女っ子クルミちゃん たのもーうっ!
別世界の日本というところでは、春になると桜が注目を
私は、桜なのかな、それとも花壇の花なのかな。
窓の外をぼんやり
「そうだっ! マナちゃん! Cクラスのクルミちゃんに
ぽかーん。
私は
まずCクラスのクルミちゃんという人物を知らないし、その子と
返事をしないただのしかばねとなった私に、ミミさんは
「……もしかして、クルミちゃんのこと知らないの?」
「……はい。私、まだこのクラスのみんなの名前も覚えられてないから……」
「それじゃ今度、先生と生徒の全員の名前を言えるか、テストをしてあげようっ!」
「んんっ?! ぜ、全員っ?!」
「そっ! 学校に
「めちゃくちゃだよ……」
「そうかな? あたしはもう覚えたよ? カミーアちゃんが学校のことを色々把握してそうだったから、あたしも負けん気で
「
えっへん!
ドヤッと胸を張るミミさん。スタイルが良いから、よくあるポージングでも、きゅんとしてしまう可愛さがある。
ひとしきりドヤタイムを
「クルミちゃんは学校イチの情報屋なの!」
「情報屋? どういう情報を取り扱ってるんですか?」
「それはもちのろんで、先生と生徒、ひいては学校全体の情報! あり得ないって思うかもだけれど、これがまたあり得ちゃうんだよね! さて、ここで問題! どんな情報を聞き出して、どうやって部活として認めてもらうでしょう?」
「
「甘いねマナちゃん! 甘すぎるよ!
「わざわざ食べ物にかけなくていいですよ……。それじゃあどうするんですか?」
よくぞ聞いてくれた! そう言わんばかりに、ミミさんは
「それじゃあどうするか、
「何一つ情報を聞き出してないっ?! 情報屋うんぬんってところ関係ないじゃないですかっ! ……それにしても、親密な
「そ。マナちゃんとあたしみたいなっ、ね?」
「……ん? それは一体……」
「またまたー! とぼけちゃってー! あたしたちなんか親密を
「超越できてませんよそれ……」
やんわりとはぐらかしたものの、私の胸の
出会って数日なのに、もうそんな風に思ってくれているんだ……。でも、親密って具体的にどういった関係性なのかな。
……まさか、カップル……? なーんて、そんなわけないよね。
私は、
「そういうことなら早速?」
「うん、クルミちゃんのことに行こう! どこにいるかは
「おともします!」
ミミさんが
好きな食べ物の話。
好きな漫画の話。
好きな絵以外の話。
好きな女の子のタイプの話。
本当にありふれた話ばかりだった。
そこにふと、私はとあることを
頭を悩ませていたミミさんから飛び出した答えは意外なものだった。
「桜くらい魅力的! ……だけど、よくよく考えると、どっちとも言えないかな。マナちゃんはマナちゃんだよ」
ミミさんは、小走りで私を引き離して、後ろ手でピースをしてみせた。
細身なシルエットも、ミミさんをミミさんたらしめている一つの要素。私と同じ制服を着ているはずなのに、ミミさんが
連想されるのはまさしく天使。
ミミさんは
中学時代では想像できなかったようなイベントが次々と発生して、私の思考回路は
「ここは何をする教室か知ってる?」
いかにも試してやろうという顔つきで、質問をしてくるミミさん。
予備知識がなかったけれど、ここに来て違和感を抱いていたことがあった。
「茶道、とか……?」
「ええーっ! すっごーい! 知ってたの?!」
「ううん。でも、お茶の香ばしい匂いがしたから……」
「そんな
「それを言うなら
「いや、確か茶道部にはまだ入部してないみたい」
クルミさんも情報屋さんらしいけれど、ミミさんもミミさんで情報通というか、入学して間もないのに、この学校のことを知りすぎている気がする。
「さ、入るよー?」
「は、はい」
私は、
その直後、ミミさんが扉を壊さんばかりの勢いで
「たのもーうっ!」
当然、茶道部員の視線がミミさんに集中する。ミミさんの背中越しでも、これだけ注目を浴びると
茶室の奥に座っていた女生徒が立ち上がり、ミミさんをビシッと指差した。
「
「違うっ!」
「残念ながら道場破りは受け付けてないっ! 何故なら道場じゃないからだ!」
「違うって言ってるでしょっ!」
「ええ? じゃあ何なのさ、あまり
「あなたも騒いでたじゃん……。まあそんなことはどうでもよくて、あたしはクルミちゃんに用がある!」
その一言で、このなかの誰がクルミちゃんなのか一発でわかった。
一人、私たちのすぐそば、つまりは入り口の近く、要するに
その子は、頭にとんがり帽を被っていて、マントも
腰まで伸びたクリーム色の長髪、大きな瞳、色白の肌。可愛いがこれでもかというくらいにふんだんに盛り込まれた女の子だった。
彼女は、
「クルミ、ですかね……?」
ミミさんの
「うーん。はいはい。おー! へえー!」
「ちょっと……あまりジロジロと見られても困りますね……」
「いやいや、じっくり見させてよ!」
「そうは言っても困りますよね……」
「
「ええ……」
流石に
見かねた私は
「ミミさん! これ以上はみなさんの
「えー。まあ、うん、そっか。じゃ、帰ろっか……クルミちゃんもねっ!」
ミミさんは、私とクルミさんの手を
と言って、廊下を光の速度で
ミミさんの運動能力の高さ、底知れないパワーに
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