第7話 神の視点

 過去に罪を犯したとすれば、時が経てばその罪は許されるのだろうか。

蛇の目をしたものが蛇を狩り食べる。

(それじゃ……共食いだよなぁ。サンショウウオは蛇じゃないけど、過去世の俺、ニギハヤの真の姿は蛇だとか言われている。危うく、サンショウウオ食いかけたわ。)

――ニギハヤは山の民の祖。山の民は山が住みか。人々に害をなす蛇を狩る技を持ち合わせ、蛇を狩る仕事を司っていた――

 八切の四駆に大人の男が四人といちごちゃんがぎゅうぎゅうに詰まって、諏訪湖を目指し走り出した。

「八切さん、どうして諏訪湖へ向かうのですか?」

若彦だけ、行き先を告げられていなかった。

「ええ、若彦さんには言っていませんでしたね。諏訪湖は、龍神……信仰の地ですから。」

八切の瞳が光る。隣に座るいちごちゃんはまたエナジーバーを食べ始めた。

「龍神? ああ、ミシャグチ……。洩矢山。諏訪湖周辺の信仰は、ある種、日本の信仰の吹き溜まりの様な土地ですよね。そして、多くの謎に包まれている。」

「良くご存じですね。若彦さんは日本の神様に興味関心がおありのようだ。」

「興味関心と言うか、仕事柄、フィールドワークする必要がありまして、その際に少し勉強しました。龍神信仰は日本各地にありますが……。北は北海道のアイヌ、……諏訪湖もそうだと思いますが、諏訪湖から日本海側を眺めて見ると古来、裏日本と呼ばれた日本海若狭周辺の富山、新潟の白山信仰や、南の方では出雲の……大国主……大己貴命。そして、琉球。日本列島自体も龍体と言われていたりしますね。」

「ハハハッ。そこまで、知っているとなると、僕たちと同じく相当、龍神が好きなのですね。」

「いや、特には。」

(なんだか、昔から気になっていて、地理のついでに調べてみたんだ。ああ、そうだ。この感覚。玉姫のノリと同じ感じだ。あたしの事好きでしょうみたいな。俺の過去世はニギハヤ。……だから、蛇と龍は毛色がちょいと違うと言われても、気になってしまったのかな。)

「お諏訪さまは……鹿の頭を捧げものとして喜ぶらしいじゃないですか。生贄を欲する神は、精神的な神と言うよりも、より人間に、動物に近い神だ。少なからずも、生贄を欲する危険な神だと思います。御柱祭なんて、死人をしょっちゅう出しますし。」

何となく、腹から言葉を出した。

(祭が漢を呼ぶか、死ぬか、死なぬかその際どさが男の性をくすぐるのも分からなくも無い。)

きっと、前にいる修験者の服装をしている二人は精神的で象徴的な、神を崇めているのだろう。

そんな二人は、お諏訪さまをどのように思っているのか気になる。

 四駆が爽快に駆ける長野の、のどかな林檎畑に神震災を逃れ野宿する人や、楽しそうに駆けまわるニャンビー。遠く洩矢山が見えている。山頂から、何か巨大な頭が揺れた。

花鳥婦月のジャガーだ。若彦が乗る四駆が諏訪湖へ来るのを今か今かと待って居るように眼を細め、顔を洗っている。

「本当に諏訪湖へ行くのですか?」

若彦がふと、ニャンビーの男女を見ながら言った。

「若彦さん、見て下さいよ、洩矢山の山頂越しにジャガーの花鳥風月が舌なめずりして、我らを待って居るのですよ。」

「そんなん、見りゃ分かりますけど。と言うか、どうして俺達を待っているって分かる?」

「玄利さんから、あのジャガーの花鳥風月が、あなたの、いえ、ニギハヤ様の花鳥風月の一つ、ケツァルコアトルのライバルだと伺いました。ネットで調べてもそのようでございますし。」

「ああ、風神で人々に火をもたらしたが為に太陽神と崇められ人々に文字と農耕ももたらしたケツァルコアトル。ニギハヤそのものだな。……そう言えば、日本にも風神格を持った神が沢山居る。一番有名なのが、素戔嗚尊。そして、海外のスサの王、出雲にまつわる龍神は海神格……風神格、農業、道路設備に従事した感がある。……そして、出雲と対する天津神は……雷神の神格を持っている。(素戔嗚も雷の神格を持っている。素戔嗚の威光に甘んじた神々も)一番わかりやすいのが武御雷命。風神、雷神(火も併せ持つ火雷神)……日本の神、鳴る神、神の威光が光る……ん? いや、世界の日の神は、火と水(カミ)の神格から派生した、風神……雷神……が出張ってる。結局、日本の神々は初期神の志が幾重にも混ざって存在している。……素戔嗚も雷神格があるから、鳴る神で……ニギハヤは若雷とも言われていてスサの王の息子……猛々しく誇り高きその神名を轟かす。出雲(国津神)も天津神も元をたどれは皆同族、日本から世界へ飛び出した神の末裔……日本人皆家族。……いや、世界中皆家族だろうな。」

「はい、若彦さん、その話はそこまでにしておきましょう。私達は若彦さん、あなたがニギハヤ様に覚醒して、日出る国、この日本と、世界の立て直しをして頂ければ、それで良いのです。と、言うか、速急にそうして欲しいと思っております。」

(俺もだけど、あの、ジャガーを無視して良いんですかね。)

八切が正面を向いたまま、普段以上にあらたまり言う。

「……え。」

八切に話を途中で制止させられ、良い気がしない。

(ニギハヤは、色々凄い神なのだろう。……でも、僕はただの人間だ!)

「簡単に言うとそんなところなのよ。」

いちごちゃんまで、八切と同じ熱い視線を若彦に向ける。

「出雲……ウミヘビ……来訪する神。お諏訪さまも来訪する神。御神渡りでも有名……。俺達は今、諏訪湖へ、お諏訪さまへ向かっている。来訪……している。」

若彦は頭の中で遊離する思考を咀嚼出来ずにダラダラ喋る。

(若彦……トランス状態に入っているみたいね。)

「そうよ、今の私達は、日本の諏訪へ行って、ジャガーの花鳥風月と対戦し、それを産前世界へ知らしめる。あら、産前なんて、言い得て妙だわね。」

いちごちゃんがホホホッと笑った。

「すみません、車を止めて下さい。」

若彦は、八切の首をぎゅっと絞めて言った。

「若彦さん……。」

「良いから、早く、俺を降ろすんだ。今すぐに!」

仕方なく、八切は後部座席のドアを開けた。若彦は飛び降り、林檎畑へ駆けだした。

――頭の中では、別の森を駆け抜け、開けた土地と、懐かしい古代の集落、目の前に玉姫がいた。

(玉姫!)

玉姫は、若彦に気が付いたのか、こちらへ向かい手を合わせ、その場を足早に立ち去ると、一つの竪穴式住居へ入ると、地下へ続く階段があり、玉姫が吸い込まれるように入って行った。

(なんだ、竪穴式住居に地下室があるなんて……ああ、そう言えば地下施設のある神社もあったな。何処かの神社の地下で儀式を行う映像を見た事があった。玉姫もそれを行うのか?)

 玉姫が地下へ降りると洞窟があり、現代と見まごう、医療機器や、試験管、アンクに似た注射器が整然と置かれている。

 厳重に蓋が閉じられた壺の蓋を開けると、白い煙がもわっと出てきた。

(液体窒素か……! もしかして、浦島太郎が開けた玉手箱は液体窒素入りの箱だったのでは?)

玉姫は、厚い手袋を装着し、白いもやが出る壺から、試験管を取り出した。

(どう見ても、これは液体窒素で凍結保存された、卵子、精子だろう。)

(そういや、浦島太郎も竜宮城へ行って玉手箱を貰い地元へ帰るって言う、物語だけれども、龍宮、龍神の国、龍が治める国には、DNA工学研究所があって、不老不死……人の生死に関して高度なテクノロジーを持っていたんじゃないのか。……浦島太郎は亀で龍宮へ行き戻り、俺は花鳥風月で過去へ行き戻り、してんじゃん。……浦島太郎は虐められていた亀を助けたって……亀は乙姫様の眷属。龍の国の住民。……俺は、乙姫様なんて、助けてなんかいないがな。)

 玉姫は、明視野顕微鏡の側にある試験管立てに取り出した試験管を置き、明視野顕微鏡を覗き込んだ。

(乙姫様は、浦島太郎に地元へ帰って貰いたくなかった。それでも、浦島太郎は乙姫の話を聞かず地元へ帰り、玉手箱を開けた。開けた瞬間浦島太郎は老人になった。……昔から不思議でならなかったんだが、乙姫は浦島太郎が好きで仕方なかったのに、わざと老人へ戻す呪いを玉手箱に仕込んだのか。何となくだが、老人は仙人に表されるように長寿の象徴。乙姫の愛が本物だとしたら、浦島太郎は若くして龍宮を離れたが、親族が皆死んでしまった後までも生きた、と言う事ではなかったのだろうか。……俺みたく、過去へ行き、未来へ飛んだとしても、下手したら俺が生きていた時代の先へ行けるのだから。)

 玉姫は、明視野試験管にスポイトを差し込むと、明視野顕微鏡に置いていたスライドガラスに一滴雫を落とすと接眼レンズを覗き込み器用に細い器具を動かしている。

(玉姫は、俺を一方的に好いていた。乙姫と同じだ。……浦島太郎も竜宮城で遊んだって……親父が人生は思いっきり遊べと(黄泉の国(過去))でそんな、俺は浦島太郎みたいに酒池肉林を体験した覚えもな――い!)

(でも、この玉姫は顕微受精でもしようとしているのか? 何のために?)

部屋に玉姫と同じような服装をしている八人の巫女が入って来て、玉姫を近くにあった診察台と思われる石のテーブルに寝かせ、白くむっちりとした両足を開かせると、アンクに似た注射器を玉姫の陰部に突き立てた。

玉姫は少し顔をゆがませ、何事も無かったかのようにテーブルから降り、こちらを垣間見てまた、若彦の方へ手を合わせた。何かブツブツ言っていたが良く聞こえない。玉姫は足元を気にしつつ階段を登り外へ出た瞬間、閃光が走り……。

(俺マジ、ヤベェわ。脳内トチ狂ってる。何もかも、寄せ集めの情報だと思うんだが、コレがもし、本当だったら俺……人前で、「俺がこの世を建て替える。建て替えて魅せる! 俺には出来ます!」なんて、宣言しそう。俺が、神に選ばれし男だって! マジ、頭のイカレタオッサンだ。そんで、宣言して実行したとしてさ、何か手違いがあろうものなら、俺、側近に殺されるぜ。歴史は必ずと言って良い程繰り返す。神輿に乗せられた奴は衆生の意向を成就させられんかったら、必ず引きずり落され殺される。それが、神の暗部!)

「あ、あ――あ! それが、神輿に乗る王の、関の山……おや。」

若彦の目の前に、それは綺麗な青大将が目に留まった。丸く黒い目で赤い舌を出し、若彦を見つめている。若彦がそっと手を伸ばし少しも動じなく、青大将の頭をそっと撫でられた。

「艶やかで、冷たいかと思いきや、お前の頭ちょっとぬるいな。」

『おめ――こそ。僕の、頭を撫でておいてからに、その言い草なんですの。』

(また、蛇(青ちゃん)がなにか、言ってる♡)

『……別に、僕はひと時だけだったら御前の頭の飾りになったって良いのよ。ニギハヤともそう契約したからな。だから、君は僕に優しくしてね。』

(いやいや、誰も頭に君を乗っけて歩きたいなんて思っとらんよ。優しくしろなんて、最強の奴隷契約か何かですか?)

『ふぇっふぇっふぇ。一介の動物と、僕を思ってよ。それよりさ、君達の言う動物の僕の目から見ても、あれらは異常な事ですねぇ。僕ら動物も、ひと目見て危険だと分かるし、過去に君らがおかしくなった時にどうしたのかも僕は知っているよ。僕が御前の頭の上に乗っかっても余りある助力を御前が貸してくれると僕らは願っていますのにゃ。』

「にゃ。って。君は蛇様だろう。」

青大将は、口をカパッと開け、首を上下させ人間みたいに笑っている。

「君を頭に乗せて……って、ラピュ〇じゃなくて、エジプト……のファラオみたいじゃないか。君がアレと、言った時、あそこのニャンビーを見ていたね。……あれらが異常で、蛇の君にもそれが分かると。過去に俺らがおかしくなった時に……どうしたかも知ってるってそれ、ホント?」

青大将はコクンと頷いた。

「でもさ、君らは、ずっと昔から人間に狩られ、住みかを奪われ、生息数も生息域も劇的に少なくなるまで追い詰められてしまったじゃないか。そんな過ちをした敵である人間の頭に乗っかってニャンビーを見てあれらはおかしいと、助けて欲しいと思うのか。」

『御前は、こんなにも、僕と話を出来ると言うのにそれでもまだ、蛇と人間の差を越えられないと言うのですかにゃ? 僕らはただただ、この地を住みかとする同じ動物なのですよ。』

「うむ…‥動物であると言う事に変わりないのは納得。」

林檎畑の端にある小川がちょろちょろと音を立てている音が耳に入って来た。

「若彦ッ――。」

背後から、迫って来るいちごちゃんの声がした。

 おもむろに、青大将を掴み、そっと頭に乗せたら、 自ら丸く納まった。

『ニギハヤ。』

青大将が叫んだ瞬間、頭がカチ割れんばかりに痛くなった。痛みでその場に崩れ落ち、のたうち回って、小川に落ちた。

――もう、どうにも止まないのか!い、嫌だッ――!

水平線に沈みゆく夕日の砂浜だろうか、男は腰まで長い花緑青の髪の毛を風になびかせ、純白の太古の服を纏い、これまた白いドレスに似た衣服を纏う乙女の肩に手を置き薄青の瞳に夕日を映した。何を思ったのか、二人は向かい合うとお互いの腰に手をまわし、どちらからともなく唇を近づけた。

(やめろ――! 俺……は、そんなこと、……したくない!)

声にならない声で、叫ぶが背後に強力な力で吸い寄せられどんどん景色が遠のいていく。


轟々と冷たい水が頭から足のつま先まで絶え間なく流れていく、林檎の重なり合う葉が影を差し暗く浅い水底がキラリと光った。

若彦は起き上がった。腰まである長い髪の毛は光り輝く花緑青に変わり、肌色は明るく艶のある小麦色へと、薄く開いた瞳の色はもしあったとすれば川の色の薄青だ。

 駆け寄ってきたいちごちゃんを迎えるように若彦は小川から起き上がると、目じり鋭く水が滴るその姿でいちごちゃんを凍てつく眼差しで見つめた。

『水も滴る良い男は、きっと、良い仕事をするのだ。』

「お初にお目にかかります。私は米土光です。若彦さんの前世のニギハヤ様……ですか? そして、その蛇は。」

『いちごちゃんですね、わしは今、何も気に病むことは無いぞ。して、こいつは、脱げぬ。』

ニギハヤが頭から外そうと躰を掴んだが微動だにしない。

「えっ、何故です?」

『どうやらな、青ちゃん自ら、わしの冠になってしもうて。』

ニギハヤは優しく青ちゃんの背筋を撫でると花緑青の頭の上に乗せたまま、いちごちゃんが差し出した手を強い力で掴み、小川から引き上げられ、いちごちゃんの耳元で囁いた。

『この時代の開拓技術……若彦の記憶と照合し、しかと学ばせて頂くぞ。』

ずぶ濡れの、衣のまま八切の四駆へ戻ろうとするニギハヤ。

「ちょっと、待って下さい。そのお姿のままだと……!」

四駆の前で、腕組みし待ち構えていた八切。

「若彦さん、どうやら、覚醒したようですね。」

『フン、これを覚醒と呼ぶのは愚かなり。先程の巫覡もそうだが貴方達には術の匂いがする。その車も術と言えば術なのだろう。……この樹林も既存の型に当てはめ、土も……。若彦の意識がわしにやっと乗って来たのだ。この波には乗らんと。やっと、わしの視野も広がってきたのだ。先王が眺め喜び勇んだ……奇しくも八雲に護られた国、大事な妻らも生き続けたと言うこの島国日本。太古の時代より大切に子々孫々が育み続けたこの地を護らぬ義はないのだろう。』

「八雲……。真のヒーローは、弱き者を助け、強い者も、弱い者も住みよい国になる様に導くものだと思います。」

『うむ。一番、乗りの遅い「しんがり」が一番大切なお役目なのだ。と、言う訳で。皆さん、諏訪湖へ行こう。テスカトリポカの花鳥風月のジャガーが首を長くして待っているだろう。』

ニギハヤはそのまま徒歩で行こうとした。初夏の長野、そよぐ風邪は心地よく、林檎の木々を横目に歩いていくのはとても気持ちの良い事なのだ。

(まだ、ここは山の上か……良い条件だ。)

「ニギハヤ様、僕の四駆で行きましょう。」

『それでは、細部を見逃してしまう。早駆けをするのであれば出来れば、馬もしくは……。戦も人生の旅のひとつ。今、この若彦の身体ではわしの時代の全てを思い出す事は出来ぬし、思い出すのにちょいと時間がかかる。八切、いちごちゃん、今、花鳥風月にどの程度この国を侵害しているのか、分かるか?』

「少し待って下さい。調べてみます。」

八切が調べてみると、様々な神の花鳥風月や神転生者が所々で在りし日の様相で個々の集団を作り様々な場所で災害を引き起こしている。

「大小さまざまな神社、仏閣、名勝地にその場で信仰されている神々の花鳥風月が暴走しているものや、立ち尽くしている蜃気楼の様なものまでいる様です。神転生者も傍若無人に振舞っている者の数が多すぎて。……あのジャガー程の大きさの花鳥風月は、一ノ宮神社や、大きな寺院規模のものが居るようです。」

『なるほど、自立している花鳥風月はわしが動けばどうにかなるだろうし、立ち尽くしているだけのものは現世における神転生者の権限による実行を行わない限りそのまま、いつかは消えゆくモノよ。そして、ニャンビーが増えているのか。』

「いえ、ニャンビーがこの二日間でどの程度増えたのかは、到底見当がつきません。猫のように生きたい人が成っている病のようなので。」

矢切はタブレットから視線を離し、キョロキョロ辺りを見渡した。

(先ほどまでいた、ニャンビーの気配がしない。)

「いちごちゃん。ニャンビーの気配がしない。どうしてだと思います?」

「猫だけに、何かを恐れ、茂みの下にでも隠れたのかしら。」

いちごちゃんはまた、エナジーバーを一つかじって言った。霊的矛盾や感覚が繋がらない時は特にどっと体力を消耗する。

『恐怖の存在か。』

ニギハヤはため息をつく。

(動物に強制変化させた人猫達の気配をいちごちゃんは何とか気が付いた。が、八切、八の名を持つ貴様でさえ、あそこの陰にニャンビー達が潜んでいる事に気が付かぬ。若彦も感が鈍くて重いこの身体も時代が変化した影響だな。)

「ははは、本当ですね。……助けられたいのに、その存在自体に恐怖する。」

オオカミ君が微笑んだ。

『己の中に必ず、獣性は持ち合わせている。己、おのれは、蛇……胎児をも現す己、おのれは糸まきの形を描いた漢字と言われるが、己の中に、獣性の蛇の胎児がいる、そして巳に繋がるのが神意。いや、木に絡みつく巳こそが、スサの王が森林、自然を大切にし、己の中に潜む獣性をねじ伏せ、輝く神聖を発揮し人々に富と薬をもたらし人々を導く、神意は有機物から生まれ成長し、龍になり、翼を広げ飛び立つ。それが鳥。』

『神意を持ちて現れよ、我が花鳥風月、烏! その黒陽の翼は誰よりも高く空に舞い上がり、その知性は、世を統べる治世となる。さあ、我が元へ来るのだ!』

暴風を纏い黒い巨大な烏の花鳥風月が現れ、三本の足に鋭い爪を優しく広げ五人の前に着地した。

「やた……八咫烏……。八咫烏と言えば、素戔嗚尊っ――すね。」

オオカミ君がほぉっと、息を吐き見上げた。

「己の意味は、昔は、選り分けると言う意味でも使われていた。現代は紀が己に糸でより分けると意味を持つ漢字になりましたが……。ニギハヤ様の花鳥風月が八咫烏ですか、なるほど。より良く美しい導きのトリ。執り行う己のココロが美しく振るえれば、己の蛇(獣性)はヨイものにふるい分けられる。「良(ヨイ)」になるのですね。」

『オオカミ君よ。なにさ、堅ぐるしい事を言うでない。八のつく一族の、いや我が先王のモノはわしにも使えるぞ! わしとて、先王の威光だけで生きた男ではない、使えるものは……。』

「親でも使え! ですよね、ニギハヤ様!」

八咫烏が首を下ろすと同時に、スケスケ衣装の天女玉姫が、ニギハヤの頭上に滑り落ちてきた。

「情報戦を得意としていたが、一つの過ちをしたが為にアマノサグメと呼ばれた、あたしは玉姫の花鳥風月よっ!」

胸を張って宣言すると、天女玉姫はふわりとニギハヤの元へ舞い降りた。ニギハヤは上手に抱き留めた。

「まるで、天女伝説のワンシーンね。男女共に、キラリと光る役者とは、あなた方の事ね。」

いちごちゃんにそう言われ、ニギハヤは、苦笑いした。

(なぜ、わしの前に現れた。……玉姫の花鳥風月よ。過去の時代の現象で照らし合わせてみるとこの現象は……如何に。)

過去の知恵(想い出)に縛られていているのは苦しい。ニギハヤは胸元をぎゅっと掴んだ。

――若彦が生きる時代、この時代もあの頃の様にすさんでいる。すさんでいるからこそ、このわしがこの場にいる。

 リライトされた玉姫ではなく、花鳥風月の玉姫の頬をそっと撫で、聞いてみた。

『なぜ、ここに玉姫の花鳥風月のお前が降臨した?』

「何をおっしゃいますニギハヤ様、花鳥風月の花は誰だとお思いで? 鳥になる前には必ず花の様に癒し、花の様に魅了するあたしら、アマの波懐に抱かれて、産み出されたるは、神聖の天女と呼ばれた花の存在あってこそでしょう!」

玉姫がニギハヤの苦虫を噛んだ視線を散らし、腕を伸ばし指さすと、そこには、複数の玉姫の輝きに勝るとも劣らない美しく天女達が、ニギハヤへ熱い視線を送っている。

『ああ、あれらまで。』

「なぁに、ニギハヤ様あれは、とは何よ!」

『ああ……、セオリツヒメ達よ。』

「みな、ニギハヤ様が覚醒するまで、陰に日向に若彦を、あなたをサポートしていたのです。もっと、あたし達との再会を喜んでくれても良いんですよ?」

『再会? いや、君達は花鳥風月、信仰が具現化した者どもであろう。……神転生者となれば再会と呼ぶにふさわしいだろうが?』

「それって、私もかしら?」

いちごちゃんがしれっと聞いた。

「いえ、あなたは、泰賢行者の神転生者だ。」

「オオカミ君てば、夢見る乙女に夢を持たせて頂戴よ。」

「まぁ、僕たちも若彦さんを少し前からサポートしたのは事実ですが。」

八切は苦笑いした。

『貴様らは、わしを助けたのか?』

花緑青の頭に巻き付いて離れない青大将は四人の方へ振り向き、ニヤッと口を開けた。

八咫烏の嘴を一心不乱に撫でるニギハヤ。冒険心に満ちた薄青の瞳がキラリと光る。四人に背を向けたまま、ニギハヤは言った。

『この時代の人間と、神転生者を貴方がたは助ける必要があるとお思いか?』

「勿論! 皆、花鳥風月に怯え、ニャンビーウイルスに感染しないようにギリギリのところで「人」としての気を散らさない様に、皆、逃げ惑っております。」

オオカミ君が叫んだ。

『そうか、それでは、わしは参ろう。八咫烏よ、わしに「未知」先案内を。』

「仰せのままに。」

八咫烏は大きな翼を開き、今にも飛び上がろうとした。

「ニギハヤ様、私達も乗せて下さい!」

ニギハヤは少し物思いにふけってから、頷くと背中によじ登らせた。

『八咫烏の背中に乗ると言う事は、わしのやる事に一切の口出しは無用で願いたい。』

「どうして、ですか?」

玄利は重い金属で出来た弓矢を持ち、今か今かと戦をやろうと待ち望んでいるのにと。

『わしは貴様らに担がれて、わし以外の誰かを助けると言う思想は持ち合わせておらん。』

「……と、仰いますと?」

『これから、皆を、破壊する……。』

八咫烏を飛ばしてすぐ、小さな祠すれすれを飛んだ時、祠に陽炎の様にいる花鳥風月を横目で見た。

『どんなに、小さな社であっても、そこに根付く信仰は時に大きな力になる。』

「力になるのですか。」

『さよう、人間の想いの力は、他力本願のように思うが、思った瞬間、その場の空気を振動させ、神の御宝を起動させる。』

「神の御宝は思いの力で起動させる。神に伏する我らにとって確固たる具現化は永遠のロマンだと半ば思っておりました。」

『神に伏するか。大自然全ては「わたし」であり、神も人もただ自然の大循環だ。その、こまかな輝きを神宝と、定義づけたのがわが十種の神宝。大きな力もそれを構成する細かな動きが大切であろう。十種の神宝の定義は我が血統の使いやすい、身体享受の力を現し……、すまんな、その程度の事であれば貴方がたも知っての通りだ。』

山を下る間に、何人ものニャンビーと花鳥風月が踊り舞う。

「なぜだか、この景色を見降ろしていると、古き良き時代の夏祭りを思い出しますね。」

虚栄に満ちたスカスカの日常から、神社にぽっと明かりの灯った屋台、そのアンニュイな雰囲気は何処かへ連れて行ってくれる。

『虚栄も虚構も、……この日出国の自然の中に、人の中に祭りでなくとも普段からそこにあるモノだろう。それを感じやすいこの国の民だからこそ、十種の神宝の極意が解るはず。』

「極意? ……ですね。日本人が感じやすい。人生の四季みたいなものですか。」

『ああ、そんなところだ。若彦の知識で言えば、平安時代の歌人は池に映し出された月を眺め楽しんだと言うのも。……具体的に身体で触れる事が出来ずとも、感覚で楽しむ。人生の全ては、そう言った楽しみが仕事、生活全般に潤いを与える。』

「ああ、それはまるでそれは、精神論に聞こえますね。」

『精神論? では、貴様は今どこに乗っていると言うのだ。』

「ニギハヤ様の花鳥風月です。……もしかしたら、これこそまさにロストテクノロジー。」

ニギハヤはまっすぐ前を向いて何も答えない。

「どんな、組成であるかは、分からないですが、日本人の我らには作れるものなんですね? ロストテクノロジーであり、フューチャーテクノロジー。もしかしたら、神転生者が多数出現していると言う事は、日本もまだ捨てたものじゃないって事ですね!」

一同ざわつき盛り上がる。

『それは、どうなるかな? わしはわしの出来る事をするぞ。一気に舞い上がれ。』

上空から眼下を見下ろすと、各所の花鳥風月が争っている。

「そら、見ていろよって事ですか?」

弦利がニギハヤを見た。

『ンッ。何のことだ? わしは大いに遊ぶぞ!』

「ええ――! 神が戦に参加し遊ぶ宣言ですか……ああ、それはまるでお祭りでは⁉」

(神視点と言うのは、そんなもんですか?)

『がっ、ははははッ。』

『皆、大いに笑おう。』

『あ、そうじゃ、いちごちゃん、ライブは出来る?』

いちごちゃんは八切にタブレットでライブが出来るようにセッティングを要請し、八咫烏のテカる黒い頭の上で、オオカミ君、いちごちゃん、玄利、ニギハヤの戦ライブが始まった。

(あんたと、戦いたくは無いわ……。)

八咫烏の背後に続き、セオリツ集団が高速で空を飛んでいる。

一瞬、若彦の意識が戻り、玉姫の小言が聞こえたそんな気がした。

(無意識って、どうしてこんなにも不思議なんだ。)

そう、思った瞬間、若彦の意識が途絶え、ガクリと頭を下げた。

ライブは始まり、四分程度で一万人の視聴者が来場し、コメントが殺到した。

「これから、戦うのですね!」

「あの、ジャガーの花鳥風月は強そうだ、本当に倒せるのですか?」

「ニギハヤさん! 頑張って!」

「ニギハヤ様、なにか、コメント下さい。」

『……無意識、意識は不思議でも何でもない。意図するか否か。意図できるとすれば、行動に起こす事が出来るだろう。意図出来ない、意図しない状況こそ、可哀そうなモノよ……この、ライブを見ているあなた方に問う、いつまで、自分で動かず他人に頼るのだ。人は、あなた方が思う行動を取るとは限らん。その間にも、自分で行動を起こさない者はニャンビーとして生きた方がましだと思えるだろう。』

「えっ、何言ってるの、このおじさん。あたしらに喧嘩売ってんだ。ちょーうける。」

八切と、いちごちゃんは顔を見合わせた。このコメントは読み上げられない。

「あ、そのセリフはどこか、神話とかで序文に有ったような気がします。自助努力せよ。ですか。確かに、誰かに助けを求め逃げ惑うより、自らを助ける事が出来れば話は早い。」

オオカミ君は頷いた。

「は――いやいや、この神転生者も政治家さんと同じ事を言うんですね。」

「我々を助ける気は無いと。」

ニギハヤはコメント欄を見ずに、ただ向かい風に煽られ前を見ている。

『その通りだ。』

「うわ、言っちゃっているよ。」

「俺の近所の神転生者は、衆生を助けるって言っていたよ。」

『きちんと、目ン玉ひん剥いてよくココロ振るわせよ。』

「うわっ、見て学べってか。ホント、あったま硬ったいおっさんだ。」

諏訪湖へ向かう道すがら、大小の花鳥風月で意識があり自立し動くモノは八咫烏、セオリツヒメ集団、玉姫を眼で追ったり、少し後を追って来たりした。

神転生者が神社を既に訪れ再会を果たした花鳥風月は、こちらを振り向きまではしないが常にこちらの動向を伺っている様子が感じられた。

  

高ボッチ山、山頂に八咫烏は舞い降りた。

「やっと、お出ましか。ニギハヤの花鳥風月八咫烏。……ケツァルコアトルとの約束を守りこの時代の諏訪湖は荒らしとらんぞ。」

ジャガーの花鳥風月は御柱の社の上空周辺をウロウロと旋回し、その上空でお座りした。

『……ああ、かっわいいなあデッカイお猫様よ。気まぐれなお猫様がお約束を守るとは良い心得ぞ。』

八咫烏の頭の上にすっくと立つと良く通る声で、ニギハヤはテスカトリポカへ呼びかけた。

「ん? 貴様のその姿、ニギハヤか? いや、交じりしもの、神転生者か!」

『そんな、貴様は「存在の力」を使い、この時代の者どもを服従させていないとは、お主もこの時代の和みに染まりやがったのか。』

「何を、言うかと思えば。そんな事か。ほれ、我らの足元を見よ。わしの眷属が居るぞ。」

ジャガーの花鳥風月が足を揃えているその下に、ニャンビー達が思い思いに集合しつつある。

『ジャガー……その本分は「人間」、フフッ。神(わし)も愚息も眷属もそれに変わりはないのだが。貴様にとって、この時代の人間の服従形態はニャンビーなのか。』

「そうさ、この時代の人間はココロの花を様々に振るわせず、一方通行無抵抗で無機質な花で朝から晩まで良く働く、そんな人間達は猫を見ると、あの猫みたいに自由気ままに生きたいとココロの内で願っていた。だから、その望みを叶えてやったまでの事。」

『そうは言うが、貴様が久しぶりに日本へやって来る少し前から、ニャンビーににゃっていた者はいるぞ。それは、どう説明するのだ。』

「ふむ、それはわしとて計り知れぬ事。」

『それはきっと、百匹目の猿現象だろう。テスカトリポカの花鳥風月よ、貴様は知っているか? わしが神転生者として覚醒したせいで、これこの通り、貴様含め、日出国、いやこの世の世界中で花鳥風月が現れ、神転生者があれよあれよと覚醒し始めた事を。』

「はっ、はっ、それは愉快なり。貴様が出現する事により過去の血で血をぬぐう、血祭を大々的にそして能動的に口火を切る事が出来たと言う事、これ愉快なり。」

『テスカトリポカの花鳥風月よ、貴様はこれからどうする? 丁度、御柱の社の上に座って居ると言う事は過去の様に、戦の前にまずは人身御供でもするのか?』

「おお、それも良いな。人身御供をすればするほど、俺への畏怖の念が俺を輝かせるのだから。」

『おお、恐ろしい事だ。』

「なに、ニギハヤよ、貴様は俺を潰しに来たのだろう? 他の神転生者と花鳥風月の様に、貴様もその八咫烏の花鳥風月を使い、この諏訪の地で陣地争いでもかますきか?」

にやにや笑い、顔を洗うジャガー。

『いや、わしはな。貴様の行う人身御供は残酷だから、やめて欲しいと思うが、その他は貴様がどう振る舞おうと勝手だと思っておる。』

「は?」

ジャガーは眼を真ん丸にして、大きな八咫烏の頭上に乗る、花緑青色の頭に蛇を巻き付けている小さいわりにやたら存在感のあるニギハヤを真ん丸の振るえない瞳で見つめた。

「……転生して、腑抜けになったのか? ニギハヤよ。」

『そう言われると、若彦……和魂がわしにそうさせるのかも……知れんな。』

「ちょっと、待って下さいよ。あの、ジャガーの花鳥風月は他の花鳥風月とは違い、雰囲気からして、人身御供……やりかねませんよ。」

八切が口を出した。

『八切……。』

「おい、そこの、人間よ! 我らに口出しするとは怖いもの知らずか、ただの阿呆か。ニギハヤに変わって俺が食らってやるよ。」

じゃがーはニヤッと笑った。白い牙が光る。

ニギハヤは軽く八咫烏の頭を叩くと大空へ舞い上がった。

『わしは、テスカトリポカの花鳥風月のジャガーよ、貴様と争う気は無い。貴様の自由にするべきだ。』

「やはり、あの時と同様、貴様は優し過ぎるのだ。貴様は王の座に就くべき者では無い。」

ニギハヤを乗せた八咫烏は大空高く、高く、上昇気流に乗り浮上する。

「なぜ、あんなことをおっしゃったのです? あの花鳥風月はどう見たって人間の敵ですよ!」

『ふっ、あやつが人間の敵か。そうなると、八切、貴様の敵はわしか。』

「はっ? なにを……。」

『神と言う存在は、人間が担いだモノ。神は包括する民の運命を簡単に左右出来るのだよ。』

「人間が神を担ぎ、神が運命を左右する。それは、仕方ない事だと言って貴方は、何もせずに戦いを放棄するだけじゃありませんか! それじゃあまるで。僕は、ニギハヤ様をそう言う腰抜けの神とは思いたくない。諏訪では一番巨大なあのジャガーを潰せば、諏訪はニギハヤ様、貴方が救えるんじゃないですか!」

『何度も言わせるな。わしは一度ならず二度までもわしは涙を流しとうないのだ。』

「はい? ニギハヤ様が涙を……。僕には考えられません。貴方様なら、あのジャガーとは違い、強くお優しい神かと、ニャンビーも諏訪の地も守って頂けるかと思いました。」

『八切、貴様は一体わしの何を見ている? わしは、今まで貴様に何を話してきた?』

「そう言う、ニギハヤ様は僕達と違う「未知(道)すじ」を見ているのですか。それは、どんな。」

『はっはっはっ。質問が多いなぁ。この身体、未知若彦の行く先を。わしの見ているモノ、見てみたいか。』

『そらごらん。』

八咫烏が空高く飛び上がったお陰で、正に鳥瞰。広大な諏訪周辺を、緑豊かな日本の大地を見下ろす事が出来た。

『戦より、何より。我が日出国が大切にしなければいけないモノは、この一見豊かに見えなくもない田園風景広がる自然界とそこに息づく生命(我らも)ではないのか?』

「確かに、自然は大切ですけれど。そうじゃなくて。」

『そうじゃ、なくてだと? 浅はかな……花クソ深追いしようぜ。』

チラッと、背後の空駆ける玉姫を見た。玉姫はクスリとも笑わない。

『この自然の中に自然の一原子……神宝とも言えるお主達も居るであろう。今、真剣に取り組まねばならないのは、目に見て変わったとは思えない祈りの境地(ココロ振るわせ、遊び)を、今に起きた事はこの様に歴史を繰り返す、再度偏り過ぎた自然を健全に保ち、よりよく自然と戯れる事だとわしは思うのだ。』

「いやいや、確かにそうですけれども。目の前で戦が勃発し、人が死ぬとか、折角この世の立て直しに現れた神転生者や花鳥風月があのジャガーに倒されても本当に良いのですか?」


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