第3話 黄泉の国

  ニギハヤは三輪山の山中を一人裸足で歩いていた。

「別に、降りるのは、この山でなくても良かったのだが。」

九頭龍王の花鳥風月の気配と玉姫が近くに居る気配がしない。

独り言を呟いていると、山中に住まう、明らかに現代の子供ではない子供が、その母親に、

「僕はお母さんと、ずっと、ずっと、一緒にご飯が食べたいよ。」

母は答えて、

「そうね、坊とずっと、一緒に食べたいけれど、そのうち坊は、カカと別れて所帯を持って生きるんよ、食べるんよ。だから、今を大事に生きなさい。」

親子の周りが輝いて見えた。

ニギハヤはその微笑ましい光景を遠巻きに見て、深く頷いた。

そして、自分の掌を見つめてみる。

「やはり、過去に戻っても不安定な身体である事は変わらないのか。」

つくづく思った。この身体は若彦の身体なのだ。それならば……。

「玉姫は、どの過去へ飛んだのだろう……。白和龍王の花鳥風月が穿った穴は、根住穴……ましな花鳥風月であれば、ああ、わし自体もハッキリこの場所へ行きたいと願わずおったから、仕方なし……。だが、わしはあの子をまた、突き放してしまったのか。」

無念なのか、ほっとしたのか、ニギハヤの気持ちは複雑だった。いいや、ある意味さっぱりしたものだ。

「花鳥風月が時を駆けついた場所には必ず一人の己しか存在できない。わしに、逢わずにすむならば、それも良かろう。」

――玉姫もし、また再びこの時代で逢いまみえる事あらば、わしにとっての真実を伝えられるかもしれん、どうして、君が嘘をついたと今生まで語り継がれねばいけなくなってしまったのかを。悉知の境地にあるがゆえに、我が身から向かう事は出来ぬが。出来れば若彦よ、江津の浜にわしが残す石碑を探し出し……。いや、探しだせたとて、あの後になるか。それならば、それは望まぬ。

「過去は変えられぬが、過去を見せる事が出来るのだ、リライトされ、今生まで変えられてしまった信仰を以前の玉姫が玉姫の事を、若彦が知らぬ、過去のわしと言う男を、若彦がハッキリ理解出来るであろう。理解出来れば霊振りの波動は変わる。変われば若彦の生の時代自然を軽視する、数多の霊の行動を変える指向をもたらす事も如実に出来るだろう。出来るだけ早く……。あの花鳥風月は、いや、風雷の王、風光、そして雷光。君達はその為に呪術を玉姫に施し教え導き、若彦が生きる時代に厚い信仰の権現、花鳥風月を出現させるように仕向けたのだろう。この若彦の魂、からだを持ってして若彦に終ぞ見せるぞ、わしの生きざまを。」

「若彦、起きなさい。」

はた目からは、独り言を何やらブツブツと話している男にしか見えない。

意識が朦朧として重い瞼をこじ開けると、山中を転げ落ちたのか、着ていた紺色の衣は泥で汚れていた。

「五里霧中って、こんな事かよ。」

全く、知らない場所にいきなり放り出された。

「クンクン……匂いは、森の匂い。草木は……! なんてこった! 箱根に自生するものではない。……と、すると、ここは箱根じゃない、かといって、照葉樹ばかりではないから、沖縄ほど箱根から遠くはない。それは分った!」

若彦に解ったのはそれだけで、雑然と茂る雑木林。どんな時でも、森は心を和ませる。木々の匂い、鳥の声……。

あれも、これも、輝いていて気になるものばかりだ。


  下半身にぬるく、しつこくせめ、舐める刺激に気が付き玉姫は目を覚ました。

「ううっ。」

天上を見上げれば、太い梁が目に飛び込んでくる。どう見たって、現代ではない。それに、股に感じる不愉快さ。

すかさず、股を上げ、その男から距離を取った。男は既に裸である。

「巫女よ、何故、逃く?」

これから、と言う時に胸から逃れた女を半ば恨めしそうに、じらしているのかと微笑んで見つめて来るものだから、玉姫はふぅっと息を吐き、整えた。

「……その、お顔……。」

「なに、知らぬ仲ではあるまいに。あぁ、そうか。俺の元へ来る途中の道端で倒れていたのは本当の事だったのか。どこか、頭の打ちどころが悪かったのか?」

男は、スタイルや澄んだ湖畔色の瞳、若彦が変化したニギハヤに似ている。筋骨隆々で、日に焼け、艶やかな肌の色。男と対照的に玉姫は黒髪に茶色い瞳。際立って美しい女ではないだろうが、ダテ食う虫も好き好きで、この国の男は玉姫の様な女を好んでまぐわい、子を成す。

微笑んでいるのか、目じりが下がっている。甘えるように男は手を伸ばしてきた。

 男の住まいは戸口が開け放たれている戸口に、ヒレを纏いさらりと流れる星色のウェーブした髪の美女が二人に微笑みかけ忙しそうに前を通り過ぎていく。

「あの美しい乙女達をご所望してくださいな。」

男から視線を外し、衣を探した。先程横になっていた場所には藁が敷かれていたが、衣がない。……どうして?

突然、男は走り寄ると、玉姫を羽交い絞めにした。

「おやめ下さいってば。」

「はぁ、巫女よ。巫女の身分で俺にやめろと命令するのか。……俺は知っているぞ。お前が三輪のカミの御使いで俺の国へ足しげく通っていると言う事を!」

「えっ……、あぁ……。」

そう言う事か、と、玉姫は腑に落ちた。

この、細い釣り目の印象的な顔立ちの男は、ニギハヤが大和の大王として君臨していた時代の……周辺国、もしくは、いつぞやの侵略国家の王か、その側近だった。

玉姫は、男の剛力の前に、今は項垂れるしか、方法は無い。

白い乳房が男に弄ばれる。

背後に感じる男の荒い息遣いと、それとは真逆で引いて行くあたしの体温。

――敵国の、スパイだと知られた女は侵された上で殺される憂き目にあうのが世の常。

涙が、頬をつたう。

男は、その涙をぬぐい、強くだがそっと促し、玉姫の中へ侵入してくる。木っ端の様に揺れる身体と重なり合う吐息……。手を伸ばしそっと、男の頬に手を添える。

(どうしてこれが貴方なの、ニギハヤ様だったら良かったのに……。)

男が口吸いを求め、玉姫は男の首に腕をまわし、そっと男の唇に舌を這わせ男の真剣面を見た。

(ニギハヤ様と同じ……美しい桜色の薄い唇ね。)

 交わる唇。男が気をやり終え、玉姫から離れると出口の方向を指さし、男は言った。

「衣は、外の樹にかけてある。嵐の道に寝そべっていたから濡れていたのだ。明朝には乾くだろう。日が登ってから、主の元へ帰ると良いさ。」

男は、藁の上をぽんと叩くと玉姫を呼んだ。

外には遠く村の入口には松明がたかれているようだが、その他は暗い。確かに、手に覚えがあるとはいえ、今から女一人山を越えて行くには遅すぎた。

仕方なし、玉姫が男の横へ行き、座ると、男は抱き寄せ、抱きしめ横になった。

「玉姫……、今宵は楽しかった。よもや我に気のないお前が我と、褥を共にしてくれ感無量である。この日が来るのをずっと、我は指折り待っておったのだぞ。」

「はぁ? 戦人が私を待っていたとは思いもよりませんでした? そもそも、あたしは巫女。殿方と交わってしまったら、巫力を失うと言われております、ゆえに。」

「なんだ、玉姫、君は本当に……あの日の約束すらも、忘れてしまったのだね。」

怒りと悲しみと恐怖がある程度落ち着き、広い一間の空間をやっと見回す事が出来た。この時代のこのような広い屋敷は……。

「約束って、なんの事ですか?」

「我が国との三輪の神の国との同盟さ。」

「同盟……。」

同盟関係で、玉姫がニギハヤの元で働いた期間は実は少ない。玉姫が若すぎた事もあったが、知識を伴わないと、男の世界を垣間見るのはとても危険な事なのだ。

 花鳥風月の呪力酔いなのか、まだ、頭がハッキリとしない。ここは、巫女としての本領を発揮したい所だが。

男の肩に腕をまわし、うっとりとした眼差しで、囁きかけた。

「我が王が、同盟を行うとは貴方の国はそんなに、良い国でした?」

「あぁ、本当に何もかも忘れてしまわれたようだ。君は、我が花を手渡した事さえ忘れてしまったのであろうか。」

「花……。あっ。」

「おっ、思い出したか?」

嫌な事を思い出してしまった。抱きしめまた再び抱こうとする男を、腕で押しやった。

「貴方は嫌いです。」

「ん? なんだって?」

「嫌いと、言ったのです。」

「我が、嫌いだと? 何を持ってそれを言っているのだね?」

「全てが。その全てが嫌いなのです。」

男は、いや、この国の王は、これまでも姑息な手を使い、ニギハヤ王国を徐々に飲み込んで行くのだ。何とも言えない、手を使って。玉姫には、湖の湖畔で跪き花を一輪手渡し愛を囁いた。――婚姻はお互いの帯と紐を解くことから、始めるものなのに。

「君は我と出会った時から、アーモンドの目をする。我がプロポーズしたその時、玉姫はどの男の「モノ」でもなかったではないか。我のプロポーズを受けてくれたではないのか?」

男は不服そうだ。

「この婚姻は君の国の、そう、君を含めて子、女子に悪い話ではなかろう。」

「貴方は、良い香りのするモノや、鮮やかな織物、確かに我らの国では見た事も無いもので我らの国の子、女子を誘惑する。誘惑するだけに収まらず、強姦する。」

「強姦……! 了承の上だぞ?」

「……フン。」

「口が良く通る女よ。我が君に、わが国の男が汝の国の子、女子を強姦とは、言ってくれたものだな……。君以外の子、女子は喜んで、我が民の男からの贈り物を受け取ってくれているではないのか? この国には良い男がまだ、わんさか居るぞ。まだ、我が国は新しいが……。」

傍若無人に婚姻前の子、女子を襲う族が何を言うかと思ったら。

「私の大王に使える女達が喜んで貴方の国の男達と交わり、子を産み大王の国を貴方がたに譲るとでも……? 新天地で国を大きくするには現地女性を襲い、子を孕ませ、勢力を増す方法がありますが、処女を失った娘は我が国の男と結ばれ添い遂げる事、罷りならぬ。そうしてなくなく、貴方の国の下衆野郎の元へ嫁ぐ羽目になっているのですよ?」

(女たちが嫁ぎ、幸せになったか、と言えば賛否両論の様ですが。)

(まったく、もう……。この国を率いる王がこのようでは仕方ない。我が大王の子、女子も簡単に贈り物を、不可思議な求婚、不可思議な愛欲を貪ってはならない。だから……ニギハヤ様の国は追いやられてしまったのに……。)

(この男の国に出入りしていたのは、あたしが巫女に成りたての頃。右も左も分からない時。ニギハヤ様が倒されるまで、少し猶予がある。あたしが、天津国の使者を悪者扱いしたがゆえに、ニギハヤ様が殺されてしまうまで――。)

「玉姫、君にもお土産を持たせよう。また、この宮に来てくれ。」

玉姫はウ――ンと伸びをして、欠伸を欠いた。

「お言葉に甘え、明朝、日が昇る前に我が国へ帰ります。頂けるものは頂きますが、我が心は……。」

白い柔肌を抱く男の目には、何が見えていると言うのだろうか。

「君達は、何に忠誠を尽くすのか? 我らが忠誠を誓うモノと違うモノにか?」

細く白い腕が弄ばれる。わきの下に這われる舌と鼻。

「良いものを持ち、良い政治を行える男こそ、至高の存在なのではないのか?」

「至高の存在……。そんなものは……。」

この国の下衆野郎が良く言上げする言葉。

いや、そう思う玉姫自体が下衆なのだ。

(やれる……。今のあたしにだったら、やれるわ。)

下衆い微笑みを浮かべながら、男の急所を強く握った。

「ああ、そうだ。我は玉姫、君のあくどい表情と手痛いあしらいが大好物なの! もっとぉ。」

「少し、黙っていて下さいね――。」


  三日、山中を彷徨い歩いた挙句、今や絶滅してしまった爬虫類を次々見つけ戯れ楽しいひと時を過ごしていた若彦は鼻先に微かに動く何かに気が付いた。

「ふふっ、これまた、珍しいの、見――つけた!」

 前方の岩陰から、見た事も無い白い爬虫類が現れ岩の上に登って来た。素早く捕まえると胸に抱き岩陰に隠れた。

大きな籠を背負った女性が息を切らせ山道を登って来る。よく見たタイムスリップ物の映画では、過去の時代の人と出会ってしまうと、未来が変わってしまうと言う。木陰に隠れて潜んでいたら、しっとりとした雰囲気を醸し出す女性が木々越しに話しかけてきた。

「若彦……?」

「ねぇ。若彦なんでしょ?」

「……。」

若彦は白い爬虫類を抱きかかえたまま、息を潜め続ける。

『あにゃたは、若彦にゃんねッ?』

白い爬虫類がこちらを振り向き、若彦の脳裏に直接、優しい声で話しかけてきた。瞳の輝きが純粋で輝いて見える。

『あんた、起きにゃさい、朝ですニャー―ン。うふふ。』

爬虫類のくせして、小さな口をカパッと開けて、にゃ――と言う。こいつは、一体。

(あんさん、自分を「猫」だと思っているのか? 大概だな。)

『ううん、とね――?』

可愛く小首を曲げてそれは言ったと思ったら、とたん、キリリと小さな背筋を伸ばし、

『大概はお前だ。何故、お前はそこに居るのか?』

可愛い白い爬虫類、いきなり、男性の野太い声で話しかけてきた。

『にゃあ♡ なんちゃって、ごめんなさい。あたしは、はあとの戦士いちごちゃんよ。八切、話の途中で割り込まないで頂戴!』

『なにが、ご免ですかッ。こちらは一分、一秒を!』

『……。』

白い爬虫類は一度痙攣すると目を閉じ、ぐったり若彦の胸の中で息絶えた。

(なんだったんだ、今のは……。はあとの戦士いちごちゃんて、新潟のいちごの……ご当地アイドルだったような?)

若彦は、白く可愛い爬虫類の為に穴を掘ると埋めてやった。


長野、戸隠、奥の宮で八切といちごちゃんはつい先ほどまで加持祈祷を行っていた。

二人がこの地に来るまで、目の前に飛び込む震災の影響は甚大だった。迂回を何度も繰り返し、移動中も巨大な自身が車を揺さぶった。そんな中でも車中で、いちごちゃんは黙々と護摩木を幾つも書き上げたのも幸いした。

「多分、天啓で見た箱根の九頭龍に関係する彼の波動を時クダリの呪術でたどり、猫まねをしてみたけれど……、蛇の天敵の猫に扮してがそれにしては反応が鈍かったわね。彼はまだ、真の姿になれる程、覚醒していないわ。」

額に満ちた脂汗を拭きとり、消えかけた護摩の炎から視線を逸らせた。

「いちごちゃん。この呪術の有効時間は短いと説明したはずですが?」

「ああ、ごめんなさい。つい、気が可愛い彼だと長話したくなっちゃうのよぉ。」

八切は深いため息をつき次の手段を考え始めた。

涼しい風にふかれ、いちごちゃんは口笛を吹き、持って来たエナジーバーを一口かじった。

「ここは、全国に多数ある九頭龍伝説の中でも屈指の土地の一つ。私達修験の道に伏す者としても有名な修験の山、戸隠だからこそ、この地に赴いたのだけれど。……私達にこれ以上打つ手はないかしら?」

「僕は、審神者ですから。次の啓示を待つのみです。」

八切は曲がった背中を伸ばし、地面に視線を向けるともの言いたげな、カナヘビが一匹いた。

いちごちゃんが手を打った。キンっと空気が振動する。

「もしかしたら。打つ手が無いのではなくて……なにか、私達の過去へ架けた呪術、以外に別の取っ掛かりがある気がする。と、なると私的に、もう少しこの戸隠の地でお籠りしたいわ。……戸隠の地で籠る……この戸隠神社のおこりは神世の昔、天の岩戸が飛来し、現在の姿に戸隠山がなった時からと言われているけど……何かが引っかかるのよねぇ。女の感が疼くって言うか。気持ち、戸隠神社の家紋が卍紋だ、幸福福来、末に良し!」

護摩木はいちごちゃんの煩悩の塊であり、それを炎で浄化したところ、願が叶ったのだが。

「それなら、良いのですが、具体的にはどうすれば良いでしょう? 一度、この土地に眠る、九頭龍王の禁足術を手がかりに使い、過去の世界に干渉出来たと言うだけです。術が成功したとはいえ、この地であの程度であるのなら、他の場所へ行って再度別の呪術を施し、その地に眠る花鳥風月を揺り起こした方が良いでしょう。」

「そう、かな。」

「そう、でしょう。さぁ、行きますよ。」

そそくさと、後始末をし、車に呪具を積み込む八切を見つめていたいちごちゃん、奥の宮に呼ばれ振り向くとそこに、一人の全身白い巫女装束を着た巫女がこちらを見つめ立ち尽くしていた。

「そういえば、戸隠の九頭龍、花鳥風月って、何かしら?」

巫女はにっこり微笑みかけてきた。

「はい?」

『あぎょうさん、さぎょうご。いかに。』

いちごちゃんは、荷物を積み込み終わった八切に、視線で訴えかけた。

「いちごちゃん、何か呪術を施したのですか?」

「いや、私はコーリングしていない。気が付いたらそこに巫女が。あぎょうさん、さぎょうご……と。」

「ん? あぎょうさん……言葉遊びですか、答えは「うそ」です。」

白い巫女はにこりと微笑む。

「……これは、我らが術式で呼び出した「なにがし」ではないですね。どちらかと言えば、この地の花鳥風月ですか?」

「八切、この巫女さんが、戸隠の九頭龍王か?」

いちごちゃん達は身構えた。それについて、術を施していないが、この戸隠で加持祈祷したのは間違いないのだ。しかも、禁足術が一つ過去世と交流を持ってしまったのだ。

花鳥風月はその土地で長年信仰されてきた仮想の神を呪術者によって具現化した「遊び」。

果たして、目の前に佇む巫女は、何者なのか。こちらの視線に気が付き、話しかけてきたのだし、今は二人の方が巫女に術をかけられている場合も考えられる。

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいていると。

『あぎょうさん、さぎょうご。いかに。』

また、同じ質問をニヤニヤしつつ、巫女は語りかけてくる。

「問ふ神よ、導き出したる、その答えは「うそ」!」

箱根も戸隠も修験道の聖地。巫女が問答してくるのならば、それ相応に答えれば良いのだろうと、八切は問答に答えた。

『わたしの衣服は白いが、あのモノほど白くない。』

「はぁ? 意味が分からん、って……えっ。」

巫女はいちごちゃんの前に進み出て、そっと、いちごちゃんの手を取ると拳の形に丸め、拳と拳をカチ合わせる。

周囲に、霊気が漂い巫女の顔が暗い。嫌気だと言う事が如実に分かる。

「あなたの衣装のお色が白いとは?」

白い巫女は、頭を左右に振り、

『私は龍。』

「あなたは龍、白い龍?」

『いいえ、私は龍。』

(いちごちゃん、この問答、これ以上続けてはいけない。私は龍と申されても、白い龍だとは言いません。上手く神託出来ないのでしょう。)

八切はテレパシーでいちごちゃんに伝えてきた。原子レベルで伝わっているので、いちごちゃんは頷いた。そして、何となく目の前に居る巫女が誰だか分った。

「龍で、巫女で、白い姿と言うと。この場合の白は、信仰する者達の持つ、花鳥風月の姿。と言う事は、白いなにがしかの龍神信仰で女性(巫女)と言えば、あの御方しかいない。」

「白山信仰の、白山ククリヒメの龍。」

二人は同時に言上げした。

巫女は、表情を変えず頷いた。

「ここは、戸隠……、なぜ白山の龍、花鳥風月が居る?」

「いちごちゃん、何を今更! ここ、戸隠も、白山も修験のお山の神です。ここにおわすこと自体は、何の不思議も無いのでしょう。」

神の話も、霊的な話も理性的に考えてしまうと、足を取られてしまう。

だからと言って、いちごちゃんに八切の言葉を覆す事はしない。

(ああ、確かに修験道的に言えば。そう、富山の白山信仰の龍勢力が、川を遡上する際に長野の龍を倒し、勢力地を広げて行った様な昔話があったけれど。今は、口に出さない方が良いわね。)

巫女は、話を続ける。

『この地は、箱根と同じく、龍のハブになっております。』

「この地が、箱根も? ……龍のハブとは?」

『花鳥風月の寄港地なのです。他の場所にもありますが、龍のハブを上手く利用して下さい。』

「花鳥風月の寄港地を利用? 先ほどの禁足術、時クダリの事ですか?」

『私は、過去に起こしてしまった一族の禍の歴史があるからと、今、地の底深く眠ってはおれません。可愛い子々孫々と、あのお方の微力ながら手助け差し上げたまで。』

それだけ言うと巫女は、すっと姿を消した。

暫くその場で他の変化はないかと暫く待ってはいたが、他に動きが無かったので二人は四駆に戻った。

「いちごちゃん、先程の白山の巫女、いえ龍について、どう思われますか。」

(にゃんこの、にゃんこが、にゃんこでぇ、どらねこ、どらねこっ。)

八切の話をぶった切り、ラジオにその場にそぐわない、メロディの歌が流れてきた。

「どうと、聞かれてもねぇ、気になるのは、時クダリの術の際に猫……私、猫に扮したじゃない。猫は蛇の天敵。白山信仰の龍も、九頭龍の天敵だっただろうにねぇ。なのに……今? 敵に情けをかけるってことかしら。ねぇ、八切。」

「今……敵に情けをかけるですか。」

八切は、静かに車を出す。

「若彦さんに何かが起こるって事か。……ふふふ、いや、もう既に若彦さんはタイムスリップしています。余りにも様々な現象が目の前で興り過ぎ、僕らは麻痺していたようです。」

「あっはっはっ。八切、それ、全然笑えないぃ。でも、我らの権現様からのご依頼、受けない訳にはいかないわ。はあとの戦士いちごちゃん、ボリュームマックスいちご汁で挑みましょう!」

「ええ、そうしましょう。」 


  なにがしかを心底愛でると言うのはいつの時代も心温まると言うものだ。たまたま、通りかかった沼地で捕まえた白い爬虫類がニギハヤの腕の中から、何かもの言いたげに赤いくりくりした目で見上げてきた。

(もうすぐ、彼女はわしの元へ来るだろう。若彦は避けられたが、わしには無理だ。)

巨大水軍の戦艦が並ぶ港街の片隅にニギハヤは大王らしからぬ服装といで立ちでいた。

それもそのはず、そもそも、ニギハヤの本分は巨大水軍組織を束ねる大王。そう、あるとしても、ニギハヤ大王として振舞うのは後世に繋がる忍び一族の長としてはあり得ない話だ。  

その存在は他国の要人が意図できぬよう、普段から戦を好まず忍び、一族を愛し愛情深く。

 ニギハヤ自身、庶民に混じり生活する、これぞまさしく生きる喜びを感じる。自らが大王だと、主張し、豪華絢爛な生活をしていると、直ぐに敵に目星を付けられ、王が倒され王国は転覆する憂き目にあう。この大和での、生活はニギハヤの性に合い、豊かで良いのだ。

(山は落ち着く。お前もそろそろ住みかへ戻りたいであろう。)

ニギハヤは白い爬虫類の艶やかな四肢を撫で、地面に降ろした。名残惜しそうに白い爬虫類は何度も振り返り歩みを止め道の真ん中で止まったまま動かない。丁度そこへ、息を切らせやって来た玉姫の気配にも怯えず踏ん張っていたのだが、ニギハヤが畦道の水路へ放った。

「ニギハヤ様ったら、探したんだからねッ。今持っていたヤツ、白焼きにでもして食べてしまえば良かったのに。」

「玉姫、あの白い生き物を食うだって、わしの大切なひとだったら、どうしてくれよう?」

「ニギハヤ様の大切なヒメでしたら、こんな昼間っから、かような姿はしていないでしょ! ねぇ、それより……ニギハヤ様。」

「玉姫は、どこまで行って来たか?」

「はい、最近我が国、ヤマト周辺で、勢力を増す新手の王の所です。」

「新手の元へか……。」

「はい、少し……、進展はありました。」

「進展? 何の新展開だ?」

「……はい。」

玉姫はヒレで恥ずかしそうに顔を隠した。ヒレの裏で妙な汗ダラダラだ。

「はい、では分からぬ。何か、新手の敵の情報を入手したのか?」

「あ……はい、あの方のアレ……、いえ、そう言う事を聞きたいのではありませんよね。天の国の母国では、今まさに、今まで閉ざされていた遺伝子工業に着手しており、機織り女が昼夜かまわず作業に徹しているとの事です。」

「母国の野郎は環境破壊しつくし、生活の手立てを失ったか。」

「暫く放浪した挙句、ニギハヤ様の母国でもある、高天原も昔ほど美しい森林では覆われておらず、民からの不安の波動の煽りを王族は受け、それならば、環境に即した人材を遺伝子工学で作り上げようとの事。」

「かような事をせず、先王が行っていた様に木を植え、森を育て、雨雲を呼べば作物の実りも良いものになったであろうに。未だ、木々を育てる事に従事せず、方向違いな努力を惜しまないのだな。奴ららしいと言うかの。」

「先王が高天原を去ってもなお、自然を削り生きる糧を求めた結果ですね。」

「織姫……か。天の者どもはどうして、過去の失態を繰り返す……。その禁忌に一度ならず、二度までも。わしは、何も聞いておらん、知らんぞ。ノータッチ!」

「ですが、ニギハヤ様、彼らが遺伝子を組みかえ、心身共に強力になった兵士でこの大和を攻められては困りますよ! あたしは、もう少し彼の国の国王の懐を探ります。」

玉姫はそれだけ告げると、ニギハヤに少しは情報提供出来たと、嬉しそうに何処かへ向かい走って行ってしまった。

「ちょっと待ってくれ。玉姫、新手の王はどのような立ち位置で母国からその情報を入手したのだ!」

まるでスローモーションのように鼻歌を歌う楽しそうな玉姫が遠のいていく。

「じゃら――ん。」

ニギハヤの大好きな竪琴の音が水路から聞こえた。

「あら、嫌だ。貴方は私を白焼きにしてお食べになるおつもりでしたか?」

白い竪琴をつま弾き、白い衣にヒレを纏った天女がニギハヤが振り向いたので微笑んだ。

「いや、そんなつもりはない。」

巫女は、ほっと、胸をなで下ろした。

「狂暴なあの子は、リライトされた天の巫女。この時代の天の巫女、貴方の知る巫女ではありません。」

「何が、言いたい? この時代がわしの時代であるように、玉姫もこの時代に生きていたのだぞ。」

巫女は悲しそうにため息をつく。

「貴方は、確実の内に死にますでしょう。しかし、彼女は、リライトされた巫女として闇に葬りたいモノ達から逃れきれない。どうなされます? 貴方は……未来からの攻撃を受けますでしょう。これは、何を持ってしても変える事は出来ぬ。」

「リライトされた巫女と言えば……、もしや、玉姫は今、彼の国が遂行中だと言う遺伝子工業の副産物のひとつだったりするのか?」

「……それは、私にも分かりかねます。過去のほんの些細な出来事でしょう、ニギハヤ大王よ。それでは。」

クルリと宙返りすると、川にポチャッと落ちて波紋を残し消えた。


女子、子は家事をする傍ら自由に遊び、男はそれを昇華した仕事、畑に、国防に、海に、山に出る。たまには刀や鏡を造る。人は皆、人生を謳歌させるのが良い。

(わしが、何かに気が付いたとしても。玉姫が幸せならばそれで良し……なのか。な。)

ニギハヤの国やその周辺国は子を産む女子が一族の決まり事や祭事を執り行う権力を握っている。

男は、戦や力仕事を担う任に就いてはいるが実際、男子に強い権限は無いのかも知れない。

女子から、話(天啓)を聞く事は出来ても、新手の国との実践的な企ては男子に任せて欲しい。

(婦女子を護るは男の役目。決してリライトであったとしても、結末が変えられないとしても、男に二言はない。)

神託や家事育児以外の戦の仕方、国防に強制はほぼない我が国だが。だからこそ、自由に策謀を一人一人が立てられる。

(とはいえ、新手の国が、これからどんな手段を取るか。注視せねばならん。)

究極の策士に成らずば、不可能を可能には出来ないだろう。

(どんなずるをしても、(ズルをするのは良くないが)わしの為にサグメと後の世に言い伝えられる玉姫を救い出したい。)

空を見上げれば澄み渡る青空。

(こんな、清々しい土地は他になし。先王の気持ちも分かる。)

その分、人が手を加え、汗を流し開墾して行かねばならぬ土地ではあるが、それも、また楽し。春夏秋冬、折々の仕事と、そこに居る子、乙女の笑顔を楽しみに我らは生きる。

国譲りを断れば即、戦になる血気盛んな時代だが、出来得る限り国を玉姫を含む民をこぼれなく護りたい。ニギハヤが目指す自然に根差した、田畑変わりゆく日々の生活を楽しむのが一番、心の幸福に繋がるのだ。

「やりたいように、生きたいように、生きる事。それすなわち、優さを生じる。」

ニギハヤのやり方は海を越えやって来た、他の新手勢力など、周辺諸国には相いれないものがあったが。白い巫女の消えた畔から、青大将が姿を現した。ニギハヤはそっと。青大将に話しかけた。

「青よ、貴様もこの田の畔が住み心地よいだろう。」

青大将は田のあぜ道に穴を掘り、快適に暮している。田の仕事と切っても切れない存在なのだから、気持ち良くそう、話しかけたのだけれども。

その青大将は鎌首を横に振った。

「あ? わしが民と苦心して作った田が住み心地悪いとな?」

首を縦に振った。

「ふむ。それは、どうかな? 未来の国、若彦の時代の田は此処より住み心地悪かったがなぁ。」

「!」

青大将は、さも、ビックリした顔をして、ニギハヤにうねりながら近寄って来た。

『俺さ、さっき別の世界からきた女のこと喋ったんだけど、貴殿は未来へ行った事があるのか、いいな、いいな! 俺も、一度でいいから行ってみたい!』

「悪い事は言わない、ここより良いところなど在りはしない。」

『行って見ないと、良いか、悪いかなんて、分からないじゃない?』

「その、気合は本気なのだな。簡単な方法としては……貴様が未来へ行くとする、そうすると未来で誰かをひとりを人身供犠しなくてはならない。」

『生贄?』

「そう。……よく民らが様々な神へ生贄を捧げるだろう。その(この時代を)離れた魂の分だけ、現世に神の魂を呼ぶことが出来る。(一瞬の事だが)。」

『一瞬ではいやだぃ!』

「一瞬ではいやだと申すか? それならば、わしの様に……未来の己と現在の己の魂が混在して居なければなかなか難しいだろうな。」

『魂が、混在……。』

青大将は無い肩を落とした。

「それも、駄目なら、信仰の形である、神の乗り物、花鳥風月に搭乗すれば良い。」

『貴殿は、貴殿は神と見受けたり! 俺を貴方の花鳥風月に乗せて下さい。』

「こりゃ、参った。さて、どうした、ものか。」

空を仰いだ。まず、身体に纏わりつく蛇を無視し、国の事を夢想した。

(現在、過去、未来……。現在、過去、未来……。)

 国防の対応を意図もせず、日々のほほんと生活していた訳でも無い。人生は戦いの歴史だ。

「青大将の青よ、鋭利な刃物を造るには、熱いうちに打たないといけない。それを、いつ打つかが肝心だな。」

『きっと、そうですよ。いつ、俺が未来の田へ行くのかも肝心かと思います。』

ニギハヤの頭の上まで登った青は誇らしげに要求を突きつける。うっとりと眺め青の背筋を撫でた。

現代を生きて来た若彦の記憶を手繰り寄せ、ニギハヤの王国が得意とする製鐵作業すら、出来れば画一的なシステム化しようと目論んでいる。


なんでも、先進技術があれば先駆者になれる。瞼を閉じ、すっと、薄目を開いた。

(過去は変えられん、とはわしも思うが……しかし、実際の所、今の(過去の)わしには若彦の英知がある。)

『それは、誰かが犠牲になったと言う事ですね?』

「いや、わしは、己の花鳥風月を呼び、この時代へ舞い戻ったのだ。誰の犠牲も払ってはいないだろう。」

『じゃ、誰か、周囲の方が消し炭になっていたのかも知れませんね。』

「青よ、貴様はどうしても誰かが犠牲になっていると思うのだな。」

『だって、そうでしょう? おかしすぎますよ。過去の世界の魂と未来の魂が一つの身体に混在するだなんて! 空に一つの魂が宿る。基本中の基本。だって、そうでしょう? 過去の存在と、未来の存在が一つの空を共有しているって、そんなの、貴殿以外に今まで誰かいましたか?』

「居ないが。」

『それなら、誰か消えているはずですよ、絶対。それが、今現在であるか、未来であるか。』

「はっはっはっ、貴様ら爬虫類達は同じような事を呟く為にわしの前に現れるのだな。」

『同じような事をですか?』

「まあいい、月が地に近いときに、貴様を未来へ送り届けよう。」

『わぁい、ありがたき。』

(誰かが消えている、か。消えていると言うか、過去、いや、今の魂で過去へ行っていたわし以外のモノと言えば、リライト・・・・・あいつしかいない。……いや、アイツの存在は人々の信仰そのもの、生ける花鳥風月。それに、アイツはもうすぐ、濡れ衣を着せられ、天の国の奴らに不名誉な死を……。)

『えっと、その、人々の信仰そのモノ、花鳥風月って、過去や未来に行けるだけじゃなくて、意思を持って動けるの?』

「意思を持って? ……本来ならば、信仰の大本の神が言上げをしなければ、ただ、そこに立ち尽くす虚像なのだ。」

『虚像が、もうすぐ不名誉な死をとげるのですか? なんか、それ、矛盾していませんか?』

鋭い突っ込みだが、ニギハヤは何故か上の空である。語りかける存在が上の空なら、青大将の青はそれ以上ニギハヤのモノ(霊)に原子に働きかけ会話を継続させる事は出来ない。

(若彦が持つ技術は、今の技術よりも後退している。効率化と言う側面では今より現代の方がよほど進んでいるが。わしは効率化が仕事として良い事だと必ずしも思えない。)

(この狭い地球で、海を隔てた彼の地では、生を楽しみ営む生活や仕事より、他人のモノを       強奪し、権力を保持する生活を好むものが増えすぎた。わしが理想とする楽園を造ろうにもなかなか作れやしない。だが、この大和の地は良い。潜み眠るには、だが。)

「この身体、若彦の居た世界も、今や彼の地になりかけているように思う。もはや、一刻の猶予も無い。わしが貢献できる事は何か考えてみなくては。」

(だから、どうする……と言うのだ。わしは? わしが主導で若彦の生きる時代に現れ、従属の民の目を覚まさせるのが、良い行いなのか?)

((楽しく生活できるかって事が、良い行いに繋がるのではないですか?))

「……まただ、どこぞの風の噂かな?」

青は、月が地に近いとき、すなわち満月にニギハヤを訪れる事にして用水路に飛び込んだ。

(確かに、楽しく生活出来るか、が問題なのだ。目を再び閉じるまで。良き国を目指したい。……折角一度、終わった生涯を再び舞い戻り、取り戻せるのだ……。)

今日は、沼の脇に作った掘っ立て小屋で眠る事にしよう。

(あぁ、わしは……、このままだと、もうじきこの時代で歴史的に表舞台から、若くして死ぬと言う事になっている……。ん? いや、まてよ? これは天津国の古事記とかいう書物によるところ。そんな、不確かな書物を気にしてどうする? だが、どうしてだ? わしの死に際の事なんて、わしが一番分かっていそうなものを。……どうしてか、おもいだせない。だからこそ、嘘か真かは知らんがそれを気にしてしまうのだろうか。不確かなものだが、先を知り、猶予があろうとも。今はそれ以外わしに知る術が無い。こちらへ来ても我が心落ち着くわけでもないようだ。)

瞼を閉じても眠れない。

「ニギハヤ様……。」

「ああ、玉姫。丁度よいところに来た。」

「えっ、なんです?」

「今夜は一人で眠れそうにないから、添い寝して欲しい。」

「あ、ダメ、駄目です。あたし、ちょっと、お花摘みに行って参ります。その前に、また、ニギハヤ様が若彦に戻ってはいないのかと、お顔を伺いに来ただけです。」

「伺いにって……。玉姫。」

(わしは、君にとって顔色を伺われる存在なのか?)

「ニギハヤ様、あたし絶対、ニギハヤ様を助けますから!」

「わしを助けるって、どうやって?」

玉姫は、夕日を背に走り出した。背中に哀愁を感じた。

「ニギハヤ様。」

男一人寝る小屋に、美しい女性がやって来た。

「ああ。」

女性はフフフと笑うと、ニギハヤの側に寄った。

玉姫は、小さい皮の袋に入れたものを覗き込み、覗き込み、やっぱり服に縫い付けてからにしようと、その日お花摘みに行くのを止めた。


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