第40話 オアシスの復興

 ラジオ放送から二週間後、ここはマッケンジーの膝元オアシスミクロニア。

 ラジオ放送を聞いて集まってきた人々(亜人・獣人含む)が五十名程度。


 そして、集った賓客の面々がトンでもなかった。

 祭祀の長上、ドラゴン、女神、まずもって揃い踏みしそうにもないメンツが集っている。


 集まった人々に正対する骸骨達もとじゅうにん

 マッケンジーの指示により、全員が集められた。


 ゆっくりと彼らの前に立つ、ニコライ六世とレッシー。

「では、はじめましょう。

 フローレンシア様、よろしくお願いします。」

 祭祀姿のニコライ六世に促され、薄い水色のショールに純白のイブニングドレス、そして白いベールに花をあしらった姿のレッシーが進み出る。


「この者たちに、永遠の安らぎと安息を与えたまえ。」

 二人が両手を広げ、祈りをささげると、骸骨達は白い光に包まれながら消滅していく。

 集まった人々の間から拍手が起こる。

 マッケンジーは二人に頭を下げ、謝辞を述べる。


 そして、やせた土地の祝別を行う事となる。

「では、わしの出番だな。」

 ベテルギウスは、深く息を吸い


「この地に、竜の加護を与える!」

 突風のブレスを吐く。

 錆びれた町並みは、生き生きとした色彩に戻り、赤く瘦せこけた土地が、黒く肥沃な土地に変わる。

 その光景に息を呑む人々。


 ニコライ六世とレッシーが進み出て祈りをささげる。

「この地に、失われた神の加護を求めます。」

 黄金の光が雨のように降り注ぐ。


 最後に二人と一体は、住民として集った人々に祝福を与える。


「精霊の恵みがお前たちの上に与えられんことを!」

 ベテルギウスが祝福のブレス。


「この者たちに、神の祝福とご加護を!」

 二人が両手を広げ、祈りをささげると、白い光に包まれる人々。


 ◇ ◇ ◇


 一大イベントは無事終了し、ささやかな祝賀会兼住民の歓迎会が開かれる。

 住民は街にあった建物で、使えそうなところを住居として住むことになる。


「では、我々は帰るとしよう。」

 そう言って、ニコライ六世とレッシーを自身の背中に乗るよう促すベテルギウス。

「みなさん、お世話になりました。

 明日以降は、皆と話しながら、街を作って行きます。」

 マッケンジーは頭を下げる。

「頑張って下さいね。」

 レッシーは優しく手を振りながら、ベテルギウスに促されるまま、背中に乗る。

 ベテルギウスの背に乗り帰路に就くレッシーとニコライ六世。

 土地と住民を祝別した賓客は、帰って行った。


 ◇ ◇ ◇


「さて、みなさん。

 この土地が祝福されたからと言って、いきなり実りがあるわけではありません。」

 マッケンジーは住民を集め、それぞれの能力に応じて、仕事を分担してもらう事にした。

 話しの最中にクリスが次元門ゲートを使い、街に戻ってきた。

「主、戻りました。

 それと、頼まれていた作物の種です。」

「ご苦労様、クリス。」


 クリスの頭をやさしく撫でるマッケンジー。

 クリスはクリスで赤面している。

「さぁ、我々の物語を始めよう。」

「はい。」

 二人の前には、三々五々、それぞれの目的地に向かい歩き始める住人が見えている。数百年ぶりに賑やかなオアシスが戻ってくる。

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