第22話 ラジオ
「なんかいい雰囲気よね、ママと女神様。」
「そうね…って、ナオキ、嫉妬した?」
「ば~か。
そんな気は起きないよ!」
食台に向かい合って座り、紙に何かを書きながら真剣な表情で話し合っているメグとレッシー。
その様子をキッチンから眺める、アルとエル。
そして、アルに
実際、メグとレッシーは昼夜を問わず、話し込んでおり、ナオキが寝室を追い出されることも度々。
(お客人を無下にできないから、俺とメグの寝室に入ってもらってるだけだよ!)
あぁ、心優しき直之君…と、棒読みするナレーション。
閑話休題
今日は、昼過ぎからクリスもやって来るようだ。
なんでも今日はラジオを作るために知恵を借りるのだと、メグが張り切り、レッシーも新しい人に会えるとワクワクしている。
「それじゃ、俺たちもぼちぼち出かけるとしよう。」
「は~~い!
ダ~リン!!」
「良いデート日和になるわね、ナオキ。」
「じゃ、メグ、行ってくるよ。
女神さん、嫁の事よろしくですぅ。」
娘たちの挑発を気に留める風もないメグと、ちらっとこっちを見てにっこりとほほ笑むレッシー。
三人が出かけたとたんにムスッとするメグ。
「私だって、デートしぃ~~たぁ~~いぃ~~~!!」
絶叫するメグを、こちらも笑顔で見守るレッシー。
(こりゃ、一夫多妻も大変ねぇ…。)
お昼時を見計らい、クリスが家にやって来る。
「こんにちは。」
「クリス様、
いらっしゃいませ。」
クリスを迎えるメグとレッシー。
「メグ、体調はどうだい?」
「はい、もう落ち着きました。
彼女の助けもあって、だいぶん楽になりました。」
「初めまして、クリス様。
フローレンシアと申します。
レッシーとお呼び下さい。」
「クリスティーヌ・ワルキュリー、クリスじゃ、よろしくの。」
「どうぞこちらへ。」
挨拶もそこそこに、食台に着く三人。
丁度、食事の準備も整っており、席に着くなり食べ始める三人。
「ここの料理はいつもながら美味しいわね。」
「ですよねぇ。」
「恐れ入ります。」
クリスとレッシーが舌鼓を打てば、メグが恐縮する…。
一頻り食事を済ませ、レッシーが食器を洗い始めると、クリスとメグが話し始める。とても穏やかな表情で。
「この”電波”が解らないんですよね。」
「何なのだ?」
「えぇ、”電波”に乗せることで、放送局からラジオへ直接”音楽や声”を送る事が出来るんです。
後は、ラジオから、音楽や声が出てくるんです。」
「ほほぅ。」
「ちなみに、”電波”を使って、双方向に声を送れば、電話になりますね。」
クリスとメグの会話に割り込むレッシー。
「レッシーだったかな?
お主は、この辺りのカラクリは解るか?」
「恥ずかしながら、私も使うのが
「そうか…。」
ため息をつくクリス。
「便利なんですけどね…電波って。
遠距離でも繋がりますからね。」
「ふむ…んっ!!!」
レッシーのつぶやきにクリスが反応する。
「遠距離で繋がる!
じゃと。」
「はい!
電波の到達時間にもよりますが、繋がりますよ。」
「距離はどうでも良い。
『繋がる!』とは、どういう事じゃ?」
レッシーは少し考え、スマホを使って、”電波で繋がる”
しばしスマホを覗きながら、レッシーと問答をしていたクリスが二度三度頷いたのち、メグの方に振り返る。
「”電波”を我々の知識で実現する方法が見つかったぞぃ。」
メグは感激のあまり震える口元を抑え、レッシーはニコニコする。
「早速、試作を作ってみるかな。」
「はい!!」
クリスの掛け声に、メグとレッシーが頷く。
いよいよ、ナオキ君の夢が現実に一歩近づいた。
同時刻のナオキ君達…。
「なぁ、アル、エル…。」
「何よ?」
「なぁ~にぃ?
お兄様ぁ!」
同じ単語でハモる姉妹を背に、ゴブリンの団体さんと事を構えているナオキお兄さん。
「今日は、やけに団体さんに出くわしてると思うんだが…。」
「そうねぇ。」
「どうしてだろう?」
姉妹の背中には血みどろの大袋が見え隠れする。
「お前らが、団体さんの装備に目がくらんで遠慮なく追剝したからじゃないのかぁ??」
「え~~、これは、私達に必要なものよ!」
「私達も、そろそろお子様を…。」
エルは二つの袋を背負い防御に入り、ナオキがメリケンサックでゴブリンさん達をぶっ飛ばせば、アルはナオキが抑えきれない穴を突いてくるゴブリンさん達をメイスで薙ぎ払っている。
「それは、まだ先の話だぁ!!!」
と叫び、
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