第19話 それぞれの事情
◇アルの場合
私はアル、アレグリッサです。
今日も冴えない旦那と頼りになる妹と一緒にゴブリン達を追い回す仕事をこなしています。
冒険者ギルドへは獲物の耳を持って行けば、褒章を得る事が出来るのですが、私達が必要なのはゴブリンの体内にある魔石。
おかあさんの依頼で魔石を集める事になり、比較的クエスト依頼も多くがっちり報酬も得られるゴブリン狩りが主流になりました。
んで、おかあさんが何を作っているかというと、ラジオとその放送機材!!
なんでも、ナオキの夢を実現するために必要なモノらしくて…。
私も、ナオキの応援で頑張ってるんだから、たまには私にも感謝して欲しいかなぁ、って思っちゃうのよね。
閑話休題
四人で一緒に寝たあの日からみんなでいろんな音楽を聴くようになりました。
あの後、おかあさんが「スピーカー」を作ってくれたおかげで、スマホからの音楽が綺麗に奏でられるようになりました。
それこそ寝る暇も惜しんで、
寝不足はつらかったですけど…ね。
ちなみに、私の好みは、ユーロビートやハウスミュージック。
後は、交響曲もお気に入り。
まだまだ勉強中の身だけれど、いつかナオキをギャフンと言わせてやるんだから!
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◇エルの場合
私はエル、エレノアールよ。
え~~とね、私いよいよおねぇちゃ~んになるの!
えへへぇ、おかあさんのお腹の中に弟か妹がいるのね。
アルおねぇちゃ~んが、「弟や妹じゃない!」って言うんだけど、そんなこと無いもん!
私、立派なおねぇちゃ~んになるんだもんねぇ~。
え、クエスト??
あぁ、アルおねぇちゃ~んとダ~リンと一緒にお出かけする事?
うん、大変だけど楽しいよ。
ゴブリンばっかり狩っているのが気に入らないんだけどね。
でも、おかぁ~さんのお願いだから仕方がない。
え?
好きな音楽…そうねぇ、ピアノ曲でしょ、オーケストラ?
あぁ、J-POPも好きだし、ヘビメタも好きなの…。
明るくなれる曲なら、何でも好きよ。
もっと、もぉ~~っといろんな音楽を聞けたらいいかなぁって、いつも思っているの。
あ、そうそう。
おかぁ~さんが、ダ~リンのために何か作っているみたい!
出来たら、早速遊ばせてもらうつもりよ♪
あとねあとね、エルって十二歳でお嫁さんになったの!
えへへ、うらやましいでしょぉ~。
早く結婚式も挙げなくっちゃ!
おかぁ~さんとおねぇちゃ~んと私とダ~リンの四人で素敵な式を挙げるんだ♪
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◇ナオ(ユ)キの場合
こんにちは、手島直之です。
やってしまいました。
まだ結婚もしてないのに、一時の感情の流れで元人妻を妊娠させてしまいました。
俺も男なんで、責任は取ります。
しかし、彼女の娘である姉妹も嫁に貰うってのはいいのかなぁ?
ハーレムって世間体ではすごく羨ましがられるし、三人とも器量好しだから、文句を言う理由はないんだけど…ね。
でも、メグに子どもが出来たことで、彼女たちと本当の家族になった気がする。
メグに本心を吐露したら、俺も吹っ切れたんだと思う。
彼女も本気になって俺の事を叱ってくれて、励ましてくれて…何より応援してくれた。
んで、現在、ラジオと放送機材の準備をしている。
最近はクリスの言葉を思い出すことが多くなった。
「技術にも魔法にも限界は無い!限界を作るのは、自分の無知と
俺の力では、何も出来なかったけど、知り合えた人がたまたま力を持っていた。
そして、その力を借りて、俺の夢が少しずつ現実になっていく。
これからも俺は自分の夢を追い続けるけど、この家族と一緒に夢を追いかけていきたいと思う。
だから、この家族のためにも頑張って行く。
これが漢の道!!
■■■■■■■
◇メグの場合
ルーメグレックス、メグです。
新たな子を授かって、とても幸せです。
アルとエルを授かったときは正直複雑な気持ちでした。
でも、あの子達が生まれてくれたことを感謝しています。
ナオキは夫であり息子かな…。
彼が本心を吐露してくれたから、私は安心して子を授かる事が出来たし、彼の夢を一緒に追いかけていける家族になれました。
失ってきたものが多い分、これから家族一緒になって、沢山のモノを取り戻していきます。
そうそう、スマホ。
あれってすごい石板ですね。
未知の知識が凝縮されてて、私のラストクリエイターと組み合わせることで、いろんなものが作れるんですよ。
あ、スマホは作れないんですけどね。
残念です。
今はラジオと放送機材の準備に励んではいるけど、それが落ち着いたら、次は家電に挑戦しようと思います。
例えば電子レンジがあれば、料理の幅が一気に広がりそうですし…。
冷蔵庫も必須かしら…ね♪
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◇あんた誰よ?の場合
はぁ~~ろぉ~~!
フローレンシア…、レッシーよぉ~!
みんな元気…って、誰か私の事を覚えてる?
覚えてない!
こりゃ失礼しましたっ!!
じゃないわよ!
女神様よ!
女神様…。
まだ、緑と黄の若葉マークはとれていないけど…。
で、「新米女神が何事か?」ですってぇ!
失礼ね、ナオキ君にチートスキルを後付けするために、先輩から
もぅ、先輩ったらすっかり忘れてて、先日ナオキ君のところにお子さんが出来たという事で、お祝いがてら忘れてたチートスキルの提供をすることになったの。
でも、何で私が行くことになったのかしら?
というわけで、やって来ました!
地上界!!
って、地図もなければ、ここがどこかも判らない私…
どうすればいいのよぉぉ~~~~。
何とか城壁に囲まれた街まで来たんだけど…。
今度は門を通してもらえません!
私、これでも女神よ!!
めぇ~がぁ~みぃ~!!
まったく、地上の信仰はどうなってるのかしら!
などと考えていたら、ある婦人と目が合いました。
…見覚え有りますよ、
この方。…えぇ~~とぉ~~。
あぁ、そうだナオキの奥方だ!!
「あの、もし…。」
「ひゃ、ひゃい!」
きゃぁ~~~~~~、声かけてもらったのに、嚙んじゃったぁ~~~。
…恥ずかしい。
恐縮してると、彼女がこちらに近づいて来る。
門兵さんと話し、いくらか握らせる。
「どうぞこちらへ、旅の方。」
「は、はい。
…ありがとうございます。」
彼女に手を引かれ、門の中に入りました。
「私、フローレンシア、レッシーと呼んでください。」
「ルーメグレックスです。
メグと呼んでくださいね。」
旅の目的は濁してしまいましたが、宿の当てがない事、資金もほぼ無い事は伝えました。
「じゃぁ、
「はい??」
この婦人の即答には頭が下がりました。
お人好しもここまでくれば立派です!
という事で、おうちに潜入は出来たんですけど…ね。
「なんで、新米女神がここに居るの!」
ナオキに見つかってしまいました。
「え、あなたこの子を知ってるの?」
「ああ、俺を
「女神様??」
「えぇ~!
この子がぁ!!」
三人の女性が私をまじまじと見ています。
程なくして、三人が私の手を握ってきました。
みなさん瞳の付近が大洪水です。
「レッシー…」
「女神様…」
「女神のおねぇさん…」
「ナオキを送って下さってありがとう!!!」
びっくりでした。
で、ナオキと目が合うと。
「ありがとな…。」
と言ってくれました…。
みなさん、変なモノ食べていませんよね?
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