第152話 いろいろ人材の育成もしておかないとな、特にいろいろな言語がわかる外交官は必要だ。
さて、フィリピン等の南シナ海における俺たちの拠点の構築と周辺には細々と小さな王国や氏族集落が点在する現在の状況を考えて、とりあえずはイスラム圏との反ポルトガル、反カトリックという大雑把な目標での同盟構築にはそれなりに成功した。
これでスペインと戦ってるスキを付いて攻撃されるというような可能性はかなり低くなったろう。
また東南アジアの非イスラム国に対しては白人の主に傭兵の団長や宣教師などの首を差し出したり彼らを捕らえたら、懸賞金や懸賞品を出すということを行って、そいつらを首刈りの対象にした。
多くの人間は欲望に素直であるし、ポルトガル人の尊大な態度に怒りをつのらせているものも多かったようで、ぼつぼつ首を献上してきたり、捕らえた白人を連れてきたものも出てきた。
「うむ、間違いなくこれはポルトガル傭兵の団長の首であるな。
では、示したとおりの懸賞金を支払おう」
「はい、ありがとうございます」
首狩り族や日本のあぶれた武士たちにとってもこれは美味しい案件のようだ。
そしてフィリピンにおいては在地の代官を据えて、俺が直接やることも減らしたので、後はやるべきは医者や外交官と言った必要な人材の育成だな。
島国であり中華帝国とも微妙に距離があることで、そもそもまともな外交というものを日本という国家がやってこなかったため、他の国との外交と言う概念そのものが定着してるとは言えないのだが、南シナ海のような小国がたくさんある場所では外交にも気を配らなければ面倒なことになる。
特にこのあたりはイスラムと明との影響が半々ぐらいだったりするのでな。
「これからは国外の外交を専門で担当するものも育てるべきだな」
「たしかにそうでございますな」
ある程度はルソン島を制圧した後で、協力してくれるイスラム商人を通訳や翻訳家として雇ったりすることで、オスマン帝国から明までの広い地域の言語に関しての障害はクリアしているがな。
彼らはそういった広い範囲の地域にかけての交易を行ってるから、それぞれの場所の言語はある程度わかっているのだ、バイリンガルどころの話ではないが倭寇や朱印船貿易を行っていたものも当然そういった事ができなければ商売などできるわけもない。
もっとも俺自身は違う言語を言語をかなり早く理解できるチートがあるから、現状の殆どの言語は俺が立ち会えば一発で問題解決ではあるのだが、全部に俺が関係することはできないしな。
今まで明との外交や交易に関しては僧侶が外交官として立ち会うことが多かったのだが、イスラム圏との交渉にはさすがに彼らが立ち会ったことはない。
しかし、今までは大名同士の交渉などに外交僧が立ち会うことも多かった。
彼らは知識があり弁舌もたつからな。
そしてそういった僧たちは布教の機会を得ようと一緒についてきていたりもする。
俺はそういった僧侶などを集めていった。
「これからは明だけでなく様々な国々とのやり取りが重要になってくるだろう。
この地での布教に励むのもよいだろうが、周辺国々との同盟などの交渉を行いたいと思うものは必要な言葉の読み書きを覚えその役目を果たしてほしいがどうだろうか?」
俺がそういうと僧たちはお互いに顔を見合わせていたが、やがて一人が手を上げていった。
「それはこの周辺の国において我らの仏教宗派を広める機会でもあると考えて良いのですか?」
俺はそれについては首を振った。
「いや、今のところはそうじゃない、今はまだ時期尚早だ」
俺の言葉に含みを感じたのか僧侶はうなずく。
「なるほど今はまだでございますか」
「ああ、今は周辺のイスラムの国と協力して伴天連を叩いておくべきだからな」
「なるほど、その後であれば?」
「その状況によっては、伴天連となってしまったものに対して仏の教えを広める機会もあるだろう。
マラッカなどを落とした後などであればな」
「ふむふむ、なるほど、ではその役目を果たすためには確かに言葉を覚えるべきですね」
俺はうなずいて言う。
「そうだ。そもそも現地の民が知らない言葉を使っても改宗をさせることもできまい」
「確かに日ノ本へきた伴天連も日ノ本の言葉を覚えていましたな」
「そうだ、もっとも礼儀作法まではしらなかった可能性が高いようだがな」
「なるほど、薩摩に来た伴天連を斬ったのは、無礼討ちというわけでありましたか」
「まあそんな所だ」
「寺社を焼かせるような邪悪な者たちであれば斬るのも当然でありましょうがな」
ま、本当のところは違うが大友のところで伴天連がやらかしたことで伴天連は神仏の敵と言う認識が広まってるからそうしておけばいいだろう。
集まった僧たちは早速イスラムやマレー、それにポルトガルやスペイン等の言葉の読み書きをできるようにとの勉強を始めたようだ。
流石にすぐには習得できなくてもいずれは役に立つだろう。
通訳に頼りすぎるのも危険だからな。
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