第150話 国内から人を呼びフィリピンなどの支配体制をさらに強化したよ

 さて、フィリピンのルソン島やセブ島、ボルネオの重要拠点であるブルネイの制圧そのものは割と簡単だった。


 基本的な武装の違いもあるし今まで何十年も何百年も戦い続けてきた日本の武士の強さは東アジアでも有数のもので、史実でも天下が統一されて戦がなくなり職にあぶれた武士が東南アジアに渡ってきて傭兵として雇われたがその強さは一目置かれていたらしい。


 ただし、その分使いづらい連中でもあったようだが。


「義弘も今頃は外洋船になれるのに苦労しているであろうな」


 ちなみに現状日本の九州に残っている義弘には将来的に自らが外洋航海の指揮を取れ、いずれは東南アジやインドのポルトガルなどの拠点を攻撃できるように海軍の訓練をしてもらっている。


 博多から朝鮮まで船で渡るのと東南アジアや南アジアまで来るのでは覚えるべきことが全く違うからな。


 俺はもともとこっちへ交易できていたりもするからある程度はなれてるが、弟たちにも早めに同じような機会を作っておくべきだったかもしれん。


 とはいえ、家久や歳久はまだまだ落ち着かない関東や奥羽・蝦夷・樺太・カムチャッカ・千島などの北方の安定と戦で放棄された場所や原野などの開拓で忙しいだろう。


 ルソン島などの初期の開拓などが一息ついたところで、俺は彼の父である国親が隠居して家督を継いでいる長宗我部元親と河野通宣、小田原征伐で里見義堯が戦死して家督を継いだ里見義弘と雑賀衆の鈴木孫一、松浦党の松浦隆信、村上党の村上通康などの海賊衆などを呼び寄せた。


「長宗我部土佐守、参りました」


「河野伊予守、参りました」


「里見安房守、参りました」


「鈴木孫一、参りました」


「松浦肥前守、参りました」


「村上通康、参りました」


「うむ、よく来てくれた。

 お前たちは外洋航海にもなれているゆえ、ここルソンなどで活躍してもらいたい」


「はは、ありがたき事にてございます」


「まず、長宗我部土佐守、お前さんにはここルソン代官を命ずる。

 俺がやってきたことを引き継ぎ、治水開墾などに努めよ」


「はは、かしこまりました」


「次に河野伊予守にはこの島の南西にある、ボルネオ島のブルネイ代官を命じる。

 同じように俺がやってきたことを引き継ぎ、治水開墾などに努めよ」


「はは、かしこまりました」


「次に里見安房守にはセブの代官に任ずる。

 サトウキビ及びバナナなどの栽培に努め、米などの食糧についてはルソンより仕入れよ」


「はは、かしこまりました」


「次に鈴木孫一にはこの島々の周辺海域の海上警護を任せる、赤毛人が入り込もうとしたらなるべく捕らえよ、対処できない数であればすぐさま知らせよ」


「ハハ、かしこまりました」


「最後に松浦肥前守と村上通康はボルネオ島のバンジェルマシンやパリクパパン、ポンティアナなどに拠点を築き、南方の赤毛人の交易船を襲い積荷を奪い、船は拿捕するか沈めよ。

 積荷は主に香料香木などになるだろうが、奪ったものは本国に持ち帰って売りさばいて良い。

 拿捕した船は船の研究のために、俺のところに持ってきてほしい。

 明国や東南アジアの華人、イスラムの船は今のところは見逃すようにせよ。

 また、他の日ノ本の同胞を呼び寄せても構わぬ。

 赤毛人に可能な限りの打撃を与えよ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


「うむ、ではよろしく頼むぞ」


 まずは自分でやったほうが早くて確実だがそれだとできる範囲が狭くなり、できることも減ってしまう。


 なので、ある程度落ち着いたらできるものに任せることも重要だろう。


 ポルトガルやスペイン、いずれはイングランドやオランダに対しての備えは大切だが、朝鮮や女真族、明についても放置はできない。


 史実と違ってマッチポンプをもくろんでいたらしいキリスト教宣教師を含んだ中国沿岸の島々や九州にいた倭寇も壊滅しているし、豊臣秀吉の朝鮮出兵に対応した明の朝鮮半島への派兵もないので史実よりはマシだとは思いたいが、平和であることが明の官司達の腐敗と軍の崩壊を加速させる可能性もあるから油断はできないな。

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