第114話 まずは播磨と畿内各国から安定させなければな
さて、遠江を弟に任せて姫路に戻った俺は、まずは播磨や摂津の小さな反乱を叩き潰していき統治を安定させることにした。
「播磨の状況はどうか?」
俺は毛利元就に聞いてみた。
「浦上宗景の戦力はほぼ壊滅しましたが、残党の掃討にはまだしばらく時間を必要とするかと。
赤松主家の赤松晴政と赤松分家の赤松政秀の争いはひとまず集結したようです」
「そうか、浦上宗景の残党が野盗化するようなら皆殺しにせよ」
「かしこまりました」
播磨の姫路は但馬・因幡・出雲につながる道もあり、山陽道の中心にもあるのでここから兵を動かすには大変便利な場所である。
豊臣秀吉が大坂城に入る前の本拠地にした理由もわかろうというものだ。
「まずは早く播磨を完全に安定させなければな」
伊集院忠倉がうなずく
「確かにそうですな。
ここは畿内の入り口でもあり、交通の要所でもありますゆえ」
播磨は三好や尼子の攻撃を受けたこともある、ちょうど畿内と中国地方の境目と言える場所でもあり、これより西の大内や尼子の支配下に有った地域と違い、播磨は基本的に赤松が治めていた。
だが40年ほど前に
「それにしても強い権威を持つものがいないのは面倒なことだな……」
肥後については菊池を派遣してその他の国人を従属させ、同様に土佐の一条、伊予の河野、豊後の大友、周防の大内、伯耆や出雲の尼子、因幡や但馬の山名、若狭の武田、阿波・讃岐・淡路・和泉などの細川家三好など守護などとして強い権威を保持しているものがいた国はそういった者を担ぎ上げた。
そういった大名に支配されていた国は元の主君の家を通じて間接的に支配、そういった者はいないが安芸の毛利や備中の三村、備前の浦上など強い勢力がいれば、それを用いて国を支配をさせるなどをしてきたが播磨の場合は三好と大内や尼子との緩衝国であり、嘉吉の乱以来一度滅んだ赤松主家の権威も低くそのどちらもいないのが面倒なところだ。
もっとも俺の初陣の頃の薩摩や大友や少弐の影響が微妙だった肥前、弟が伊東を殺しすぎた日向もそれに近いものはあったけどな。
ただ、九州の国人には官位などの権威はかなり有効だったが播磨や畿内の国人には官位はハリボテでしかないことが理解されてしまっている。
でなければ将軍に対してのぞんざいな扱いはありえないからな。
だから播磨についてはしばらくは地道に赤松の一族やその他の国人が鷹司に背くような動きをしないように見張るしかないだろう。
そして播磨の東隣の摂津国では三好長慶に下っていた
「一つ一つは大したことはなくても600箇所で銭を取られれば、当然輸送の費用がかさみ、京の物価がばかみたいに高くなるはずであろう」
「左様ですな、無駄に多い関所などさっさと廃止するに限ります」
その時にそれを不服としたのか
「見せしめとしての重い処罰も時には必要だ。
そればかりではだめであるがな」
殺し過ぎも良くないが、反乱を起こしたものに対してはやはり厳しい対応をしなくてはいけないときもある。
関所の廃止を細川や三好長慶が出来なかったのは、まだ寺社に対抗できるだけの余裕がなかったからだが、関所を廃止した上で京や堺、兵庫、尼崎と言った都市の商人からは運上金を取って河川の治水整備や船着き場の整備をしたほうがよほどマシだ。
本来であればこういった通行税は水路の治安維持や水路の補修などに生かされるはずであったのだが、関所を抜けたらすぐに次に関所が見えるような状況はあきらかにおかしいからな。
寺社や国人領主が勝手に関所を設けて私腹を肥やしているに過ぎないのだから、とっとと撤廃するに限る。
和泉については篠原長房ら阿波三好衆の影響が強い地域であるので意外と安定している。
「和泉と堺についてはさほど心配はないのが救いだな」
だが河内は細川や三好と畠山が長年争ってきた場所でも有って、なかなか安定しない難治の場所の一つだ。
現状では北側は三好義興に南側は畠山政尚にそれぞれ名目上の守護職を与えて現状は様子を見ているが、守護をどちらか片方にしても元は敵対していた国人と揉めそうだし、現状のように分割していても境界の国人が揉め事を起こしそうなのがなんとも面倒ではあるんだが、河内は応仁の乱以降かなり戦乱が続いてきた土地であるゆえどうしょうもない。
「
守護代であった父でる遊佐長教を前将軍足利義輝によって暗殺されたことを名目に息子の遊佐信教が反乱などを起こさぬことを祈ろう。
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