第31話 ハゲ騎士はブッチボコる!
溶解した石壁を、氷魔法で冷却する。空いた大穴の先に広い空間が有るのがここからでも分かる。
俺が先頭に立ち、ソフィアさんとティアナさん、リアナとミルシアナさんとが並んで後ろからついてくる。
「この消し炭はレミーナではなさそうだな」
黒焦げになっている広間に二体の焼死体があった。姿からして聖騎士のようだ。
「レミーナではなさそうだな、じゃないわよ! こんなに焼き尽くして、レミーナやミラ様がいたら黒焦げよ!」
燃え尽きた部屋の惨状を見て、リアナがプンスカと怒っている。
「いやぁ〜、まさかここまで威力が上がっているとは思わなかった」
「カインは魔法もおかしい事になっているんだから少しは自重してよね!」
ソフィアさんやティアナさん、ミルシアナさんにまで怒られ、俺は少し反省をした。
しかし、街道に大穴を開ける極大魔法を使ったミルシアナさんに怒られるのは心外です!
◆
「ここが廊下に通じています」
扉から廊下を覗くと、薄暗い廊下の先に光が漏れている扉が見える。先程の爆音で侵入者には気付いている筈だ。
バレている以上はあまり時間をかけては、レミーナやミラ様が危険にさらされかねない。
「先ず俺が単独で突っ込む。俺一人ならサバイバルのギフトでどうとでも
俺は作戦を話し単身で、暗がりの奥にある扉に飛び込む。早速サバイバルが発動する。
「プロテクションフィールド!」
上位光魔法の防御魔法を発動。俺を狙って放たれたクロスボウのボルト3本が光のバリヤーに当たり弾き飛ぶ。
部屋の中を見れば、そこには小さな祭壇があり、祭壇上にはレミーナとミラ様が猿ぐつわをされ、ロープに縛られ横たわっている。
その横に悪意に満ちた顔のクソガキ少女。祭壇の下にクロスボウを構えた三人の聖騎士。いや偽聖騎士と言うべきだろう。
そしてもう一人。予想外の奴がいた。
少しくたびれた様に煤けている黒い鎧を纏う騎士。間違いなく暗黒邪教騎士だ。あの煤けは、ミルシアナさんの極大魔法を躱した代償か? 頭が禿げ上がり、片目が眼帯なのは関係ないとは思うが……。
何はともあれさっさと偽聖騎士を黙らせて、黒騎士を仕留める! 俺は一足で真ん中の偽聖騎士に詰め寄り、一刀両断する。
返す刀で右側の偽聖騎士の首をはね、左側の偽聖騎士にすかさず接近し、首元を一突きして絶命させる。
「ぅおっとッ!」
突きを放ち伸びきった俺の体を真っ二つにするかの如く、黒騎士の大剣が振り下ろされた。その一振りを、体を捻り左に転がりながら躱し、すぐさま起き上がる。
石畳に弾かれ火花を上げた大剣を、黒い眼帯で左目を隠しているハゲ騎士が、間髪いれずに俺に襲いかかる。
その大剣に俺の剣を合わせると、また火花が飛び散った。しかし、コイツは言うほど強くはなさそうだ。数合を重ねるうちに肩で息をしてやがる。
そうこうしていると後ろからティアナさんの声が聞こえた。
「エアースライサー!」
風魔法が祭壇に向かって飛んでいく。更に、
「ウォータージャベリン!」
水の槍を放ったのはソフィアさんだ。二人は俺と時間差で部屋に入り、クソガキ少女に奇襲をかける。
そして扉から左側に走り、幾つかのクイック魔法を放ち、クソガキ少女の気を引き付ける。しかし、
「カ、カインさん! その人、ギルドボスですッ!」
ソフィアさんがハゲ騎士を指差してギルドボスと言う。もちろん『赤竜の牙』のドゴールの事ではない。夜逃げした『天輪の嵐』のギルドボス。こいつがゴルアークかッ!!
どういう
「ぅッラああああああッ!!」
握る剣にも力が入る。
ソフィアさんがてめぇのせいで、どんだけ心を痛めたか、てめぇの心にその痛みを!
「きィ」
剣の平でゴルアークの右頬を払う。
「ざァ」
更に剣の平で左頬を払う。
「みィ」
更に更に右頬を払い、
「こォ」
更に更に更に左頬を払い、
「むゥッ!」
更に更に更に更に右頬を払う。
「百列スラァァァァッシュッ!!」
高速の殴打でゴルアークの顔をブッチボコボコに叩きまくる。倒れる事は許さない!
「ウルラララララララララララララララァァァァァッ!!」
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