第20話 絶体絶命!?
「に、逃げ切れたか?」
暗い建物の中を、俺はヤツらから逃げていた。慣れない建物の中、俺は出口の無い部屋に入り込んでしまっていた。
ここで見つかったら、待つのは地獄だ!
「クソ! 『サバイバル』のギフトが発動していない!」
これだけヤバい状況に俺のギフトは発動していなかった。能力的には俺の方が勝っているが、敵は5人だ。戦力的に俺が不利。しかも俺はヤツらを殴り倒して突破する事は出来ない……。何故なら……。
「カイン君~。お姉さんと遊んで下さい~。ハアハア」
「カイン~出て来てよ~。ハアハア」
「カイン様~何処ですか~。ハアハア」
「カインさん~。ハアハア」
「カイン~逃げらんないぞ!ハアハア」
ハアハアじゃねぇよ畜生! みんなして盛りやがって!
そう、俺は『緑風の地平線』のギルド館に泊まった夜に、隷属の首輪の呪淫によって
◆
ジョバンニが去った後にミルシアナさんとティアナさんには首輪を外すように話しをしたが、彼女達は首を縦には降らなかった。
「ソフィアがカインの奴隷になったんなら、あたしも奴隷になるってのが筋だろ」
とティアナさん。どんな筋だよ!
「私だけ仲間外れにしないで下さい」
とミルシアナさん……。そんな理由で付けないで下さい!
そんな彼女達とソフィアさんは当然ながら、リアナとレミーナも直ぐに仲良くなった。この二人、最近矢鱈と明るくなった気がするのは気のせいだろうか?
そしてお金がスッカラカンになった事もあり、俺達はギルド館の三階にある宿泊部屋に今夜は泊まる事になったのだが……。
三階には全部で四部屋あり、ミルシアナさんは一人、リアナとレミーナ、ソフィアさんとティアナさん、そして俺一人に分かれて寝る事となった。
今夜はゆっくり眠れそうだ。
などと思った頃もありました!
◆
夜中にガチャガチャ、ギィ~と扉が開く音で俺は目を覚ます。誰だ? 部屋の鍵はかけた筈なのに……。
「カイン君~、お姉さんと遊びましょう~」
扉を開けたのはスケスケのパジャマを着た、エルフにしてギルドボスのミルシアナさんだった。
「な、何やってんだよミルシアナさん……」
彼女の手には大きなリングで纏められた鍵の束。あ、合鍵で部屋を開けやがった……。
「えっと~、その~、
「あ、あ~、アレか……」
春奴隷用の首輪の呪淫によって盛ってしまう呪い。だからと言って、成り行きでアンアンする訳にはいかない。
「ディスペル! これで今夜は大丈夫だから部屋に戻って下さい」
俺は解呪の魔法で呪淫を和らげる。……あれ? ミルシアナさんの顔は火照ったままだが?
「……ディスペルが効かない?」
「はい! レジストは得意です!」
「アホかーッ! レジストするなーッ!」
このアホエルフ~、
「ハアハア、わ、私……男の方と……ま、交えた事が無いので……、や、優しくして下さい……、ハアハア」
「いや、それは好きな男性とやる行為だから」
「私……カイン君の事……「カイン様~~~」「カイン~~~」」
そしてリアナとレミーナまでが来やがった。
俺はベッドから飛び出すと、三人の間を掻い潜り廊下に出る。
「カインさん……ハアハア」
「カイン……ハアハア」
しかし廊下にはこれまたスケスケのパジャマを着たソフィアさんとティアナさんがハアハア言って待ち構えている。
俺は彼女達に背を向けて、階下へと走って逃げた。
◆
ガチャガチャ
「あ、開かない!?」
ギルド館の玄関が開かない?
解錠の魔法はかけてある。つまり魔法が失敗したって事だ。
ならば力尽くで!
……開かない。って言うか力が出ない!?
……魔法が効かない。……力が出ない。……考えられる事はデバフされた?
「あ、あんのクソ聖女候補ぉぉぉ……『聖域結界』を使いやがったな……」
レミーナが聖女候補と言われているのは、聖女スキルの一つである『聖域結界』を使えるからだ。
『聖域結界』内の味方は能力5倍のバフ、敵は1/2倍のデバフと、その下げた値を味方に按分で振り分ける対強敵用のぶっ壊れスキルだ。
しかし、リアナの発動率はめっぽう低いはずだ。現にダンジョンでギガオークに襲われている時には発動していなかった。
「無駄に運を使いやがってえ〜! アホ聖女候補があ!」
そして振り向くと、そこには頬を紅潮させた美少女が五人立っていた。
「待て待て待て待て待て待て待て待て!!!」
「待てないですう~カイン様~」
「じゅるり、美味しそう」
「ハアハア、カイン君~」
「カイン、カイン、カイン、カイン」
「お姉さんが優しく~し・て・あ・げ・るぅ、ハアハア」
スケスケのパジャマで完全に目が逝ってる五人の美少女……。
終わった……。
……あぅ〜ん♡♡♡♡♡♡
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