第17話 エルフの美少女?

「やめときな」



俺達がこの冒険者ギルドに登録を依頼するとティアナさんから断られた。



「どういう事、ティアナ?」



 元受付嬢のソフィアさんが詰め寄る。



「うちにも色々と事情があってね。見てみな」



 ティアナさんの視線の先にはクエストボードが有るが、そこには1枚もクエストが張り出されていない。



「色々あって、うちには依頼が来ないのさ。依頼が無いんじゃ冒険者を雇えないだろ」


「な、何で? まさかミルシアナ様に何かあったの?」



 ミルシアナ様? 誰だ?



「オーナーは健在だよ。ただ『赤竜の爪』と少し揉めててね。クエスト依頼は全部取られるわ、冒険者はあっちに移籍するわで、うちは赤字経営中なんだよ」



 前のギルドは裏借金まみれで夜逃げして、移籍希望のこちらのギルドは、今にも潰れそうな赤字ギルドか……。


 などと思っていたら、長い金髪の絶世の美少女が入ってきた。



「ただいま戻りましたぁ~」



 全員の視線がその美少女に向けられる。成る程、金髪から見える長い耳、この美少女はエルフか。美男美女が多いエルフだが、俺が見たことのあるエルフの女性の中では一番の美少女だ。



「お疲れ様ですオーナー。で、どうでした?」


「最悪ですね……。負担金として1億7千万を要求されました」


「はぁ〜、合わせて2億の借金かぁ」



 がっくりと肩を落とす金髪美少女エルフとティアナさん。



「あ、あの~」


「あら」



 ソフィアさんの声でようやく俺達の存在に気が付いたようだ。



「ご無沙汰しています、ミルシアナ様」


「ソフィアさん! 身売りされてしまったと聞きましたが、その様子ですと大丈夫な様ですね」


「はい! カインさんに助けて頂き、無事に難を逃れました」



 美少女エルフのミルシアナさんが、俺の方を見てペコリと頭を下げる。俺も慌てて頭を下げた。



「カインさん、ソフィアさんを助けて頂きありがとうございます」


「助けた訳じゃない。借金の肩代わりをしただけだ。しかもソフィアさんの場合は完全にギルドボスが悪い! それでソフィアさんが奴隷落ちなんて可哀想過ぎるだろ! 俺的にはそのギルドボスを捕まえて全殺しにしてやりてえよ!」


「天輪の嵐のギルドオーナーのゴルアークは、協会にも多大な被害を出した事も有り、全冒険者ギルドで指名手配となりましたよ」


「そうか。捕まったら是非知らせてくれ。百発殴らないと気が済まない」



 クスクスと笑うミルシアナさん。



「ソフィアさんは良い方に助けていだきましたね」


「は、はい!」



 やはり身売りされた事がかなり恥ずかしいようで、ソフィアさんは赤い顔でモジモジしていた。そして何故かリアナとレミーナがジト目で俺を見ていた。どしたの?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る