【聖女狩り】 地下迷宮最下層でパーティーを追放されたカイン。無事に生還したが、元メンバーの美少女僧侶と魔法使いの借金を肩代りするハメになった。二人を借金奴隷にしたカインは聖女狩り事件に巻き込まれていく

第15話 ホクホク

　俺達は冒険者ギルド協会に来ていた。ソフィアさんの話しでは俺達が『天輪の嵐』に預けた暗黒邪教騎士の首級とその鎧の査定金額を、協会の方で支払ってくれるとの事だった。

　冒険者ギルドに限らず様々なギルドは横の繋がりがある。それを束ねているのが協会だ。今回のような、冒険者が命懸けで達成したクエスト報酬が未払いになるような不利になる案件は、協会が負担する場合がある。

　ちなみに俺達が持ち込んだ首級と鎧はギルドボスが持ち逃げしたらしい。

「申し訳ありませんが、物は天輪の嵐のオーナーが持ち去ってしまった為、相当金という事でこちらの金額になります」

　つまりは目減りしているって事だな。

「……５千万？」

「はい。現物が有れば倍はお支払いするべきと伺っていますが、協会も今回の出費が多額になる為、この金額で納得して頂くようにと協会長から申し使っております」

　受付のお姉さんはばつが悪そうに言っている。天輪の嵐が抱えていた未払いの冒険者報酬や、クエスト依頼未達の賠償金、更には税金諸々でかなりの負担を協会がする事になるのだが、首級と鎧で５千万にもなるものなのか？

「５千万カッパー？」

「５千万ゴールドですが？」

「首級と鎧で何でそんな高額になるんだ？」

「詳しくは分かりませんが、一連の聖女狩りの証拠だとか、凄いマジックアーマーだとか聞いています。既に教会の方で引き取る事になっています。金額の方はいかがしますか？」

「いいです！　それでいいです！　お願いします！」

　金欠に近い俺達には１億も２億も関係ない！　現ナマ重要！　貰えるものは貰います！　聖女狩りと暗黒邪教騎士団、しいてはマーラー邪神教会の証拠品としての価値が査定金額を上げたような感じだな。何はともあれお金を貰えて良かった。

◆

　協会でガッツリお金を貰い、俺達はウハウハだった。さっきの魔石の金額と合わせれば、手持ちはなんと１億８千万ゴールドもある。リアナ達もニコニコしている。

「今夜は美味しいもの食べようね！」

「美味しいお酒も飲みましょう！」

「私もご相伴に預かってもいいのかしら？」

「ソフィアさんもメンバーなんだから当たり前よ。ね、カイン？」

「まあ、そうだな。とはいえ程々だぞ。お前らは甘やかすと癖になるからな！」

「「は～～～～い」」

　大金が手に入り財布の紐が緩みそうだが、コイツらは放っておいたら有るだけ使っちまうからな。

◆

　とは言え俺達の今後の食いぶちを稼ぐ必要もある。ソフィアさんが南地区にある冒険者ギルドに知り合いがいるとの事で、俺達は王都の西地区から南地区へと移動した。

「ここか？　かなりデカいギルドだな」

豪華絢爛な４階建ての建物。開かれた扉の中には、沢山の冒険者達で賑わっている。

「ここは王都でも最大手の冒険者ギルド『赤竜の爪』です」

　流石は王都の大手ギルドだ。稼げそうな匂いがプンプンするぜ！　俺は襟を正して歩き出した。

「カインさん、ここでは無いですよ」

「えっ？　そうなの？」

　じゃあどこよ？　いいんじゃないの、このでかいギルドで？