ResentmenT
やまぶき
流す血。流される血。
別の世界からの召喚。
かつて、この世界で行われた陰陽のバランスを崩し兼ねる禁忌の儀式。
この儀式を実行できるのは今や神か魔王だけである。
神は選んだ。
深き心に復讐の種を持つ人間を。
悪霊の森に剣が交わる音がする。
「やるではないか男よ」
「御託はいい。さっさとかかってこい。」
1人の男と1体の悪霊の騎士、2人の戦士が命の奪い合いをしていた。
「その剣なかなか良いではないか」
「当たり前だ。」
男は食い気味にそう答えた。
「男よ。次の一撃で3日3晩続いたこの決闘。終わりとしようではないか」
「俺もそのつもりだった。」
「その覚悟やよし。行くぞ!」
森に響く音は先ほどまでの金切り音ではなく、血肉が切れる音だった。
「見事なり……」
「最後の相手が貴公でよかったぞ男よ…」
「貴公にこの『生者の剣』を託す…
我が生きていた証を残しておくぞ……」
悪霊の騎士は男に剣を託した後、消えていった。
「この剣…何かとんでもない力を感じる。
これが有れば"アイツら"を殺せるかも知れねぇ」
男は笑みをこぼした。
その笑みには真の喜びは感じることはできなかった。
復讐とは、力をさらに高めるための感情。
弱小種族の人類に残された最後の力である。
これは、尊きものを殺された男の復讐の旅路である。
ResentmenT やまぶき @deruta2121
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