ウィッチ

昨晩の嵐がウソのように、今日は日差しが心地よい。

そう伸びをするマアナの隣には今、珍しい客人が座っている。



女は自分のことを「ソラ」と名乗った。

魔法力が尽きて空から落ちてきたという。


「ウィッチって魔法使いなの~??」

マアナは興味津々だ。


「ああ」とソラは傍らに立て掛けられていた古いステッキを手に取った。


「ウィッチに掛かればステッキだろうが何だろうが、空飛ぶ魔法のほうきとなる。」


婆ちゃんのステッキを掴んだソラの体が微かに光ったその瞬間、彼女の体が浮かび上がった。


「スッゴーイ!」初めて魔法を目の当たりにしたマアナが目を輝かせる。


「だが、所詮このレベルだ。今の私ではもう自由に飛ぶことは叶わん、、、」

ソラは怒るように言い捨てた。





真上にあった太陽が西に傾き始める頃になってもマアナの興味は止まらない。


「ソラはやっぱりお空が好きなの?」


「ああ、大空は私をワクワクさせてくれる。」

「マアナは外の世界に出たくはないのか?」


マアナは考える。

「私はここで生まれて、ここで育って、だからよく解んないんだ、、、」


ソラは無言のままマアナと、その隣のクゥに目をやり何かを考えていた。

まるで“それ”が見えているかのように、、、



二人が話すのを脇目で見ながら、

そんなソラのことを何故か好ましく思えないドウドだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る