嵐の気配


(、、、ガタタ、、ガタタタッ!)

お昼にはあんなに綺麗だった青空が夕方には灰色に変わり、今はもう板戸に叩きつける風の音が大きく響いている。


「どうも嫌な風だねえ。まだ、嵐が来るって時期じゃないのに、、、」

婆ちゃんが眉をしかめる。


「ドウド達、大丈夫だったかな?」

魚を届けたドウドは、急な天候の悪化に、皆と船を陸に上げるために港に戻ってしまい、マアナ達は今しがた二人の夕飯を終えたところだった。


「何も無ければ良いけど、、、」 



(ッカ!!!)

突然空が昼間のような明るさになった瞬間、雷鳴が轟く。

同時に、


(バリィバリバリィバリィバリバリ)

轟音と共に何かが森の木々を薙ぎ倒す!!


「!!?うわぁ、ナニナニナニ?婆ちゃん?」

椅子から落ちて尻もちをついて慌てるマアナを横目に、いつも見せないような素早さで婆ちゃんが外に飛び出した。


目に入ってきたいつもの森の木々は、滅茶苦茶に薙ぎ倒され新たな一本の道を作り出していた。そして、

その終わりに、見たこともない大きな鉄の塊が居た、、、


「わっ、何?何アレ?婆ちゃん?、、、エエッ???」

驚くマアナの言葉が終るのを待たず、


「ハァーーーーッ!!」突然のため息と共に、鉄の塊の隣から立ち上がる人影!?

彼女の青い瞳とマアナの黄金色の目が合った瞬間、



「鉄の翼を駆り大空を征く魔女たち、、、」

その婆ちゃんの言葉を遮り青い瞳が言う。


「いや、、、ウィッチって言うのさ。」



突然立て続けに起こったそれらの出来ごとに驚きながらも、マアナが口にしたその言葉は、


「すっご~い!!」


『何か自分が想像もしない出来事がこれから、始まるのかもしれない。』そんな未来を感じ取ったマアナだった。


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