1350年 聖女
設定・年表等(1350年時点)
Ⅰ 国家および組織
○ガロア王国
大陸西部を中心として拡大した軍事強国。
封建制によって諸侯に軍務を負担させ、出征による拡張で入手した属州からの税で国を富ませている。
大陸の雄と讃えられる大国だが、諸侯や属州と王都の連携に地理的な限界が生じており、ミトラス教の教会機構による助力に依存している。
現国王はアルノワ朝のテオダルド3世。主人公オレリア・アルノワの実父。
宮殿内にミトラス教の聖堂と聖職者のための屋内都市「聖堂街」を抱えており、その内部では秘密裏に腐敗と工作が進んでいた。
1346年、第一王子シャルルが聖堂街に誘拐され、それを救出するために近衛兵を率いてオレリアが聖堂街を襲撃した「聖堂街の乱」が起こる。
結果的にシャルルは救出されるが、聖職者数名がオレリアの手によって死傷し、隠蔽工作の末にシャルルは王位継承権を失う。また、オレリアも遠方へ嫁ぐことが決まってしまう。
1349年、教会の後援を受けてシエナからマロツィア妃が迎え入れられる。マロツィア妃を中心とした教会派勢力が台頭しはじめる。
属州で相次ぐ反乱、マロツィア妃が信仰の名の下に召集した「星雲軍」と呼ばれる騎士たちの略奪により、国は衰退の一途を辿っている。
○レフコス王国
大陸から海を隔てた西方の島国。
僻地であり、豊かとは言えないものの、召喚された歴代勇者の血統と文化を取り入れたことで安定した国家となっている。
勇者召喚の儀が執り行われる祭祀場が存在することでも知られるが、聖都シエナと物理的な距離が離れているため、教会との関係は比較的薄い。
現国王はエルメット朝のオーウェン2世。リシャールの父。
勇者の血統を取り入れることによって王権を強固なものにしており、統治は安定している。しかし、それは同時に「勇者が召喚された際は王位を勇者に譲らねばならない」という伝統と背中合わせになっている。
また、聖人である勇者への盲信から王の負担が大きくなっており、議会である星室庁が機能を失っている。
第一王子リシャール・エルメットはレフコス王国の議会を機能させるため、不適格な婚約者と見なされるオレリアをあえて婚約者として招くことで貴族たちから「婚約破棄の請願」を出させるよう誘導している。
レフコスは厳密には国名ではなく島名であり、北部にはかつてドゥムノニアと呼ばれた狩人の氏族が住んでいた。
勇者と魔王の戦いが繰り広げられていた時代にはレフコスとドゥムノニアは勇者の元で共に戦っていたが、戦後ドゥムノニアはレフコス島最北端の不毛な凍土に追いやられ、現在は雪賊と忌避される野盗に身をやつしている。
鉱脈が北部に集中していること、雪賊の略奪に対して防衛戦力が不足していることから、レフコス島の鉱山資源は多くが未開発のまま放置されている。
○ミトラス教と聖都シエナ
大陸南東部の半島を中心とするミトラス教の聖都。
法王として教皇が君臨しており、行政機関として教皇庁が置かれるほか、教皇が神託を賜るために登頂する聖塔が都市の中心に建てられている。
ミトラス教の祭神は太陽神ミトラス。また、聖人は死後にミトラスの元に召し抱えられ、夜空の番をする星々となると考えられている。
聖職者は神や聖人の名を借りることで奇跡を行使することができる。豊穣、病魔退散、傷の治癒、真贋鑑定など多岐に渡る奇跡からミトラス教は大陸全土に浸透し、生活の基盤となっている。
ミトラス教徒の至上命題は「魔王の封印」であり、聖墓ネストリアと呼ばれる大陸南部の都市遺跡に磔にされた魔王を封印し続けるために活動している。
魔王封印の結界を維持するために勇者を召喚することがあり、魔王と戦った初代勇者を含めて過去に四人の勇者が召喚された。
教派や政治闘争から分裂・対立が生じており、中には聖人の聖遺物や遺骸を研究する「聖餐主義者」など異端的信仰で知られる教派も存在する。
○北方都市群
大陸北部の河川沿いに広がる商業都市群。
特定の統治者を持たず、緩やかな横のつながりと評議会による結束で知られる。
○南海
ガロア王国南部に存在する内海。
異教徒の海上交易が盛んであることや、南方大陸への進出ルートであることから、ガロア王国繁栄の要として征服が進められていた。
聖墓ネストリアへの道が拓けてしまうこと、ガロア一強の状況が望ましくないと判断されたことなど、様々な理由から南海への出征は教会の妨害に遭っていた。
最終的にガロアによる出征は1346年の聖堂街の乱で凍結となった。
Ⅱ 人物
1. 1 主人公
○オレリア・アルノワ
1342年12月生まれ。本作主人公。女性。
現代日本で男性として生きていたという漠然とした前世の認識と、現代知識のみを抱えて生まれる。
父はガロア王国国王テオダルド3世、母はオリアーナ。また、13歳年上の兄にシャルル・アルノワがいる。
母譲りの妖しげな美貌、父譲りの鋼色の髪が特徴。
読書家で一人の時間を好む一方、懐に入れた者にはとことん甘く、照れ屋なのを隠すために皮肉屋として振る舞う悪癖がある。
侍衛武官であるアンナを除き特定の家臣を抱えず、雇用関係を好む。
1343年、オリアーナが毒殺されるのをゆりかごの中で目撃する。
1344年、神託により宮廷医として潜入していた枢機卿派の工作員マテウスが懺悔の形で毒殺の経緯をオレリアに明かし、この時点から復讐を企てる。
1346年、シャルルが誘拐されたことを理由に聖職者のみが立ち入りを許される宮殿内の聖域「聖堂街」へと近衛兵を糾合して突入する事件を起こす。
後に「聖堂街の乱」として知られるこの事件で聖職者数名を殺傷し、聖堂街内部の腐敗を強引に暴いたことで大陸全土に政治的な動乱を引き起こした。詳細は後述。
事件の責任を問われ、小国に嫁がされることが決まった後、レフコス王国第一王子リシャール・エルメットから婚約の申し入れがあり、文通を始める。
文通の中で互いの政治的な目的が一致していることを確認し、レフコス王国に議会制を定着させるための共犯者として婚約を受け入れる。
1349年、テオダルド3世の後妻として嫁いできたマロツィア妃に半ば追い出される形でレフコス王国に転居。婚前での不名誉な転居や事件に関する風聞、金属質な髪色から「鉛毒の小瓶」とあだ名される。
男装の錬金術師アウレリアをスカウトし、ウーティス・アルバスと名を変えさせて出版社「アルバス・カンパニー」を創設する。また、補充人員としてガロア王国で活動していた傭兵団「赤火の虎」を引き抜く。
表向きはアルバス・カンパニーの外部顧問として「奔放で新しいもの好きなお姫様」のふりをしつつ、裏では教会が禁域とする南方大陸への進出を目論む。
○リシャール・エルメット
1333年8月生まれ。オレリアの婚約者。
レフコス王国の王朝であるエルメット朝の第一王子。
父はレフコス王国国王オーウェン2世、母はメアリ。12歳年下の弟レオがおり、レオの出産後にメアリ妃は他界している。
エルメット朝は現代日本から召喚された勇者の血を婚姻によって取り込んでおり、勇者の末裔として知られる。
公にはされていないが、初代勇者アキト・ハラダが召喚されてから魔王封印の結界として消滅するまでの記憶を継承しており、彼を手本として振る舞っている。
勇者譲りの黒髪と穏やかな顔つき。
表向きは理想的な王子として華やかかつ陽気に振る舞っているが、本当は神経質で泣き虫。
国民の「勇者への盲信」に半ば恐怖にも近い感情を抱いており、「勇者だから名君になるという保証はない」と国を守るために議会制への移行を目論む。
1346年、聖堂街の乱でオレリアの存在を知り、「弱者を救済する」という勇者の信念に則ってオレリアに手を差し伸べる。
その後文通の中でオレリアの苛烈さと聡明さを知り、大喧嘩を繰り広げながらも改革の共犯者として期待を寄せる。リシャールが送った資料を元にオレリアが勇者召喚の時期を特定したことで、オレリアを迎え入れる覚悟を決める。
1349年、オレリアを婚約者として王城に住まわせる。奔放で理解の及ばないオレリアに隔意を抱くが、後に対話によって解消される。
以降はオレリアのよき理解者として支える立場を取る。
1. 2 主人公たちの周辺
○アンナ
1334年2月生まれ。オレリアの侍衛武官。
赤毛を三つ編みにした長身の女性。そばかすすら愛嬌に変えてみせる明るく社交的な人物で、武人気質。食い意地が張っている。
近衛兵の父の影響でガロア王家への忠誠心が篤い。
土の魔術に長け、刺客としての訓練を受けるが、宮廷で出会った幼いオレリアを見て「放っておいたら死んでしまいそうな人だ」と感じ、護衛と侍女を兼ねる侍衛武官に志願する。
1346年、聖堂街の乱ではオレリアの名のもとに近衛兵を率いて聖堂街に突入。オレリアがすべての罪を被るつもりであったことを理解し、オレリアを死なせないために奮闘する。
考えることは苦手だが、主であるオレリアに考えることを任せて思考放棄していたことを反省し、真の臣下として努力している。
オレリアの唯一の臣下であることを誇りに思っている。
○ウーティス・アルバス
1332年11月生まれ。アルバス・カンパニー社長。
癖のある茶髪のスレンダーで中性的な女性。華美な服装と気障な羽根付き帽子、手品師のような大仰な口ぶりが特徴。
人を驚かせ、愉快がらせることを好む。甘え上手で生活が乱れがち。
本名はユーラリー。ガロア北東部の貧しい村で鍛冶師の娘として生まれた。
1342年、鍛冶師だった父が病没し、彼の財産を寄進してガロア北東部ルグラン修道院の修道女になる。堕落した修道院で酌婦として接待を行い、倒錯した趣味の院長とも肉体関係を持つ。
1344年、祭具の修理をしていたことで明らかになった鍛冶技術の腕を見込まれ、教会の隠れ里で自然哲学者の弟子ルグランのエウラリウスとして教会の禁忌である「魔術による金属加工」を学ぶ。
1346年、聖堂街の乱によって生じた教会内の政変に巻き込まれ、「特別な武器」の製造に参加する。師である自然哲学者が武器の製造に抗議したことで殺害され、隠れ里を脱出する。
1347年、男装の錬金術師エウラリアとして倒錯的な趣味を持つ男性たちを相手に詐欺や恐喝を働きながら西へと進み、レフコス王国へ渡航する。
レフコス王国で父がホプトン男爵の出奔した兄であったことが判明。叔父にあたる男爵の元で錬金術師とは名ばかりの手品を披露し、貧しかった男爵家を豊かにする。
1349年、手品の一環で作った鋳造の合金指輪がオレリアの手にわたる。この指輪を作るのに教会の祭具と同じ技術を用いていると看破されたことをきっかけとし、オレリアに仕えることを決める。
以降はウーティス・アルバスと名乗り、アルバス・カンパニーの社長として活動。オレリアの指示に従って活版印刷機を発明する。
○赤火の虎
オレリアがアルバス・カンパニーの社員とアンナの部下を欲したため、ガロアから送られてきた傭兵団。シャルルと同じ戦場で戦ったこともある歴戦の強者たち。
団名は団長が代々継承する魔術に由来し、当代の団長であるガラシャも優れた使い手としてアンナと互角に渡りあった。
広大なガロア各地を転戦する傭兵団の性質上、洗濯婦や会計士など非戦闘員を多く抱えていた。
現在、戦闘員はホプトン男爵領で開発された鉱山の護衛を中心として各地に配置され、非戦闘員はアンナの部下やアルバス・カンパニーの社員として勤務している。
2. 1 ガロアの人々
○シャルル・アルノワ
1329年5月生まれ。オレリアの実兄。
オレリア同様の母に似た美貌と卓越した武勇で名を馳せた第一王子。
表情の変化が乏しく、口調が重苦しいため、威圧的な人物と誤解されることが多い。実際は愛情深く誠実な人物。
一時期、魔王の後継という噂が宮廷内で流れた。これは聖堂街の聖餐主義者がシャルルを誘拐する口実を作るために流したもの。
名将と期待されていたが、1346年の聖堂街の乱で従僕のマレーを人質に取られ、誘拐される。
すんでのところでオレリアに救出されるが、事件の後始末で実母であるオリアーナの結婚およびシャルルとオレリアの洗礼記録が改竄されたことにより、嫡男としての身分を失う。
現在はアルノワ姓を名乗らず、徴税吏の騎士シャルルとして従僕とともに属州を転々とし、現地の人々を助けている。
○レイモン・ジラール
1296年生まれ。ガロア王国宮宰。
先王の代から宮廷に勤める旧臣。王の信頼も篤く、戦続きの王国を支えてきた柱。
1346年の聖堂街の乱ではレフコス王国から渡航してきた教皇派の高僧シエナのイシドルスを迎えるために宮廷を留守にしており、その隙を突かれた。
一度は宮宰の職を辞すると訴え出たものの、人手不足を理由に引き止められ、凋落しつつあるガロアを支えようと粉骨砕身している。
その裏では密かにレフコス王国へ嫁いだオレリアとやり取りをしており、オレリアにとって貴重な情報源の一人となっている。
○テオダルド3世(テオダルド・アルノワ)
1311年生まれ。ガロア王国の国王。
オレリアとシャルルの実父。
粘り強く戦上手で知られ、その尋常ではない忍耐力と金属質の髪色から「鉛血王」とあだ名されている。
子らへの愛情は深く、出征先で常に土産物を探していたほど。しかし、王として軍を率いていたため顔を合わせたことはほとんどない。
1349年にシエナからマロツィア妃が嫁いできてからは気力を失いつつある。
2. 2 レフコス王国の人々
○レオ・エルメット
1345年4月生まれ。レフコス王国第二王子。
まだ4歳と幼く、年相応のあどけなさで宮廷の人々に愛される少年。
その一方で第三勇者の剣の才覚を継承しており、ひとたび剣を振るえば大人も顔負けの実力を発揮する。
言葉はたどたどしいが、王族としての責務を理解しつつあり、オレリアのことを「弱いから守ってあげなくてはならない姉」と認識している。
一部ではレオを次期国王として擁立する動きも見られるが、その実態はまだ明らかになっていない。
○オーウェン2世(オーウェン・エルメット)
1305年生まれ。レフコス王国の国王。
リシャールとレオの実父。また、二人よりも年上の娘がおり、他国に嫁いでいる。
親しみやすく聡明な王として愛されており、第四勇者の得意とした「正確な目算」でひと目見て長さや重さを測ることができるという特技を持つ。
実際には「正確な目算」は長さや重さに限らず、予測全般にも適用される。長きに渡り君臨した名君の名君たる所以。
リシャールが「オレリアを婚約者として迎えたい」と申し出た時点でオレリアが長期的にはレフコス王国にとって利益をもたらす存在となると予測し、婚約を認めた。
○フレデリカ
1322年生まれ。メイド長。
初代勇者がもたらした役職である「メイド」に誇りを持つ壮年の女性。
城内のメイドを統率する立場として自分にも他人にも厳しく接する一方、勇者の血統である王族には深い忠誠心を抱いている。
頻繁に盗み食いをするアンナをよく叱っている。
3. 1 教会とシエナの人々
○シエナのイシドルス
1310年生まれ。教皇の代理人として各地に教皇の言葉を伝え、自身もシエナの門閥セルヴィティア家出身の高僧として教皇派を率いる。
聖堂街の乱では事件の翌日に偶然到着し、聖堂街にはびこっていた悪徳と汚職を自らの権限を振るって「なかったこと」にし、多くの聖職者を「最初からいなかった者」とした。
直前までレフコス王国で勇者召喚の祭祀場を訪問していたが、その目的は明らかになっていない。
○シエナのノワイエ
1280年生まれ。現在唯一の枢機卿。門閥であるカエターニ家の当主でもある。
宮廷医としてマテウスを送り込み、ガロアの聖堂街が腐敗するよう工作を行わせた張本人。他にも聖餐主義者を飼いならすなど、様々な場面で暗躍している。
その正体はまだ明らかになっていない。
○ベルナール
1300年生まれ。枢機卿子飼いの工作員。
かつてはマテウスと名乗り、ガロアの宮廷医を務めた。
1333年からガロアでの工作に従事し、聖堂街の腐敗を招いた。この間は煙草も断ち、宮廷医として疑われることなく振る舞っていた。
1344年、教皇が神託を賜ったことで疑問を抱きながらもまだ赤子だったオレリアに「オリアーナの死はノウァートス・ペレーによる毒殺である」と懺悔する。
1346年、聖堂街の乱ではオレリアに利用され、聖堂街の開門に使われるが、その後正体を明かさずに死体を偽造してガロアから脱出した。
以降は後進育成も兼ねて枢機卿から預けられた青年アンリを副官とし、異端審問官を率いて枢機卿派の汚れ仕事を担っている。
○マロツィア
1331年生まれ。ガロア王国の新しい妃。
1349年、シエナの門閥であり銀行家で知られるベナドゥーチ家からガロアに嫁いできた。教皇派を中心とした教会勢力の後援を受けている。
敬虔で弁舌に長け、華やかな美貌で知られるが、放蕩家で性的にも奔放。
自身の知性に自信を持っており、しばしば国政に干渉している。
属州で多発する内乱を鎮圧し、南海周辺の異教徒都市群を征伐するため、教皇の印璽によって信仰のもとに「星雲軍」を結成。大陸全土から騎士を募る。
星雲軍はガロア国内の治安を悪化させており、また無軌道な軍事行動によって国庫が圧迫され、ベナドゥーチ家と教会へのガロア王国の依存度を高める原因にもなっている。
Ⅲ その他の設定
○魔術
神秘を体系化した古代の魔導哲学によって生み出された技術。
魔導文字とその意味さえ知っていれば誰でも使うことができるが、属性の向き不向きが存在する。
現存する魔導文字は戦闘に特化されており、それゆえに教会は「人を殺める技術である」として魔術を忌むべきものとしている。そのため、聖職者は魔術を使わない。
また、一揆や反乱を防止するために魔導文字を王侯貴族が独占する動きもあり、あまり普及している技術ではない。
一方で、教会は密かに「魔術を用いた金属加工」という禁忌に手を染めており、ウーティスはこの禁忌を知ったまま脱走したことで指名手配を受けている。
勇者の血統のみが行使できる「光の魔術」が存在し、魔術で唯一治癒の力を持つ。
○奇跡
聖職者が行使する神秘の力。
神や聖人の名に呼びかけ、祈祷することでその聖人や聖句に対応した効果をもたらすことができる。
効果は作物の豊穣から傷の治癒、異教徒の捕縛まで幅広く存在するが、祈祷文や聖人の対応する星の並びなど様々な知識を必要とする。
また、行使するためにはタリスマンを必要とし、適切なタリスマンがなければ行使できない奇跡も存在する。
一例として、医療の聖職者が医療を学ぶ聖療院では、その始祖である第二勇者の聖具を模した眼鏡をタリスマンとして与え、修了の証としている。
大規模な奇跡には条件が定められており、多くは星辰と関係している。勇者召喚の儀も大規模奇跡の一種である。
○勇者
レフコス王国の祭祀場で召喚される守護聖人。
初代勇者は魔王と教会の戦いに際して召喚され、魔王が聖墓ネストリアに封印されて以降は結界を更新するために召喚された。
歴代勇者は以下のとおり。
・初代勇者アキト・ハラダ(平等と開拓の守護聖人)
・第二勇者ヒロ・フユハラ(貧者と病人の守護聖人)
・第三勇者サユリ・ナカモト(作物と大地の守護聖人)
・第四勇者ナツメ・コシガヤ(天秤と地図の守護聖人)
いずれも現代日本から召喚されたことがわかっており、それぞれが現代知識と勇者としての力で世界に影響を残している。
○魔王
1000年以上前に世界を滅ぼそうとした存在。
かつては聡明な魔導の王であったが、ある時を境に堕落し怪物の軍勢を率いたと伝えられている。
初代勇者アキト・ハラダによって聖墓ネストリアで磔刑に処され、現在も生きたまま封印されている。
詳細は明らかになっていない。
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