第14話 お前と会った夢――彼女の面影と散歩道
目を覚まして周りを確認すると、隣には先生が居た。先生もまた縁側で日向ぼっこして、昼寝してしまっている。
柱に頭を預けて、気持ちよさそうに座ったまま眠っている。寝かせておいてあげたいが、このままでは風邪をひいてしまう。私は先生の服の裾を引っ張って、先生を起こした。
「ん? あぁ、寝ちまってたんだなぁオレ。お前と会ったことまで夢じゃなくてよかったよ」
先生がそう言って笑いかけてくれた。
「にゃー」
私も返事をする。
「んー、寝てばっかりもなあ。隠居生活は暇だし、散歩でも行くか」
先生が庭先に出て、私を振り返る。
「お前も来るだろ?」
――はい!
返事の代わりに、私はにゃーと鳴いた。
先生は小柄で、足が短いから、歩幅も小さい。私は先生ののんびり歩きにペースを合わせながら四足歩行していた。途中で猫としての自分の脚力に気付き、ジャンプを繰り返して、塀の上を歩いたりもした。
「おい、こっちに行こう」
そう言って、先生は何かを見つけたのか少し歩くペースを早めた。私もついて行く。
「ナー」
私は思わず、そう鳴き声を上げた。
そこは並木道だった。満開の桜が道の両端に続いている。昨日の雨で散っていないのにも驚いたが、何より絶景だった。
「ここらの桜は咲くのが遅かったからなぁ。満開の前の雨っつーのは、桜を咲かせる雨らしいぞ」
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