第3話 軽トラは草原を進む。
オレは軽トラを走らせる。
丘の上に向かって。
少しでも遠くが見えるよう、高い所、より高い所へと向かっていく。
そうそう、
などと一人で脳内ボケツッコミをしながら軽トラを走らせること十数分。
草原だらけの視界の中に今までは見えなかった風景が見えてきた。
それにしても、知らない場所にたった一人でいるというのはメンタルにくるものだ。まるで、若かりし頃に一人で東京に遊びに行ったときに某駅の中で方向も目的の路線も分からなくなって立ち尽くしたときのようではないか。
田舎者のメンタルは干からびた藁のように細くてもろいのだ。
で、新しく見えた風景だが、一面の草が切り取られ、固めた土が一定の幅で一直線に、時には蛇行して丘の稜線の向こうまで伸びている。
これは、俗にいう『街道』というやつではないだろうか。
道があるという事は、その道を作った『人』がいるという事。
道があるという事は、その道を通る『人』がいるという事。
人がいるという事は、ここがどこであるのか尋ねることが出来るという事。
という事は、家に帰る道が分かるかもしれないという事だ。
うむ。若干くどくなってしまったが、とにかく家に帰る手掛かりが見つかったという事だ。
次にすることはと言えば、この道をたどって人の住む場所にたどり着くことである。
では、いったいどっちの方向にむかって進むべきだろうか。
蛇行して丘の上の方に伸びる道、若干下りでほとんど直線な水平線を超えて見切れる道。一体どちらに向かえば正解なのか。
ちなみに、オレは方向音痴の上に勘も悪く、道に迷ったときの2択の時は絶対ハズレを選ぶという強運? の持ち主だ。したがって、ここで考え込んでも意味はない。
まあ、
登りの道を進んでみよう。
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