第12話 忍び寄る影
「お
「あったりめーだろ! なんせ相場の何倍もたっけぇ値段ふっかけてんだからよ」
お
「さっすがー、お
「だろー、ワッハハー」
「そういや
「ざっと、後二百万ってところでしょうね」
ツーブロックやサングラスに加え、ストライプの入った灰色のスーツを着込んでおり、インテリヤクザという言葉を体現した
「そりゃいい。これでまた一歩躍り出るってわけだ。さぁ野郎ども、今日は飲め飲めー! 今回のヤマ終えたんだ、
部下達の大きな歓声とともに、酒もどんどん進んでいく。
力こそ正義だ。
武力があれば、どんなムカつくやろーでも叩き潰せる。財力があれば、金より大事な物を奪うことが出来る。知力があれば、相手を
力なき者は何も手に出来ず、食い物にされる。それがこの世の真理だと彼は知っている。このクランを作ったのもそれ故にであった。
「お
普段とは違う様子に、別の部下が気遣う。
「なんでもねえ。
他の幹部の姿が見えないことに気付いた
「
「かぁー、仕事熱心な奴らだぜ。まぁ……、だからこそあいつらに任せられんだけどな」
クランを立てた当初は裏方仕事含め全てを一人でこなしていたが、それも早くに限度が来た。元々器用に物事をこなすタイプでもなかったというのもあり、どれも中途半端なままに終わったのである。
部下の適性や性格を無視した仕事を振ったり、最後の最後に他のクランに手柄を横取りされたりと、時には失敗を重ねながらも試行錯誤を経てようやく今の体制に仕立て上げたのだった。それまで短いようで長い時間を費やしたような気がする。
そんな時代もあったなと、
「お
「おー、なんだなんだ」
読み終えたであろうタイミングで部下から質問が来た。
「今度はどんな依頼なんすか?」
「なあに。また大した話じゃねぇよ」
クランマスターの彼は何の後ろめたさも感じさせないような、世間話でもしているトーンで
「なんでも、
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