第11話 協調と挑発
「それでは~、まずテーブル中央をご覧くださ~い」
僕と
「ちょっと待ったぁ! なんで
彼女は僕を
ナチュラルにこの部屋まで一緒に来たため、違和感を覚えなかった。しかし、よくよく考えれば彼女がここにいる理由はないはずだった。
「そういえば、言ってなかったわね。当分の間はあなたと行動を共にしろっていう
「良く言えば用心棒ってこと?」
「悪く言えば監視役ってことよ」
「それはどうも」
彼女とのやり取りの通り、何かしら僕が不用意な行動に出ないようにするための見張り役ということだろう。信用されていないのか、そもそも抜かりないよう徹底しているのかは知らないが、いずれにせよやりづらいことは確かだ。
(
ただ、それを差し引いても彼の見事な
「あ、ミリエラさん、話に水を差してしまってすみません。説明をお願いできますか?」
「構わないですよ~。結論から申し上げますと~、
あまり的中してほしくなかった予想ではあるが、そうなってしまっては仕方ない。それよりも問題が起きた後にどう対処するか、それが大切だ。
「データ見るかぎり、誘拐犯が誰か分かっているみたいですね」
「はい~。服装のエンブレムから~、正体はクラン『
「『
「クラン自体はそこまで大規模なわけではないですね~。ただ~、『武力第一、金銭第二、安全第三』と少~し過激なスローガンを
「えっと、それ具体的にどういう内容なんですか?」
スローガンの意味はなんとなく分かりそうではあるものの、曖昧なまま放っておくのはモヤモヤするため、率直に聞いてみた。
「要するにですね~、常に強い人を募集していて~、報酬次第でどんな依頼でも受け付ける集団ってことですよ~。それこそ~、今回のような犯罪行為であってもですね~」
「依頼? ……ということは、
「申し訳ありませんが~、それまでは分かりかねます~」
実行犯とは別に
それにしても誰がそんなことをするのか。正直心当たりが全くない。
「何故、
「それも~、
ただ~、どなたも一人になる時間帯を事前に把握していたようでして~、計画的犯行からなんらかの目的があるのではと推測しておりま~す」
ふむ。目的も不明ときたか。それなら『
「奴らの拠点はどこにありますか?」
「画面切り替えますので~、少々お待ちくださ~い」
ミリエラさんがそういって数秒後、マップデータが現れた。地図には赤いお城のマークと複数の白いお城のマークが表示されていた。
「複数拠点を所持しているみたいですが~、犯行現場からの距離を考えるに~、最寄りの拠点に
赤いお城が『
「なるほど。では、僕はこの拠点に向かい、
「
「といいますと?」
「質問に質問を返して申し訳ありませんが~、
「いやいや。そんなゴリゴリの
確かに緊急を要する事態ではあるものの、相手の戦力が不明な以上、下手に動けばより状況が悪化してしまうだろう。正面突破は手っ取り早くてシンプルな方法ではあるが、目的を達成するための手段としては不適切と言わざるを得ない。
「それならばいいのですが~、どうなさるおつもりですか~?」
「これから策を練り上げようと思いますが、少なくとも敵対すべき相手は二つの条件を満たす必要がありますね」
僕は手をグーにして、顔と同じくらいの高さに上げる。
「一つは当然依頼主の
指を立てながら、その条件を説明する。
「一つ目の条件を考えると~、クランマスターや幹部クラスと考えるのが妥当ですね~。わざわざ下っ端に教えるメリットも無いでしょうし~。
そして~、残念ながら今の
「な……!」
あまりに明け透けな発言で、思わず固まってしまった。ゆるふわな雰囲気を
出来るだけショックを表に出さないよう注意しつつ、尋ねる。
「……ちなみにその理由はなんですか?」
「純粋に~、戦闘能力の差ですね~。今の
「でも、ほら、勝負って実際にやってみないと分からないものじゃないですか? 良くて
お前は弱いという宣言をそのまま受け止めることは出来なかったので、一般論を用いて
「それでは~、お試しになりますか~?」
「……はい?」
「実際に手合せいたしましょうか~? その方がすぐにご納得されると思いますよ~」
(手合せ……、つまり戦うってこと? ミリエラさんと? どうしてそうなった!?)
まさかそのような展開になるとは予想してなかった。自分の発言が招いた結果とはいえ、少し
「敵と接触する前に、味方同士で消耗し合うのはナンセンスだと思うんですが?」
「ご安心くださ~い。そんな時間も力も使うことでもないですし~、むしろ~、これは必要事項だとお考えいただければ~と存じます~。
まさかとは申しますが~、ここにきて女性一人相手に出来ませんなんて
「なんだと! やってやろうじゃねぇか!」
「
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