20話 プレゼント
「あと一年くらいで貯金全部使って死ぬ計画立て始めてから鬱だったのが嘘みたいに晴れやかな気分になってきた」
ってネットの人が言ってた。
なんか羨ましい。俺もどうせ死ぬなら、バイクの免許取って日本一周の旅とか楽しい事やってから死にたい。
でも今は死ぬ気が無い。
死なないにしても、いつか金を貯めてバイクの免許を取って日本一周してみたい願望は昔から凄くある。既に車の免許は持ってるから車でもいいんだけど、どうせならバイクで風になった方が楽しいと思う。車の免許を既に持ってる場合、バイクの免許もすぐ取れるらしい。
でも、てんかんの持病があるから、車もバイクも乗れなくなってしまった。
てんかん持ちだから、俺は徒歩かバスか電車しか交通手段が無い。今は群馬の中でも比較的都会に住んでて、徒歩圏内にいろんな店があるから、便利だ。車が無くても一人暮らしは何となる。
正直、てんかん患者でド田舎暮らしはしんどい。買い物の全てをAmazonで済ませるしかないからだ。
睡眠薬が変わってから睡眠の質が劇的に変わった。今日は夜の11時に寝て7時半に起きた。久々にこんなに長く寝た。
最近の俺の悩みは物欲が全く無いことだ。
欲しいものが無い。だから、“欲しいもの”が欲しい。欲望が欲しているのは欲望そのものだ。
現状は酒とタバコと精神薬くらいしか欲しいものが無い。
別れた彼女のSNSは見ないつもりだったのに、見てしまった。彼女は楽しそうに生活していた。だから俺は安心した。
俺の趣味の一つに魚釣りがある。魚釣りは鬱に効くと思う。のどかな自然の中で小さく揺れる水面を眺めながら、ぼんやりして、竿が揺れたら引き上げて、魚という名の食料を調達している。魚はいつも実家で塩焼きにして食べてたんだけど、このアパートはIHコンロだから、塩焼きができないんだよな。だから普通に包丁で捌いて焼いて食べてる。
群馬には海がないから、海釣りは出来ない。
海のある県が少し羨ましい。
1人で散歩して、海を眺めながらぼーっとしてると落ち着きそう。
俺は東京だと江東区が1番好きだが、その理由は海が見えるからだ。海を見ると少し叙情的になるのは何故だろう。よくsyrup16gというバンドのライブを観に江東区の新木場スタジオコーストという大きいライブハウスに行っていた。でも新木場スタジオコーストはコロナ禍の煽りを受けて閉館してしまった。
他にもいろんなライブハウスが潰れていて、ライブ観戦が趣味の俺としては残念極まりない。
米を適当に炊いたら、おかゆみたいになってしまった。
まあ、水が少なくてパサパサのご飯よりかは、おかゆの方が美味しいからセーフ。
酒の飲み過ぎで内臓を壊して入院した時、おかゆを食べてたけど、病院のおかゆは普通に美味しいです。
米に関してはいつも親戚がくれるから、買う必要が無い。ありがたい。
◆
ユーチューブでジッタリンジンってバンドのプレゼントって曲を聴いた。ポップで聴きやすい。歌詞さえ覚えたらプレゼントの弾き語りは余裕で出来る。ギターが簡単すぎる。
コメント欄の「半端ねえ量のプレゼントくれた奴に恋人いたのヤバすぎる」ってコメントで少し笑った。
1990年の曲らしい。32年前の曲だ。古のバンドだが、サビのメロディーがすごくいいので聴いてみてください。32年前の人とは思えないほどボーカルが可愛い。古い曲は味があっていい。俺は最近古い曲を聴くことが多い。小さい頃、父親が車の中でよくGLAYの曲を聴いていたから、最近はGLAYをよく聴く。全然世代ではない。
いろんな邦楽バンドを聴きすぎて、最近は逆に古い大衆向けの音楽も聴くようになってきた。最近流行りのアーティストで1番好きなのは「ずっと真夜中でいいのに」だ。声が可愛い。彼女とライブにも行ったことがある。
ずっと真夜中でいいのに、の新曲は微妙だった。数ヶ月前に出たミラーチューンって曲は可愛かった。
ジッタリンジンのプレゼントを聞いて思い出した。そういえば俺は彼女に色々プレゼントをあげた。
じゃがりこをあげた。
沖縄の有名な泡盛をあげた。
ぬいぐるみをあげた。
欲しがってたピンクのバッグをあげた。
俺の人生をあげた。
彼女もたくさんのプレゼントをくれた。人生をプレゼントしてくれた。
最後に彼女がくれたプレゼントは「さよなら」だった。
バイバイ マイスイートハニー。
振り返ると、いい思い出ばかりだ。人生の一部を俺にくれてありがとう。あなたとの思い出は忘れない。
幸せになってくれ。
◆
最近、1人キャンプに興味が少しある。
めんどくさいから実行しないとは思うが、1人でキャンプして美味しいキャンプ飯作ってみたい。
昔、俺が小学生の頃に東京の子供たちとの交流会みたいなのがあって、キャンプをしてカレーを作ったりした。飯盒炊爨って言うんだっけ。炊飯器じゃなくて、火で直に米を炊いたりして、みんなでカレーを作った。
ああいうのを1人でやってみたい
虫がぷんぷん飛んでそうで嫌だが、椅子に座ってのんびり読書でもしてみたい
◆
最近、母親がアパートに来て、俺の部屋にあった南條あやの「卒業まで死にません」って本を読ませてほしいと言って持って帰った。
母は速攻で読んでた。
「卒業まで死にません」は面白いから、暇な方は読んでみてください。
精神を病んでる女子高生の日記が綴られてます。ちなみに彼女は18歳か19歳で亡くなりました。
次回に続く
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