My Hero KAC20228

世の中の英雄たちへ。大なり小なり、みんなが誰かのヒーローだと、思います。 アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022用600~4000字#KAC20228



俺には、たくさんのヒーローがいる。

女手一つで育ててくれた母さんと、仕事で居ない母さんの代わりにおやつを作ってくれた婆ちゃん、それと休みの日に遊んでくれた爺ちゃんに、俺が10歳の時に、小学生の男の子を助けて殉職した父さん。


小さい時は、父さんが大好きだった。死んでからは、父さんが居ないことを恨んだ。中学生の時は、父さんの話をしなくなった。高校生の時は、墓参りもめんどくさかった。


社会人になった今は、父さんが何を考えて感じていたのか知りたいと思っている。


何で昔はあんなに父さんを恨んだのか、母さんや婆ちゃんと爺ちゃんを困らせたのか、昔の自分に説教してやりたいと思う。


俺にとって大好きな父さんは、母さんにとっては愛した人で、婆ちゃんと爺ちゃんにとっては大切な息子だったのに・・・


俺は、昔婆ちゃんに「父さんは何で警察官になろうと思ったか知ってる?」と、聞いたことがあるらしい。

婆ちゃんは、「中学生の時に自転車で車に跳ねられたことがあって、親身になってくれて車の運転手を捕まえてくれた警察官がいたから、人に親切にできる人になりたいと言っていたよ」と、言ったと聞いた。


俺はその時婆ちゃんに「なんでダメって言わなかったの?警察官じゃなかったら、父さん死ななかったのに!」と、怒ったらしい。


きっと、婆ちゃんはその時、悲しい顔をしていただろうな。婆ちゃんや爺ちゃんが、悲しくないはずがないのに・・・それに、父さんはきっと、警察官じゃなくても同じことをしただろう。


そんな風に思える様になったのは、俺が大人になったからなのか、それとも愛する人が出来たからなのか。


人に親切にできる人に、俺もなりたい。


今年は、嫁と産まれたての息子を連れて墓参りに行くよ。父さん。

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