my graduation~あなたと出会って別れた場所 KAC20227

春は、切ない季節ですよねぇ…誰かの青春の1ページです。 アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022用600~4000字#KAC20227


高校入学の日から、あなたは私の青春でした。


高校入学の日、お母さんに付き添われて、お父さんに車で近くまで送ってもらって、真新しい制服のブレザーをしきりに気にしながら緊張で眠れなかった少し浮腫んだ目を擦っていた。

正門で写真を撮って中に入ろうとした時に、目を擦る私は少しぶかぶかの制服の男の子とぶつかった。

びっくりして声も出せずにぶつかった右肩を押さえる私の顔を見もせずに、男の子は「ごめん」だけ言って門の外に行ってしまった。

あの時あなたは、一緒に来るはずだった友達を探していたんだったね。

少しもやっとしながら、私は入学式に出たんだよ?知ってた?

始めて教室に入って、自分の名前が書かれた封筒のある席に座る。

お母さんは後ろに立っていて、みんながソワソワと落ち着かなかったね。

私は、あなたを見つけて、また少しもやっとしてたんだ。

レクリエーション合宿の時に偶然隣に座ったあなたは、私とぶつかったことを覚えてなかった。

私は思わず笑ってしまって、あなたも笑っていた。

帰りのバスの中では、持ってきたCDを聞かせてくれたね。

1つのイヤホンを二人で使って、同じ曲を聞いていたこと、忘れられない。

迎えの車を待つ間に、お互いの携帯の番号を交換したんだっけ?


ずっと、仲のいい男友達だった。聞く曲の好みも、嫌いな食べ物も、考え方もどこか似通っていて安心できた。

メールの着信音をお揃いで流行っていたメロディにしたときは、みんなに揶揄われたね。

同じ映画を見て、同じ場面で泣いて、同じ感想でお茶を飲んだね。

球技大会も文化祭もお互いに応援しあって協力して、みんなで肩を組んで歌った時も隣にいたのは、あなただった。

二年生になってもお互いの距離は変わらなくて、ずっと変わらないと思ってた。

あなたに、彼女が出来るまでは・・・

あなたは、一年生の可愛い女の子といる様になって、私は少し離れた所からそれを見ていた。

あなたとの会話でも、あなたは彼女の話ばかりで、私は少しつまらなかったよ。

それでも、話しかけてくれることが嬉しくて友達でいられると思ってた。

結局、三年生になって部活を引退した後で彼女と別れたあなたを慰めたのは、私。

二人で映画を見て、食事をして、家に泊まって夜通しゲームをしたね。

正直、嬉しいのか可哀想なのか、優越感なのか独占欲なのか、混ぜこぜになった自分に心が私には、よく分からなかった。

でも、今ならわかるよ。

ずっと、あなたが好きだった。

友達として過ごした時間もかけがえない思い出だけど、これからは友達でいられない。

私は、あなたが私を好きにならないことを一番よく知っているから。

恋人になりたいなんて、言わないよ。

迷惑をかけるから、きっとあなたが困るって知っているから。

でも、知って欲しい。

あの日から、あなたは私の青春でした。

友達でいてくれてありがとう、忘れないよ。


2022年3月18日

この門を出たら、私はあなたにいつも見せていた「俺」に戻って、あなたからも卒業します。

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