誰でも二刀流 KAC20221
みんなが凄いってこと…母子家庭の母親がうっかり親バカをかます朝の話。 アニバーサリー・チャンピオンシップ 2022投稿作【1】 600~4000字#KAC20221
「お母さん!私の靴下は?」
「知らないよ?洗濯物の山の中じゃないの?」
「なかったよ!」
「ちゃんと見なさいよ。ってか、片づけないからでしょ!」
母娘二人の朝は、戦争だ。
「あった!」
「お弁当は?!」
バタバタと走ってお弁当を引っ掴んで、玄関まで飛んでいく娘。
その娘に「いってらっしゃい」と怒鳴り声みたいな大声で声を掛けても「いってきます」が返ってきたことは無い。
私は、自分の支度に娘と二人分のお弁当、娘が用意しながら食べていく朝食の用意に洗濯ものの入れ替えと、中々朝から自分の朝食の暇さえなく動き回っていた。
女手一つで娘を育てる苦労を、今更ながらに感じる年ごろ。
やっとこさ娘を学校に追い出して、ほっと食卓に腰かけた。
自分用の食パンとコーヒーを食べながら、朝のニュースを見るのが日課になっていた。
近頃テレビで、よく耳にする「二刀流」の彼。
高いポテンシャルで投打ともに成績を残すのは、きっと並大抵の努力ではないだろう。
娘にも見習ってほしいと思いながらも、うちの子だって「学業」と「部活」の「二刀流」よ?と言いたくなるのは、親バカだろうか?
もっと言えば、私は「母親」と「社会人」の「二刀流」で、私と同じく女手一つで私を育てた母に至ってはそこに「おばあちゃん」まで入った「三刀流」だ。
きっと誰でも、公と私の「二刀流」以上で生きている。
今日も娘と母が元気で無事に過ごせますようにと、テレビを消して食器を台所に置いてから仕事に出かけた。
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