第8話 フロア熱狂
あれから約二週間後――〝聖騎士団武闘会〟当日。
大きな
今年、最も強いと言われる騎士は誰なのか――。
皆それが気になって仕方ないようだ。
「……遂にこの時が来ましたね、レンくん」
「そうですね、エステル騎士団長」
一回戦を目前に、俺と彼女は呼吸を整えていた。
……大丈夫だ、この二週間みっちりおっぱいを揉みしだいて――じゃなくて支えてきたんだから。
今や息もピッタリ。
後はエステル騎士団長を信じて、俺は俺の役目を果たすだけだ。
「では……さっそく【
「あ、待ってください。おっぱいを支えるのは、ニペス戦まで待ちましょう」
「え……?」
――残念だ、なんて思ってない。
大会中ずっとおっぱいを揉んでられなくて残念だ、なんて一瞬でも思ってないからな!
期待なんてしてなかったし!
「私たちの戦いは、当然ニペスも見ていることでしょう。彼には出来る限り手の内を見せたくありません」
「そ、そうですね……そうですよね……ハハ……」
「大丈夫ですよ、レンくん。私はこれでも『第081部隊・ワルキューレ』の騎士団長、エステル・オ・パイヤネン。そう簡単には負けません!」
ハツラツとした笑顔で言うエステル騎士団長。
そんな彼女の顔見て、なんだか俺も安心してしまった。
「わかりました。では、ご武運を」
俺に見送られ、エステル騎士団長は決闘場に上がっていく。
――それからというもの、彼女は連戦連勝だった。
幾ら実力が落ちたなどと揶揄されても、その剣術は並の騎士では相手にならない。
次々と他部隊の騎士を倒し、さらには他の四天王すらも破って――決勝戦まで上り詰める。
そして、その相手こそ――
「待ってたぜ、エステル・オ・パイヤネン!」
決闘場のど真ん中で高らかに剣を掲げる、ニペス・イキリネン。
「決勝戦を見ている全ての者たちよ、聞け! 俺様がエステルを打ち破った暁には、彼女は俺様の妃となると誓ってくれた! この最強の騎士であるニペスが、最強の女騎士を娶る光景をよく見ておくがいい!」
「「「ワアアアアアアアッ!」」」
フロア熱狂。
相変わらずイキってるなーアイツ。
しかも堂々と嘘吐くし。
エステル騎士団長は負けたら妃になる約束なんてしてないだろーが。
調子に乗りやがって。
「……」
大衆の前で啖呵を切って見せたニペスに、若干気圧されるエステル騎士団長。
そんな彼女を見て、
「エステル騎士団長!」
「は、はい!?」
「この戦い、絶対勝ちましょう! あんな奴にエステル騎士団長のおっぱいを――じゃなくてエステル騎士団長を好きにさせるワケにはいきません!」
「! レンくん……!」
エステル騎士団長の目に光りが戻る。
彼女は力強く頷き、
「そうですね……勝ちましょう、必ず!」
「では……いきますよ!」
「はい、お願いします!」
「――【
スキルを発動し、見えざる手がエステル騎士団長のおっぱいを持ち上げる。
「ふぁ……やんっ……♡」
「――っ!」
精神っ、集中っ!
二週間の特訓の甲斐も合って、俺は下腹部の暴れん棒をある程度制御できるようになっていた。
かつて彼女のおっぱいに触れる度にイキり勃っていた頃からすれば、信じられない成長っぷりだろう。
そうして【
「クックック……ようやくお前を俺のモノにできる日が来たな。もう今から楽しみ過ぎて、チ〇コが勃起しっぱなしだぜ」
「……」
「そうおっかない顔すんなよ。そのだらしないおっぱいを愛してやるって言ってんだぜ? むしろ感謝してほしいくらい――」
「やはり、あなたはレンくんの足元にも及ばない男ですね」
「……なに?」
「彼は……レンくんは、私のおっぱいを魅力的だと言ってくれました。そして心身共に、ずっと支え続けてくれました。……あなたなんかに、私の身体は指一本触れさせません。私のおっぱいは――レンくんのモノです」
――俺のいる場所からは、エステル騎士団長とニペスがなにを言い合っているのかよく聞き取れない。
だが少なくとも、彼女の気迫が最高潮に達したのは間違いなかった。
「――行きますよ」
エステル騎士団長が一歩踏み込む。
その瞬間――ニペスの顔は絶望に染まった。
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