14
一度完全に意識がなくなってから、私は何故か夢のようなものを見た。幼い頃のカナエがベランダで一人、泣きながらうずくまっている。
泣かないで。手を伸ばそうとすると、その光景は私の目の前から消えて真っ暗闇になった。そして――私はユメノではなくなった。
「希美、今日の投稿もめっちゃいいねきてるよ。毎日続けてんのほんとすごい」
とある理由からインフルエンサーになった私は、マメにSNSを更新することで忙しい。少しでも休めば注目度はあっさりなくなってしまう。毎日プレッシャーの連続だけど、目標があるからこそ頑張れた。
「目的達成したらすぐ止めるけどね」
「えー、もったいない。もっと続ければ良いのに。てか目標って?」
「見つけてほしい人がいるの」
「ふーん。ってことは、ユメノって名前でやってるのもそのため?」
「そうそう。これなら、その人と通じるというか……」
本当に会えるかどうかも分からないのに、こんなに期待しているのはきっと彼女が何をしてでも私に会いに来ると信じ切っているからだ。とはいえ、こんな生活を高校生の頃から続けて、遂には大学二年生になった。そろそろ疲れてきたし、注目を集め続けるのも限度がある。
ため息を吐くと、そのタイミングで通知が鳴った。
見てみれば、ダイレクトメッセージがきたことを知らせるものだった。いつもの応援してくれる人からのものだろうかと見に行くと、途端に私の口元がほころぶ。
「遅いよ……ほんとに」
死神見習いはじめました。 星乃 @0817hosihosi
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