地学部の蛍は化石や宝石(原石)に目がない女子高生。常にハンマーを所持して採取にいそしんでいるような変わり者です。少々、常識と外れた行動・言動も多く、部活仲間やいとこで幼馴染の美蘭には愛されキャラで通用しているようですが、たまに不審者に間違われたり、犯罪者に疑われたり……。
そんな彼女にまたひとつ不思議要素が追加されます。それが魚石の魚川くん。一応、渋いイケてる石仲間のおじいちゃんってことになっているのですが、実は……一体何者なのか。詳しくは本編に任せるとして。
ギャグ要素の強い短編連作で、ライトなミステリやラブコメ、オカルト要素などが盛り込んである作品。さらにコロナ渦ならではの要素もちりばめてあり、それがうまく物語に溶け込んでいるのも魅力です。
最初はとにかく石しか目がなかった蛍が、鉱石をめぐるエピソードを展開していくうちに常識力を身につけ、といったら語弊がありそうですが、周りに目を向けていき、先生の恋に協力したり、友だちの秘めた思いに気づいたり。
軽快な会話や鉱石についての豆知識もたっぷりの本作。
読後感も良いのでキャラの強い女子主人公が好きな方、おすすめです。
鉱石オタクの女子高生、蛍が拾ってきたのは、石が結晶する際に魚を閉じ込めた、珍しい魚石。
そんな魚石を綺麗にしようとしたら、蛍に話しかけてくる声が。
声の主は、石に閉じ込められていた魚。蛍の石の扱いは粗っぽく、身の危険を感じた魚石が抗議してきたのです。
さすが珍しい石だけあって、人間とお話しできる不思議パワーを持っていたのですね。
魚石や宝石等の珍しい石がたくさん出てきて、石にまつわる様々な事件を解決していくのが本作。
意思を持った石が出てきて、ファンタジー要素もあり、邪な考えを持つ悪いやつや、大切な人に石を送りたいと考える優しい人の繰り広げる人間ドラマも、本作の大きな見所です。
そして、この作品を最も盛り上げてくれるのが、主人公の蛍!
ガサツな石マニアで、ぶっ飛んだ行動が目立つ彼女ですが、それがとても面白い。突拍子もない言動で周囲を振り回してくれます。
特に振り回されるのが、蛍に拾われた魚石と、彼女のいとこである美蘭兄さん。
特に美蘭兄さん、蛍のことが大好きで彼女をなにかと気にかけ、アプローチしてくるのですが、蛍はそれに全く気づいていない。
美蘭が蛍のことを好きなのは丸分かりなのに、なかなか進展しない二人に周りはヤキモキ。魚石さんも美蘭を応援してくれます。
石にまつわる事件に巻き込まれては解決する、凸凹トリオの物語。
ラブあり、コメディあり、ミステリーありと、あらゆるジャンルを網羅した現代ファンタジーです。
地学部の鉱石オタクである蛍は、珍しい石をいつでも持ち帰れるよう、ザックやハンマーを常備。それは、修学旅行でも例外ではありません。
たまたま見つけた空き家の庭石を持ち帰った蛍は、中に化石が入っていると思い、取り出すためハンマーを振り下ろす。
しかしその時、どこからともなく声が。
声の主は、この石が結晶化する際に閉じ込められた魚。一万年ほどこの中にいる彼は、こういう不思議な力を持つことができました。
蛍に石を割らせて自分まで傷ついたら大変と蛍を止めた彼は、そのまま蛍のそばにいることに。
そんな彼女たちの周りで巻き起こる、石に関する様々な事件。
ずいぶん前になくなったひいおばあちゃんの帯留めを買い戻すため、それに付いている石を見て、本物かどうか判断。
文化祭の最中にやってきた、貴重な石を狙った不審者。
蛍の石の知識と、石に入った魚の年の功、それに蛍のいとこの美蘭も加わり、凸凹トリオが事件に向かいます。
作者様の石に対する知識やこだわりに溢れる本作。
さらに、事件解決はもちろん、そこにいたるまでの掛け合いや、合間に挟まれるラブコメ部分も大変面白いです。