episode3
「適正10って、何かの社交辞令?」
明らかにおかしな数字を聞こえて問いかけてしまう。もはやアリアが令嬢だということは棚に置こうと考えることにしないとまず話が進まないから私はラフに話すことにした。
それ故に周りからの嫉妬憎嫌悪諸々の視線が私に突き刺さるのだが。
「いえいえ。私は冗談は言いますが嘘は特別何もない限りは言いませんよ。事実無根なことを言ったって貴方にも私にも然程メリットはないでしょうに」
「それはそうだけど……。だって生まれた時に決められた異能だよ?それの優劣とか適正とかそんなものは——」
「あなた、それ盲信ですよ?」
そう言われて私は絶句する。この国自体は嘘くさいと感じていたがそもそもこの異能自体に関する観念さえも嘘でできていたなんて……。
「昔はそう思われてましたよ?確かに検査する時は生まれてから間もないですけれど。ただ異能が発生するのはまた別条件なんですよ」
そういうとポケットの中からよくわからないカードを取り出した。
カードを数枚取り出してその中の一枚を私に見せる。
「こういう感じで、異能は神が退治の時に授けるってわけではないんですよ。証拠に悲しい話ですけど流産した胎児を検査すると異能どころかそれを発動させるエネルギー源がなかったですし」
「……つまり?」
もはや何を言ってるのかさっぱりになってしまった私は結論をアリアに聞き出す。
「つまりは生まれた後に適合する体に神、というよりかは聖霊が体内に入り込むと言ったらいいのでしょうかね。そこまでは研究は進んでませんが」
「せい、れい……?」
みんな首を傾げていた。そもそも聞いたことのない単語だ。異能のことんなて勉強したことがないから至極当然といえば当然なのだが。
「聖霊とは私たちよりも上の存在概念です。まぁ私たちと同じく感情や思考ロジックが存在しているらしいのでその時に入り込みたい聖霊が胎児を出産後に確認してから入り込むんですよ」
「でも、出産が確認する前から入り込んでても——」
「そう考える人も多いですけど、聖霊はあくまで存在概念であって、完全に不死ってわけじゃないのよ。その辺りは今も研究よりけりってとこだけれど」
そういうと出していた他のカードを取り出す。
「これに今まで通り異能を使うようにそのカードにエネルギーを放出してみて」
「わ、わかった」
言われた通りにエネルギーを込めてみる。すると幾何学模様のようなものが浮かび上がってきた。
「そこまで。それで多分評価が出されて、る……」
私の評価……、さっき言っていた異能との適合率だろうか。その他にも色々なものが出されたのだろうか。
何を言ってくるか少し不安になりながら私はアリアの言葉を待って数秒。全く発言しないアリア。
流石に不安に感じてアリアの顔を覗いてみると、私のカードを見てフリーズしていた。
「えっ!?ちょっと、固まらないでアリア!?」
「……はっ」
私が軽く肩を揺らすとそれでやっと目を覚ました。
「ご、ごめんなさい……。少し驚きすぎて固まってしまってたわ」
「え、そんなに無能だったの……」
自分が無能だということには薄々気付いていたがここまでのリアクションを貰うほどだったのか……。
そう少し落胆していると、さっきまで口をキッパリと閉ざしていたアリアがあり得ないことを呟いてきた。
「有能が過ぎないかしら……」
「……え?」
「だから、あなたなんで無能なんてレッテル貼られてるのかって疑問になるくらいには強いから……」
「ちょっと、どういうことよ!?」
「こいつ如きがそんなに強いわけ——」
近くで聞いてたクラスメイトが聞いていて嫌になったのかブーイングをしてきた。
そんなクラスメイトを一蹴するかの如く私に告げる。
「聖霊適正レベルは最高レベルの10、異能との一体化レベルは上限突破して21。そして……異能才能は、22。普通は3あれば御の字っていうのはわかっておいて」
「チートとはこのことを言うのか……?」
聞いてる限りだけの情報では私は最強無敗人間の情報ですけど???
「でも聖霊と一体ってなに?」
「どれだけ異能との適合率が高かろうとも聖霊とのシンクロ、異能の使い方を悪ければただただ暴走するだけでしょう?それが高ければ高いほど高度の異能を使えるけれど——」
そう言いつつクラスメイトを見渡す。
「ざっと見た感じ平均は3、最高で7くらいかしら?良かったわね、そこの赤髪の方」
そうぶっきらぼうに告げたのは緋暁だった。
「やっぱり俺は至高の人間——」
「ただの異能の階級7程度の人間がほざかないで頂戴?」
傲慢になろうとしていた緋暁。それを一蹴してその上八つ裂きにしたのは、アリアだった。私に対して見せる温厚な雰囲気ではなく、ブリザードを吹き荒らさせていたが。
「しかも聖霊の中で一番最弱の【炎】ですか……。ほんとこの国は腐ってますね。こんな程度の人を評価して本来評価されるべきの人が虐げられているなんて」
「な、このアマ……」
もはや一触即発の雰囲気に私が逃げようとしていると。
「メリアさん、あなたの異能を調べさせてくれません?」
「え?あ、はい」
私が二つ返事で返事をすると腕にめちゃくちゃ重たい腕輪を通させられた。
「見た感じ【雷】とかの異能に見えたので多分その程度なら……。とりあえずあいつを異能を最大出力で出し惜しみなくぶつけてあの人を殴ってみてくださいな」
「もうどうにでもなれえーっ!」
とりあえず『瞬光羅閃』を繰り出す。今までは暴走を危惧して本気で出力しなかったが、今は抑止力となってくれるであろう。
そして私は、少しずつ出力を上げるためにウォーミングアップを兼ねて軽く運動しようと体を振ってみる。
すると、突如轟音が教室で鳴り響いた。
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