日記 蜘蛛
家の壁を這う小さな蜘蛛を見るたび、芥川龍之介の蜘蛛の糸を思い出します。
なんとはなしに毎回見逃し、地獄に落ちたら糸を登り放題だななんて無意味に思考をよそに飛ばしたりする毎日です。
この先は蜘蛛の糸のネタバレを含む駄文です。
彼は蜘蛛を見逃しチャンスを得ました。じゃあ地獄の他の人々はどうだったんでしょう。
なんの救いもなく打ち捨てられた血の池で溺れるその他大勢の罪人達。
本当は他にもいくらだって居たはずなのです。気まぐれで善行を起こした悪人なんてそれこそ何人でも。純なる悪の方が珍しいんですから。
じゃあ何故彼のもとに糸は垂らされたのか
たまたまです。仏様の気まぐれ。
上位存在のほんの戯れにあれ程までに振り回され、最終的にはまんまと落下していく。
本人からすれば途方もない悲劇です。
それを見て仏様がなしたのは嘆息一つ。
私は俗人ゆえに仏様の本心をうかがい知ることは出来ませんが、どうにも残酷な仕打ちだと感じてしまいます。
もしかして、かの文豪が伝えたかったのは助け合い精神の重要性ではなく、もっと薄暗い皮肉だったのかもしれません。
それこそ神しか知らない話ではありますが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます