第9話 独占欲の強い男
その後、新とは二人で平穏な日々が続いていた。
あの一件以来、仕事で遅くなることもなくなって、一緒に食卓を囲む機会が多くなった。
穏やかな生活が続いて、すべては順調に上手くいっているはずだった。
◇ ◇ ◇
二人で部屋で寛いでいる時、スマホが鳴った。
ディスプレイには「靖」の文字。
それを見た新は疑うように問い掛けた。
「……男?」
少し躊躇して答えた。
「ただのバイト仲間だよ」
「……アイツか」
新は、恭花が靖に家まで送って貰った日のことを思い出してすべての合点がいったように呟いた。
靖の存在が新の怒りに火をつけたようだった。
新は以前にも増して他の男の存在に過敏になるようになった。
「俺、女との縁切ったじゃん。お前はどうなの?」
そこまで言わなくてもいいのに、と思ったけれど、両腕を掴まれ勢いよく押し倒された。
「あらた……」
襲い掛かってくる彼に、恐怖心を抱いた。
「フラフラすんじゃねぇよ」
新が身体を求める行為は日に日に増していった。
*
「どこにも行かせないようにしてやるよ」
手を縛られて、身動きが取れないように拘束された。
「恭花が悪いんだからな」
まるでお仕置きをするみたいに痛く、時に激しく身体を求められた。
私の抵抗も虚しく、新にベッドの端で縄で繋がれた。
どこにも行かせないように。
*
他の男の人とちょっと話していたり、少しでも彼じゃない方を向いていると機嫌が悪くなったり、詰め寄られることが多くなった。
「言うこと聞けって」
私は徐々に抵抗する気力もなくなって、精神的に追い詰められていってしまった。
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