クズは愛には溺れない



「結局、カイさんと旅行にきた感0でしたね」


「いやお前、俺が悪いみたいに言うなよ。

お前がナンパそっちのけでずっと盛ってたのが悪いだろ」


「そ、それはすいません...」


「でもお前いいのか?随分入れ込んでたように見えたけどよ」


「いいんです。ひと夏の思い出ってことで」


「そうか。よし、帰るぞ」


「はい」




早くも3泊4日の日程を終え、俺達は帰路についている。



少しだけ、あの夜の続きを話そうか──



◇◇◇




やってしまった。


今俺の前には、あられもない格好で息を荒くした3姉妹がいる。


...いやぁ、勢いって怖いね。


そうだな、どうしてこうなったのか──


優香ちゃんとの事後、隣で寝ている涼子さんの布団から声が聞こえたんだ。


「す、すごかった...」


「あ〜...涼子さん、起こしちゃいましたか」


「そ、その!違うんだ!盗み聞きするつもりはなかったんだ!その!あの!」


「いえ、うるさくしてすいません」


「い、いや!私の方こそお楽しみ中に邪魔してしまってすいませんでした...」


...俺が言うのもなんなのだが、妹が隣で花を散らしていたと言うのにその感想はどうなのか...

まぁいい。俺はもう、ここまできたら全員抱くと決めたのだ。

そして俺は既にに気づいている。


「あ、涼子さん、申し訳ないんですけどちょっとだけ布団ずらしますね」


「え!?いや、だめだ!!!...いやぁ見ないでぇ..」


布団をずらすと言って、涼子さんの被っている薄い掛け布団をさり気なくずらしてやると、パンツを下ろしたあられもない姿が晒される。


まぁ荒い吐息と暗くて目立たないが僅かに高揚した顔を見ていればそうだろうなとは気づいていたさ。



「涼子さん...」


「こ、これは違う、違うの...その...んっ!?」



こんなことしておいてあれだが、

俺もそこまで意地の悪い男ではない。

理由なんざ既に察しているのに、下手な言い訳を重ねさせるなんて恥をかかせることはする気はないので物理的に口を閉ざさせてやる。


「ん...っはあ。ゆ、優君...?」


「俺のせいで火照させちゃいましたからね。冷ますお手伝いをさせてください」


「そ、そんな..こんな...」


「大丈夫です、冷ますためですよ。暑くて眠れないでしょう?」


「...はい...」


そうして涼子さんを冷ますために汗だくになりながら励んでいると、


「そ!その...私も暑くて...冷ましたいなぁ〜なんて?」


等々我慢できずに奥でずっと自慰に励んでいただろう美沙ちゃんが声をかけてきたのでそのまま美味しくいただいた。


そうしているうちに優香ちゃんも復帰してきて、結局朝まで励んだ末のこの光景と言うことだ。


いやぁ、こんな美人な3姉妹の初体験に携われて光栄ですね!


──なんて、気楽に思えたらよかったんだがこれどうしよう?



結局その日は3人の回復に夕方までかかってしまった。俺自身夜通し、しかも3人相手にしていたこともあり疲れ切っていて、カイさんに連絡してずっと眠っていた。


そしてとりあえず連絡先を交換してその日は別れ、今は夜、カイさんと話している。



「で、どうすんだよ?」


「どうしましょう...」


「向こうからはなんて言われてるんだ?」


「明日帰るって伝えたら、今夜会いたいって言われたんでとりあえずここに呼びました」


「おい、俺と話してる場合じゃねえだろ」


「大丈夫です、遅い時間にくるんで。それにカイさんも呼んでるんでしょう?」


「まぁな。でもお前、処女3人って...それも姉妹って...。じゃ済まねえだろ」


「いやぁ、本当にね?ちょっと暴走しちゃったと言うか...。まぁ遠方からきてるみたいだから何とかなるかなって」


「付き合う気はないんだろ?」


「まぁ、そもそも3人いますからね。しかも姉妹。そんな展開にはならないと信じたいですけど」


「まぁ頑張れ。そろそろ女が来るからお前は部屋に戻れ」


「そ、そんな〜カイさん。見捨てないで〜」


「ほら、行った行った」



あえなくカイさんに追い出された俺は大人しく3姉妹を待つことにした。

そしてその時はやってきた。


「お待たせしました〜」

「お待たせしたわね」

「お待たせしましたぁ♡」


上から美沙ちゃん、涼子さん、優香ちゃんだ。

な、なんか♡が見える気がするな....



「いえ、大丈夫です」


そうして3人を部屋に招き、俺は彼女達に向き合う。

何故か全員正座だ。気まずい。



さて、ワンチャンとは、ワンナイトの略だ。

意味は一夜の関係、過ちを指す。

これをするに至り、先々まで禍根を致すようなことはあってはならない。

お互いの割り切りが必要だ。

そう、だからこそもしするのであればが好ましい。

と言うか普通、処女はもっと警戒心が強いはずなのだが...。


いやね?3人とも美人だし、美沙ちゃんに至っては自分からきたし、まさかみんな処女だとは思わなかったんだって!

これで俺がただの一般人ならやり捨てしてもよかったが、一応モデルの端くれだ。

もしSNSにでも上げられたら終わるのでしっかり解決して帰らなければいけないのだ。


だからと言って誰とも付き合う気はない。

昨日までは正に運命の人だと誤認していたが、やることをやったら嘘みたいに頭がスッキリして今はもう他のセフレ達くらいの感情しか残ってない。


「その、まず俺から...。最低かもしれないが、俺は今は誰とも付き合う気はないんです」


それを聞いた3人の反応はある種拍子抜けだった。

なぜなら、


「ええ」

「うん」

「はぁい」


え!?めっちゃ聞き分けいいんだけど!?


「その、それで大丈夫ですか...?」


思わず自信なさ気に聞き返した俺は悪くないはずだ。正直罵倒や暴力すら覚悟していたからだ。


「代表して私が...。3人で話したのだけど、私達は見ての通り仲のいい姉妹だわ。それでね、まさか3人ともなんてあり得ないわけで、もしこの中の誰か1人だけがあなたと付き合ったとするじゃない?そうしたら私達の仲に亀裂が入ってしまう。だったらみんな身を引くのが一番なのかなって結論に至ったのよ。...まぁ、告白する前に振られてしまったのはショックだけれど」


と、どうやら色恋よりも姉妹仲を取ってくれたみたいだった。いや、助かった。


「そっか...。君達に魅力がないわけじゃないんです。ただ俺は仕事が最優先で特定の恋人を作るわけにはいかないから」


「うん、大丈夫だよ。ただあの、優君、一個だけお願いがあるんですけど...」


「なんですか?なんでも聞きますよ」


「その、最後の思い出にまた、

その...思いっきりしたいなって...」



はい喜んで。



──そうして俺と3姉妹の邂逅は最後の最後にとびっきりの汗をかいて終わりを迎えたのだった。



◇◇◇



「優!我慢出来なくて海外から帰ってきたわ!」


「優君!これお土産!会いたかったー!」


「優君!お土産だよ!メイと一緒に選んだんだ!ね、メイ?」


「そうよ。美味しかったからぜひ食べて」


「やっぱ副会長だけで我慢するのは無理だったよー」


「優さん〜!もう我慢できません〜!って何ですかこの人達は〜!?え、陽君ですか〜?何か夏の内に関係を進ませようと画策してましたから警戒して会ってすらいませんよ〜」


「優さ〜ん!着替え取りに戻ってきたら変な音がしたんです〜!怖いよ〜!」


「師匠!山籠りから帰って参りました!」


「ご主人様...私はもう限界です。いじめてください」


「あぁご主人様...待てができない私達に罰を...」


「ほら、鞘さんに会長!もっとはしたなく※自主規制※しながらおねだりしなさい!あ、優様!私にも罰を!※自主規制※を!」


「この会長未だに慣れないわね...。

ちょっと佐藤!いつまで放置するのよ!」



「だぁ〜!!わかった!わかったから!」



旅行から帰宅し、一旦実家ではなく一人暮らししている部屋に帰った俺を出迎えたのは発情したセフレ達だった。


いやタイミングいいな!?


「そこの華さんが行くなら今だよってみんなに連絡してくれたんだよ。私連絡先教えた覚えもないのに不思議だったなぁ」


と思ってたら美愛が教えてくれた。

そうか、お前か...って何者だよまじで!?

なんで把握されてんだ!?


「愛の成せる技ですよ優様!!!」


俺は考えるのをやめた。



「てか、え...?俺疲れてるんだけど...?

今から?この人数を...?」


「「「「「大丈夫!」」」」」


「寝てるだけでいいからね?」


「「「「「私達に任せて!!!」」」」」




──みんな悪い、俺死んだわ。




「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」




3姉妹に惚れかけたものの、結局いつも通りだ。やはり俺には愛だの恋だのは似合わない。今が一番良いよ。

こいつらの顔を見て何だかほっとした俺がいる。



「ちょ、ま...」


いや、ちょっと後悔してるかも....


「この人数は流石に、無理....」


俺は力尽き、意識を失った。




────────────────────


次回、幕間

原作の話です。


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