かくして火蓋は静かに切られた


作品のタイトルを初期に戻しました。

シンプルイズベストで。



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絶対におかしいです。



なにがですって?全てですよ。

全部全部、なんなんですかこの状況は!


大体生徒会長は何を考えてるんですか?

そもそもカズさんを生徒会に誘ったのはあなたですよね?

そのくせ今度は追放ですか?

全くもって意味が分かりません。


理由を聞いてもまるで答えず。

ええ、分かってますよ。

いくら東堂の力があろうと、生徒会長の行動に意を唱えることはできません。

それは生徒会の力もそうですし、会長のお家の方も力を持っていることが原因です。

格的には東堂の方が上ですが、そもそも関わりがないため意味がありません。

全くもって憎たらしい。

なにを聞いてものらりくらり躱されて。

この腹黒女!


でも絶対に理由があるはずなんです。

何もしていないカズさんを追放する理由が。




しかも...しかも!!!

私とサクラさんがカズさんのために必死になって何があったかを突き止めようとしてる時に泥棒猫が現れて!!!!!!

カズさんも満更でもないようなのが本当に気に食わない。


一緒に登校するのを、あの女と登校するからと断られたことは記憶に新しい。

こんな屈辱的なことは初めてですよ。



それによってサクラさんもすっかり腑抜けてしまいました。

私の生涯のライバルだと思っていましたが、この程度の障害で腑抜けるようならば所詮その程度だったようですね。



ええ、私は絶対に諦めません。

微塵も諦める気はありません。

桜井七さん。

両親の勤め先は残念ながら東堂との直接の繋がりはないようですが、所詮中流家庭。

いくらでも手はあります。必ず潰します。



...ですが今は会長から目を離せないので暫くは見逃してあげますよ。ですが解決次第、必ず、必ず

潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す。



...ふぅ。

とは言ったものの進展は全くありません。

見事なまでに尻尾を掴ませないのは流石、と言ったところでしょうか。



全く、権力の通じない相手と言うものはつくづくやり辛くて仕方ないですね。




おや?あれは...?






佐藤優と...花山先輩?




連れ立って生徒会室に入って行くところが見えました。


おかしい。


今日は生徒会の活動はお休みのはずです。

それなのに2人連れ立って生徒会室へ...。




ふ、ふふふ...




佐藤優




お前か!!!!!!!!!

お前がぁぁぁ!!!!!!




残念でしたね会長。いくらあなたが脇を固めていても、凡愚が足を引っ張るのが世の常。



いいでしょう。

どうせくだらない友情か、情けない両親と言う事実を突きつけられたことによる陳腐な復讐心でしょう。あぁ、あなたのような凡愚が支配者たる私に逆らうなんて、なんて愚か。

どのような手を使って会長を御したのか、

詳しい経緯は分かりません。

まぁその無駄に整った中身の伴わない外見でも使ったのでしょう。浅はかな。


あなたの父親が東堂グループ傘下にいることを私が把握していないとでも思っているのでしょうか?全く、いい歳をした無職を温情で雇ってあげて居ると言うのに何という不義理。



どうやら死にたいようですね。



完膚なきまでに潰します。




◇◇◇




「佐藤さん、少しお時間いただきましょう。

あぁ、あなたに拒否権はありませんよ」





開口一番、そんな不遜な言葉を伴い東堂が俺の前にやってきた。


昨日あえてこいつの目に止まるように華と生徒会室に入って行った甲斐があったな。


無論、こいつを潰す準備を整えた上での行動だ。




「あぁ、いいぞ」


「いい度胸ですね。着いてきてください」



きっとこいつは早坂の追放に俺を関連づけたはずだ。

今頃俺を潰す算段でも妄想しているんだろうな。



「こちらで」


「あぁ」



着いたのはいつぞや藤浪に連れてこられた空き教室だ。

いやこいつも入れるのかよ。

この前藤浪に手を出さなくてよかったわ。

万が一があるからな。




「さて、佐藤さん。連れてこられた理由はもうわかってますね?」


「いや?なんのことだかさっぱりだ」


「とぼけないでください!あなたが、お前が!生徒会長を何らかの方法で陥れたのでしょう。さしずめ、その無駄に整った中身の伴わない外見でも使ったのでしょう。そしてカズさんを追放したんでしょう?」


「いいや。そんなことをする理由がない」


「理由...ふふ。理由ですか。そんなこと決まってるでしょう?低俗な男同士の友情でしょうか?もしくは不甲斐ない両親を持って、全てを持つ私に陳腐な嫉妬を覚えたか。

まぁ、確かに。40近くになって無職になるようなご両親の教育で育った方の気持ちは私にはわかりませんが」


「なにを意味のわからないことを。

とにかく俺は関係ないよ。もういいか?」


「正直に認めた方がいいですよ?

また無職の子供には戻りたくないでしょう?

子供の脛を齧るような両親の姿をまた見たいんですか?」


「本当に失礼な奴だな。人の家庭に口を出すな」


「いいえ。私は口を出せるんです。

いいんですか?私の一言であなたの両親の人生を終わらせることもできるんですよ?」


「はいはい。前にも言ったけど妄想はあまりべらべら人様に話さない方がいいぞ?」


「ッッ...。本当に失礼な方ですね。

本当にはやらないとでもタカを括っているんですか?残念ながら私はそのような甘い人間ではありません。支配者たる者に必要な冷酷さは持ち合わせていますのよ?」


「わかったわかった。じゃあやってみろよ。

俺はただの妄想だと思うけどな。

もしお前の妄言が本当になったら何でも認めてやるし何でも言うこと聞いてやるよ」


「...。その言葉、お忘れなく。後悔しても遅いですよ」


「あぁ。...待った。お前の言葉が妄言だったら、お前は俺に何をしてくれるんだ?」


「だからさっきから妄想だの妄言だの!

...ふぅ。ええ、ええ構いません。最後の悪あがきですものね。いいでしょう、100%あり得ませんが、もし私が負けるようなことがあればあなたの奴隷にでも何でもなってあげますよ」



よし。



「...吐いた唾は飲むなよ?」


「ええ。東堂の者として、一度言った言葉を取り消す事など断じてありません。

契約書でも書きましょうか?

あなたこそ、自暴自棄になって約束を違えないでくださいね?」


「あぁ、書く」


「え?」


「だから契約書、書く。ほれ」


「な、なんでそんなもの持ち歩いてるんですか?」


「仕事で使う予定だったから。

...ほい、書いたぞ。お前も書けよ」



この流れにするって決めてたからだよ。



「...いいでしょう。記入しました。

これでもう逃げられませんよ?

明日にはあなたの両親は職を失うことになります。それで私の勝ち。洗いざらい話してもらいますよ?」


「あぁ。明日からご主人様と呼んでくれ。

あ、人前では流石になしな?」


「...ではまた明日。あなたを地獄に落としてからお話することにします」


「また明日な〜」



「失礼します!」



そのやり取りを最後に、東堂は

ドカドカと足音を立てて去って行った。




....うっっっっっっぜえ!!

あまりにもうざくて手が出そうになったわ。

社会にも出たことないクソガキが

人様の両親を好き勝手言いやがって。

大体見当違いなんだよ全て。

なんだあいつ偉そうに。

なぁにが支配者たる者だよバカがよ。

いい加減厨二病は卒業しろ。

絶対将来飲み会で弄ってやる。







俺はその場で、ある人に頼み事をするために電話をかけた。



「お疲れ様です。例の件、お願いします。

はい、はい。そうです。今晩ですか?勿論です。はい、俺も楽しみです」




◇◇◇




....全く、なんて不遜な男でしょうか!!

何度声を荒げそうになったことか。

ですがいいでしょう。

どう足掻いても勝ち目のない賭けで身を滅ぼすことになるのですから、寛大な心で許してさしあげましょう。



東堂グループの孫娘として、生まれた頃から支配者になることが決められている私に、たかが平民の、取るに足らない凡人の子供が逆らうのです。

その勇敢さは讃えてあげなければいけませんね。

ふふ。確か、蛮勇と言うのでしたか。




勿論必要なことを吐かせたらそれで捨ててもいいのですが、無職になる両親を支えてあげなければいけませんものね。

慈悲の心で私が拾ってあげましょうか。

外見だけは上等な男ですからね。

せいぜい東堂の更なる発展のために身を粉にしてもらいましょう。

使い捨ての下僕としての人生を新たにさしあげましょう。




あぁ!あの男の無様な吠え面を見るのが今から楽しみで仕方ありません。




私はその場で、お爺さまに今晩のアポを取り付けるべく電話をかけました。














──────────────────




やめて!佐藤優の秘策で、東堂グループの力を跳ね除けられたら、無謀な賭けで契約書まで書いちゃった東堂鞘が奴隷になっちゃう!


お願い、負けないで東堂鞘!


あんたが今ここで倒れたら、

桜さんやカズとの関係の修復はどうなっちゃうの?


ライフはまだ残ってる。

ここを耐えれば、佐藤優に勝てるんだから!



次回「東堂鞘 死す」デュエルスタンバイ!


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