第3話 オオカミさんに出会った
「何じゃこりゃ?」
チカラは自分の能力を見て言った。何度見直しても変わらない。取り敢えず特典が黒い
何気に【受け流し】をタップしてみたチカラ。すると、
【受け流し】
ありとあらゆるモノを右から左に又は左から右にまたまた、前から後ろに、後ろから前に受け流す。身体の危機に関しては常時発動し、又、緊急で無い場合には任意に発動する事も可能。魔力消費なし。
と説明文が出た。チカラはそれを見てため息を吐きながら独り言を言う。
「はあー…… コレが特典かあ…… まあ、何かの役には立つのかな? 分かんないな」
いったいありとあらゆるモノとはどういう事なのか分からなかったチカラは悩んでもしょうがないかと今一度周りを見渡した。
「うーん、ここに居ても生活出来そうにないなぁ…… 取り敢えず森を出るか。って、どの方角に進めば森を抜ける最短なんだろうか…… どうせなら地図とか出せる様にして欲しかったなぁ」
そう独り言を言いながら既に歩きだしているチカラ。大樹を背に真っ直ぐ進んで行く。暫く進むとさっきまでと雰囲気が変わり、後ろを振り向けば大樹が見えなくなっていた。
「アレ? あんな大きな樹だからこの距離なら見える筈だけどな? ひょっとして結界か何かかな?」
そう思い、振り向いた先に進むチカラ。だが、大樹はもう見えなかった。
「うん、勿体無い事をしてしまった…… あの樹、本当に世界樹だったかもな…… 葉っぱの1枚や折れた枝ぐらい拾っとけば良かった」
ガックリと落ち込んだが、ま、いいかと直ぐに気分を変えて歩き出すチカラ。そして気がつけば周りを何かに囲まれていた。
「えっと…… ひょっとして魔物さんですか?」
チカラの周りにはオオカミに見える四足歩行の獣がいた。生憎とチカラはオオカミを見た事がないが、イヌとは雰囲気が違うのでオオカミだと思う事にしたようだ。
「いやっ! ムリムリムリムリっ! 武器も防具も持ってないし、持ってても使えないけど……」
絶望感が押し寄せてきているチカラに1頭のオオカミが飛びかかる。しかし、チカラの意志とは関係なく右手が動いた。
動いた右手は正確にオオカミの左耳の下を打ち、チカラから見て左にそのまま流した。流されたオオカミは吹っ飛んで木に体を打ち付け、ギャンッと一声鳴いてから絶命した。それを見た他のオオカミが、今度は2頭で飛びかかってくる。時間差を見極めているかのようにチカラの手が動き、1頭は右に、もう1頭は左に受け流された。その2頭も木に体を打ち付け一声鳴いた後に絶命した。
これにはやった本人が一番ビックリしている。
「えっ!? いや、なに? 今の?」
決まっている。特典の【受け流し】だ。
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