②ユニコーンの生態(中)
青年はかつてこの村に住んでいた。
特に中が良かったのは、幼馴染の少女。
内気な性格だった青年は、男勝りな少女に引っ張られるようにして野原を駆け回り、川で魚をとったり、花を集めてネックレスを作ったり、時には畑の果物を隠れて食べたりもした。
いつしか、二人は成長して将来の約束をする。
しかし、青年は平和だが代わり映えのしない小さな村での生活に満足出来なくなってしまった。
「都で成功して、必ず迎えに来る」
そう言い残して、一人で都に旅立った。
よくある話だ。
その後、青年は都に出て商売を始めた。
だが、経験もなく始めた商売がうまくいくはずもない。
何度も失敗した。
だが、少女との約束を胸に青年は諦めなかった。
小さな成功と大きな失敗を繰り返し、いつしか貯めた金は全てなくなっていた。
その時だ、村でユニコーンを手懐けた女がいるという話を聞いたのは。
ユニコーンの角には不思議な力があるという。
毒を中和する、万病に効く等とされ、途方もない大金で売買されているらしい。
それだけの金があれば、また新しい商売が始められる。
そして、きっと次は成功するはずだ。
青年の名はトラン。
トランが村へ到着したのは、それから3日後のことだった。
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