第21話 副祭主のベンガル・レスター
人々は、魔族から解放されたと知っても、あまり喜ばなかった。
前は、年に数度の暗黒神殿での儀式が、二年前から毎日になっていたのだ。急に、喜べるものでもない。
王城にいた召使いの話を聞いて、僕とアンナは顔を見合わせた。
ベンガル・レスターという名前の者が、暗黒神殿を仕切っているそうだ。
そいつが、魔王の復活も願っているとの事だった。
「副祭主は人間か?」
「アンナ、どうする?」
「取り合えず、暗黒神殿をぶっ壊しに行くか!!」
「うん」
僕とアンナは、風の奥方の風に乗って、火のおさまった塔から隣接された暗黒神殿に降りて行くことにした。
「火の王、暴れて良いぜ!!」
「待ってよ!!アンナ!!関係の無い人を避難させないと!!」
「そっちは任せた!!大将の力で十分だろう?」
「うん」
僕は、暗黒神殿に入って祭司の言いなりになって、働いてる人たちに向かって叫んだんだ。
「暗黒神殿は、間もなく火事になりますよ~~逃げて下さい!!」
神殿の中からは、黒い祭司服を着た何人かの人が出て来た。
出て来る人が途切れたので僕は、祭司に聞いてみた。
「もう、中には誰も居ない!?」
「副祭主のベンガル様が、まだ中に」
僕が、暗黒神殿の中に入って行くと、信じられない光景が目の前にあった。
アンナが、ナイフを突きつけられて脅されていた。
ご丁寧に、後ろ側から、首の急所にピッタリと。
声を出したら、刃の先が当たりそうなくらいだった。
「アンナ!!」
「ちょ、油断したな……」
アンナは、顔を引きつらせながら笑っていた。
僕がエアボールを投げる素振りをすると、
副祭主のベンガルの目がアンナを捕まえてる奴にいった。
アンナの首に血がにじんだ。
「「わあ!!待って!!まって!!」」
「では、黙って見ていろ。今宵の贄は最高の贄だ。光の一族の直系だと……」
いつの間にか、僕の後ろにも黒い服を着た祭司が鋭いナイフを持って来ていた。
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