第17話  神官につかれた嘘

「ありがとう!!アンナ、助かったよ」


 炎が落ち着くまで、僕たちは少し話をした。


 僕は、アンナが何故ここにいるのか分からなかったし、あのタイミングで声をかけて来たのも変だと思ったんだ。


 アンナの方も言い分はあるらしく、僕が黙って銀の森から出て行ったことを怒っていた。

 でも、神官が付きっきりだったし、外にも出してもらえずに真っすぐに魔法陣に乗せられたと言ったら、少しは怒りを解いてくれた。


 僕は、アンナの頭上を見てビックリ。

 風の奥方を連れてるじゃないか。


 だったら、色んな意味で、僕の居場所を特定できるだろうし、分かっちゃうだろうね。


「タクト、光の神殿の神官が無礼をしたな。謝罪する」


 一通りのケンカが終わって、アンナが言いだした。


「だって!!僕には、魔族の血が入ってるんでしょう?」


「違う!!言ってただろう。アーシュレイが。リムジットにはラルクという姓が入っていたと。

 ラルクは、ロイル家の親族の名だ。シードックの建国に、ラルク姓の王とロイル姓の王妃が関わっているという文献も見つけた。リムジットは、最後のラルク王朝の王女だったのだろう。政変が起こって、今の王が王になったとな」


「じゃあ、魔族の血って言うのは?」


「神官が、私とお前を結婚させたくなくてついた嘘だ」


 ガビ~~ン

 なんで、そんな嘘をつかれなくちゃならないの!?


「黒い髪のお前と結婚したら、我が一族の容姿に近い子が生まれにくいとでも考えたんだろう。実際、お前には魔族どころか我が一族の血が流れていることが証明されたんだが」


 アンナは、怒り心頭だった。オーラがヤバいよ~~周りの景色が霞むんだモン。


「まさか……それを証明するために、ここまで来たなんて言わないよ?」


 彼女は、頷いた。

 アンナは、アンナで、リムジットがシードック帝国の王女だと分かった時から、シードック帝国の事を念入りに調べていたらしい。


「タクトを捜しに来たのが、目的の一番だ。ただ……二番目もあってな」


「何!?」


「ここの天井を壊す。頭を伏せてろ!」


 アンナが、突然言ったので、僕は地震の避難訓練の時みたいに頭を庇ったんだ。

 アンナは、呟き始めた。


 そうしたら、僕たちの周りに地下牢の天井が崩れて落ちて来たんだ。


 すご……


「王のもとへ行くぞ!!」


「うん」




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