第14話  魔族の治める国

 僕は、木で出来た見世物のような牛車で、帝国の都中を引き回されたんだ。


 頑丈な、木の作りになっているのは、僕が風使いだからだ。


 行く先々で、声が聞こえてきた。


《今度は、あの子ね》

《運の悪い子だね》


 僕は、盛大に溜息をつく。

 でも、もしかしたら、これで親戚筋の人にも会えるんじゃないのか?

 なんて、淡い期待もしてみてるけど。



 王宮に隣接していた暗黒神殿に着いて、僕の期待は、コッパ微塵にぶっ飛んだ。

 祭司達が言ってたんだ。

 心臓をえぐり出しているのは、副祭主で国王たる祭主は、まだ温かさの残る人の身体から、精気を搾り取って食事してるんだって!!

 それ、もう魔族でしょ!!

 ここは、魔族に支配されてる国って言う解釈で良いよね!!



 牛車から降ろされる時に僕は、祭司たちに言ってやった。


「僕、王の血縁者だよ。良いの!?こんな事してさ!!」


 ワザと大きく不貞腐れた声で。

 そうしたら祭司たちが騒めき始めた。


「大嘘をつくな!王のハルム様は、独身だぞ!結婚は、まだしていない!」


「そんなはずないよ~僕のおばあちゃんが、シードックの王女だったって聞いて来たのに~」


「そんな作り話を聞いてる暇はない!!神殿の地下牢に閉じこめておけ!!明日の夕刻の贄はお前だ。鍛えた体をしているな。心臓を抜いた後の精気も十分そうだ。王も喜ばれるだろう」


「ちょ……!!僕!!心臓の手術受けてて不味いってば~!!」


 あれ!?今の僕は、大丈夫なのか!?

 ちが~う!!問題はそこじゃな~い!!


 僕は逃げられない様に、腕をグルグルにまかれて、口には猿ぐつわをさせられて、地下牢に放り込まれた。


「そこの美人さんと一晩楽しめよ」

「~~?」


 薄ら笑いを浮かべて去って行く祭司である。







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