第12話  シードック帝国

 僕は、シードック帝国へ、潜入することに決めた。

 大将に飛ばしてもらって、リリエンハイムを北上した。


 もとは、荒れ地だったらしいけど、近くに大きな滝のある、川があって、緑豊かな土地だ。

 頑丈な城壁で囲まれていた。

 こりゃ、真正面から行っても、国の中へ入れないだろうな。


 とりあえず僕は、大将に目立たない下町へ降りてくれるように頼んだ。


 活気の無いだなぁ……

 ていうのが、第一印象。

 だって行き交う人が、みんな俯いているんだ。

 他の人と目を合わせないようにしてる。

 そんな感じだ。


 僕は、お腹が空いたので、風のマントから下町をうかがいながら、人の居ないのを見計らって、マントから出てきた。


 目の前には、美味しそうな飯屋があった。

 この世界で目覚めて四年。

 大分この世界にも慣れてきたけど。

 前の世界より、食事が質素なんだよ!!

 僕は、ハンバーグとか、オムレツも食べたいのに、ママは、贅沢だって言って、誕生日くらいしかオムレツもどきを作ってくれなかったんだモン!


 僕は、飯屋に入って定番の豆のスープと黒パンを頼んだ。

 嫌いだけど、懐の事情もある。

 ヒューイッドのことを良くしてくれた、アルテアの娼館のNO1と僕の相手をしてくれたNO3のお姐さん達に、お礼を弾んできたんだ。


 僕は、目立たぬ様黙々と食べて、周囲を見渡した。

 客は、僕一人だ。

 僕は、思いきって飯屋の大将にシードックの国の事情を聞いてみることにした。


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