第2話  アンナレッタ・エル・ロイル

 アンナレッタ・エル・ロイル。

 この世界の、ほとんどの国が信仰する神、聖なる光の神の直系の子孫のただ一人の女性の名前だ。

 少し、日に焼けた肌に、赤茶色のくせ毛と青い瞳を持ったチャーミングなお姉さんみたいな子だよ。

 僕の転生先のリリエンハイムが魔物に襲われて、友達のヒューイッドと一緒に命からがら逃げて来た時に、出会ったんだ。


 それから、魔王になったかもしれないマークを探して一緒に旅をした。


 とっても偉そうに喋るけど、見かけは僕より年下だよ。

 先祖返りってことで、魔法の力の強い人に多い事みたい。


 そりゃ、アンナの火の魔法は凄かった。火の王と契約してるんだって。

 時々、僕の風の精霊を貸してあげることもあったけど、言葉に魔力を帯びてるんだよね。下位の精霊なんて、アンナの雄叫びで転びまわっちゃうモン!!


 アンナは、本家のひとり娘で子孫を残す義務があるとかなんとか……

 神官が僕に言ってきたけど、今の所、アンナの言い分が通っているだけのようだ。


 僕と魔王になったマークに血縁関係がないのが、評価されたみたいだ。


 ♦


 でもねぇ……僕は、アンナのことは頼りになるお姉さん。以上の好意はないんだ。


 アンナも絶対に好きな人がいると思うよ!!

 これは、確信だモン!!

 まだ、魔王がゼネクト神と組んで更に邪悪さが増した頃……アンナが言った独り言が聞こえてきたんだよ。


「リカルド、お前がいてくれたら……」


 って!!

 アンナは、既に好きな人がいるじゃん!

 その人は、平民なの?

 でも、あのアンナの眼鏡にかなう人なんだから、普通の人じゃないよなぁ……


 僕は考えて、森の奥まで入り込んでしまった。

 ぼくの意思は無視なの~?と、考えながら。

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