魔王を倒した僕、勇者になったので神の子孫の姫と結婚しろ?僕の意思は無視!?

円香

第1話  タクトゥール・ロイル

「「「アフレオスよ!!その名の如く輝け!!魔王を倒せ!!」」」


 僕の叫びに神剣、アフレオスは眩い光を放ち、刀身が心臓い刺さっていたマークの身体は霧散していった。


 あれから、何日が過ぎ頼んだろう。

 僕は、アンナの故郷の銀の森で足止めを食っていた。


 一応、神剣を抜いていた人物だったので、英雄扱いだけど。

 世界の神殿の中枢部である、光の神殿の貴人室に閉じこめられていた。


 迎えに来てくれたのは、エル・ロイル家で、アンナの世話をしていたサヤという女性だった。


「タクトゥール様、良く、今日まで耐えて下さりましたわ」


「??」


 何処も知らないから、何処にも行けなかっただけだけど……

 言いかけて、飲み込んだ。


「タクトゥール様には、魔王を倒した功績が讃えられます」


「そんな事より、僕は、早くランス村に帰って皆を弔いたいんだけど……」


「これから、銀の一族に入られる方が、過去のことはお忘れになって下さい」


「銀の一族!?」


 僕は、ポッカ~ンとしてしまった。


 何を言ってるんだ!?この人は!!


 と、そこへゾロゾロと巫女たちが入って来て、僕の部屋に小さな沐浴所を作って身体をゴシゴシに磨かれ、髪の毛も色が落ちるんじゃないかってくらいに洗われたんだ。

 実際、後で聞いたら僕の黒髪が気に入らない神官がいて、染めてるんじゃないかと確認していたという事だ。


 なんで、こんな事までされなくちゃならないんだよ!!


 今度は違う巫女が入ってきて、僕に魔法使いの正装をさせた。

 部屋の扉には、アンナがいて僕の姿を見て満足げに言った。


「神殿公認から、一族への格上げだ。気分はどうだ!?」


「意味が分かんないよ」


「一緒に来い。広間で、お前へ勇者の称号式とわが一族への招待式を執り行うからな」


「それで、アンナもドレスアップしてるの!?」

「そういうこと」



 ♦


「タクトゥール・ラミネス、魔王並びにゼネクト神を倒した功績により、ここに我が、一族の姓ロイルを与え、エル・ロイル家の姫、アンナレッタ様との婚姻を認めることにする」


 アンナが一人で手を叩いていた。


 え?え?え!?


「ラミレスが勇者の名前じゃないの?」


 大神官さんが困った顔で言う。勿論この人も銀髪。

 結構多いよ、銀髪の人が。


「魔王になってしまった者の家名など、忘ろ!!そなたには、特例として我が一族の一人として、エル・ロイル家のアンナレッタ様と添い遂げる使命を与える」


 寝耳に水だった。何で、アンナと?

 だから僕は、言ったんだ。


 僕は、まだ16歳で親の許可があっても無くても結婚は出来ませんよ!!って。

 そうしたら、神官たちはその件でしたら、ゆっくりで結構です……なんて言うんだ。

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