第5話  僕の気持ち

「な……!!」


 僕は馬を降りると、真っ赤になってアンナの所まで行った。


 アンナはそんな僕を見て、吹き出している。


「そんなに、可笑しなことか?」


 アンナこそ、真面目な顔で早●なんて良く言えるよなぁ。


 え!?なんで僕がこんな言葉を知っているかって!?

 本当のことは知らないよ。

 でも、男にとって恥ずかしい事だって、前に読んだ古王国の情報誌で知ったんだ。


 アンナは20歳になっていた。

 この二年の間に背が伸びて、胸も大きくなって女性的な体つきになっていた。

 赤茶色だったも、赤色がだんだん抜け落ちていき、明るい茶色の髪になっていた。

 ロイル家当主の綺麗なアンナのパパさんの娘ですか?って聞かれたら、すぐ頷けると思うな。


「ヴァルとマットは!?」


 アンナは、僕を娼館に連れて行った仲間の事を聞いて来た。


「知るか!!何がチェリーちゃんだよ!!お酒なんか飲ませようとするなんて!!」


「そうか、困ったな~娼館でレクチャーしてもらって、帰ったら婚礼を……と思ってたのに」


「誰が!?誰と!?」


「お前と私に決まってるだろ?私にはエル・ロイル家を存続させる義務があるんだ。前に協力してくれと頼んだと思うが?」


 アンナはニッコリ笑って言ってきたが、僕は承諾した覚えはない。


「あのね、アンナ。僕の意思は?」


「私が、求婚してのに何が不満なんだ」


「不満とかじゃなくて、愛し合ってる男の人と女の人が、結婚式を挙げるんだよ!」


 僕は、赤くなって言った。


「それは、お前の元の世界での常識か?愛し合っての結婚など、一般人たちのすることだな」


「僕だって、一般人だよ」


 アンナはクスリと笑って言った。


「魔王を倒したお前は、我が一族に迎えられた勇者だ。イリアスの子孫の私と婚礼の資格があんるぞ。名誉だとは思わないのか?」


 僕は呆然とした。

 勇者だから、アンナとの結婚の資格が出来たと!?

 いくら考えても、その考えの答は分からなかった。


「どの道、2人も帰ってこないだろう……今回は、このまま帰路へ着くとしよう」


 アンナが言った。

 アンナの提案に僕も不承不承従った。

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