第4話 無駄男

あるところに男がいた。

その男はとにかく無駄の多い男だった。

食べきれないほどのリンゴを買ったり、使いもしない香水を買ったり、遠回りな道を通ったり。

そんな男の友人は遂に見兼ねて、男に聞いてみた。

「何故お前は無駄なことばかりをするのだ?金も時間も体力も有限なんだぞ」

男は飲んでいた紅茶を置いて、穏やかな顔で考え始めた。

「なんでだろうねえ。」

それだけ言うと男は再びティーカップをもち、飲み始めた。

友人はため息をつき、もう一度聞いた。

「お前が無駄なことをするのは何か理由があるんだろう?俺は気になってしょうがない。教えてくれよ」

男は数分悩んで、思い出したかのような顔をして話を始めた。

「僕はね、無駄こそ最高の贅沢だと思うんだ。だって朝歌っている小鳥たちもあんなに可愛らしいのに、自然の中では常にギリギリで、無駄なく切羽詰まって生きてるんだ。僕は、僕ができる最大の贅沢を楽しんでいるんだと思うよ」

友人は納得した。彼の「無駄」は最大限人生を楽しんでいる証拠だったのだ。

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