第2話
今夜のるるの配信にも、シオリはコメントしていた。
「今日も言い終えたスカル」
「今日もいい声助かる」だろうか? 彼はずっと彼女のことが気になった。 シオリはSNSもやっているが、あまり呟いていない上に返信もしていない様子だった。 呟いている内容もるるの配信やお祝いについてばかりで、シオリ個人のものが全くと言っていいほどなかった。
オカルトやミステリーが趣味の彼にとって、彼女の存在は一人の信徒から謎多き興味の対象へと変わった。 普段は配信以外に滅多に使わないが、彼は魔族の力を使うことにした。 特別な鏡を使い、シオリの現在を視た。
彼女は病院の待合室にいた。 私服なので入院患者というわけではなさそうだ。 声の印象とほぼ同じ見た目をしていて、年齢は十代後半に見える。 昼間に私服ということは大学生だろうか?。 彼がそう考えながら彼女を観察していると、シオリは待合室の椅子から立ち上がった。
彼女は白杖をついていた。 隣には身内だろう、若い男性が腕を貸していた。 彼は全てに納得がいった。 そういうことだったのだ。
少し悪いとは思ったが、彼は魔族の力を使ってシオリを少し調べた。 魔族に人間の法律は関係ない。 彼女の本名は陸沢 紫織(りくざわ しおり)17歳。 両親と兄の4人家族で家はそこそこ裕福。 中学の卒業旅行で東南アジアに旅行に行った際に感染症に罹り死の淵をさまよい、後遺症で両目の視力をほぼ失った。 現在もリハビリと薬剤治療中。 学校には通っていない。
るるは配信中に鏡でシオリをこっそり見てみた。 彼女は自室にて、イヤホンで配信を聞きながらキーボードでコメントを打っていた。 彼女が使っていいるキーボードのキーには点字が付いていた。
彼はそっと鏡を閉じた。
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