第4話 黒き過去、白き未来(中編)
結局昨日はクロナと良くない別れかたで終わってしまった
自分がクロナの踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまったのは事実だ
「今日、クロナに会ったら謝ろう。知らなかったとはいえあんな顔させちゃったし...」
そう決意するも肝心のクロナの居場所は分からなかった
いつもクロナが会いに来てくれていたので彼女の部屋がどこかも分からなかった
「今日ルキさんが来たら聞いてみよう」
「シロナ、おっはよ~」
そうこう言ってるうちに朝の検診をするためルキが来た
「あ、おはようございます」
「それじゃ検診するね」
そして私の体温や脈拍を計って紙に記入していく
「...どこも異常ないわね、それじゃあたしは行くわね」
そう言って検査器具を片付け始める
「あ、ま、待ってください。聞きたいことがあって」
「ん?」
私は昨日の出来事をかいつまんで話した
友達が出来たこと、その友達の踏み込んではいけない領域に踏み込んでしまったことを謝りたいということ
「なるほどねー、でその友達の部屋が分からないと」
「はい...」
「総合案内所に行けば分かると思うよ」
「総合案内所...分かりました」
そしてルキは部屋を出ていった
私は軽く身支度を整えてから部屋を出て言われた総合案内所に向かうことにした
「とりあえずまず地図を見なきゃ」
施設内はかなり広いため所々に現在地を記した地図が貼られている
私は地図を見ながらルキさんの言っていた総合案内所を目指していたのだが...
「...ここ、どこ?」
地図を見ながら来たのに迷っていた。どうやら私は極度の方向音痴だったらしい
「ひ、一先ず戻ろう」
そう思ったが自分がどこからここまで来たのか分かっていなかった
「どうしよう...」
私がその場で右往左往していると奥の方に人影が見えた
「あ、あの人に聞いてみよう」
私は駆け足でその人影の方に向かっていった
しかし、話を聞こうと思った人物は私がそこにたどり着いた頃には姿はなかった
「あ、あれ?おかしいな...」
見えた人影と私との距離はそんなに離れていなかったと思う
しかし、辺りを見回すと人っ子一人いなかったが、進んだ所に丁度、総合案内所の看板がぶら下がっていた
「見間違い...だったのかな?」
私はそんなことを思いつつ、案内所の人に話を聞きに行った
「すみません」
「はい、あらシロナちゃん」
「え?何で私のことを...?」
「ルキさんに聞いてたのよ、真っ白な女の子が友達のことを聞きに行くからって」
「なるほど...」
私のことはルキさんが事前に知らせておいてくれたらしい
「それで、お友達のお部屋よね、何て言う子?」
「あ、はい。クロナって言う子です」
「クロナちゃんね、ちょっと待ってくれる」
そう言うと、案内所の人はパソコンをいじりだした
そして暫くしてから案内所の人はばつの悪そうな顔で言ってきた
「えーと、シロナちゃん」
「はい」
「調べた結果なんだけど...」
私は少し言い淀んでいることに疑問を思った
そして案内所の人から結果を言い渡された
「クロナちゃん、数年前に亡くなっているわ」
「え...?」
耳を疑った。私は実際会っているのに
「う、嘘です。も、もう一回調べてください」
私は涙を我慢してお願いした
しかし、帰ってくる結果は同じだった
衝撃の結果を突きつけられ、私はその場を走り去った
「嘘...嘘よ...死んでるなんて...嘘っ!!」
私は無我夢中で走り、暫く走った後足を止めた
そして、その場で涙を流していた
「あ、こんなところにいた」
「え...?」
私が泣いていると不意にそんな声が後ろから聞こえた
振り向いた先にはいつも会っていたクロナがいた
「クロナ...?」
「そうよ、どうしたの?そんな酷い顔して」
「く、クロナ~~~~っ」
「わ、わ、ちょっと」
私は泣きじゃくりながら死んだと聞かされた人物の胸に飛び込んだ
クロナは慌てながらもそんな私を抱き止めて泣き止むのを待ってくれた
「落ち着いた?」
「はい...」
私はまだちょっと潤んだ瞳で言った
「で、どうしたのよ?そんな泣きながら私に飛び込んできて」
「クロナに謝るために会いにいこうと思って、いる場所を聞いたら数年前に亡くなっているって言われて...」
「あー、なるほどね」
「え?」
納得しているクロナに私は訳が分からないでいた
「その点も含めてあなたに話があるの」
「私に、話?」
「ええ...」
クロナは真剣な顔で向き合っていた
そして私はクロナからこれまでとこれからのことを聞くこととなった
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