第8話 戦闘

廊下の左側には、幾つかの部屋があり、部屋のドアは全て開いていた。

開いたドアから、魔物たちが2人をジッと見つめていたが、襲って来る気配は無かった。

「歓迎・・・は しないが、俺達を招いているようだな。」

戦士が魔物たちを警戒しながら言った。

「そうだな。」

勇者も厳しい顔で、魔物たちを見ながら言った。


魔法使いの少女が魔王の娘であれば、少女の身に危害が加わる恐れ無い。

勇者と戦士はそう考え、落ち着き、ゆっくりと廊下を進んだ。

そして突き当りにある扉を開いた。

そこは謁見の間となっており、中央奥の檀上に大きな椅子があり、そこに一人の男が座って居た。

しかし、魔法使いの少女の姿は、何処にも無かった。


男は黒い兜を被り、黒い鎧で身を包み、黒いマントを羽織っていた。

顔はハッキリとは見えなかったが、年配の男に見えた。

「お前が、魔王か?」

戦士は身構え、剣に手を掛けて、ジッと男を睨みながら聞いた。

「フッ。

ならば、どうする。」

男は不敵な笑みを浮かべ、戦士を見ながら聞いた。

「倒すのみ。」

戦士がそう言うと、2人は剣を抜き構えた。


男も椅子から立ち上がると、不敵な笑みを浮かべたまま、腰に差している剣を抜いた。

それと同時に、先ほど2人が入って来た、廊下へ通じる扉から、多数の魔物たちが、入って来た。

魔物たちは、どれも人が殆ど見る事のない、強力な物ばかりだった。

その魔物たちが、勇者と戦士に襲い掛かり、戦闘が始まった。


魔物たちは、防御力が高く俊敏であり、勇者や戦士でも、一撃で倒すことはできなかった。

また、深手を負わせても、しばらくすると魔力により傷が治癒する為、勇者と戦士は、連携しながら、魔物たちを倒していった。

「はぁ、はぁ。

さすが魔王の側近だけあって、強力じゃないか。

嬉しくなるぜ。」

戦士が、魔物たちを見ながら言った。

「はぁーーっ。」

そしてまた、気合の入った声を出し、魔物に斬り掛かった。


それから少しして、勇者と戦士は、魔物たちを全て倒した。

「はぁ、はぁ、はぁ。

さて、と、残るはお前だけだ。」

戦士は剣を、まっすぐ男に向け言った。

「フッ、随分息が上がっているじゃないか。

その程度で勝てると思うとは、わたしも舐められたものだ。」

そう言うと、男は素早く剣を振り、戦士に斬りつけた。


戦士は、その剣を払うと、切り返した。

しかし、一瞬早く、男も身をかわした。

そこへ、勇者が斬り掛かったが、男は、その剣を魔法で防ぎ、後ろへと飛び、間を空けた。

そうして、勇者と戦士は、攻撃と防御を繰り返しながら戦った。


戦いながら、勇者は違和感を感じていた。

(おかしい。

確かに、この者の剣技は素晴らしく、とても強い。

だが魔法は、魔王にしては弱すぎる。

何か企んで、魔力を温存しているのか?

それとも。。。)


それからも、しばらく戦闘が続いた。

しかし、やがてそれも終わりを迎えた。

「はぁ、はぁ、はぁ。

くっ、このーーっ。」

男はそう言って、剣を振った。

戦士は、その剣をかわし、男に斬りつけた。

「くっ、ぐはっ。」

戦士の剣は、男を斬り、致命傷を与えた。

男は血を吐き、その場に倒れ込んだ。


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